毎日水やりをしているのに、植物を枯らしてしまった経験はありませんか。実は、水やりはただ毎日やればよいというわけではなく、水やりの方法によっては植物が枯れてしまうこともあります。

頑張って毎日水やりしたのに枯らしてしまった方や、水のあげ過ぎに気をつけ過ぎて枯らしてしまった方は必見です!水やりにはちょっとしたコツがあります。一度知ればそんなに難しいことではないので、水やりのコツをマスターして上手に植物を育てましょう!

水やりの役割

植物は、光合成をして育ちます。光合成とは、植物が太陽などの光を受けて根から吸収する空気中の二酸化炭素から栄養分を作るはたらきになります。植物はそもそも80~90%が水分でできており、水分がないと生きていくことができません。水やりは、その水分を補充する役割を担っています。

水やりの三つの基本

これさえ守れば、水やりに失敗することもなくなると言われる、まずは水やりの三つの基本についてお話します。

水やりは土が乾いてから

水やりのコツで一番大切なのは、水は土が乾いたらあげることです。植物は水だけでなく空気も根から吸収するので、一旦乾くまで待つことがとても重要になります。

土の表面が乾いて土が白っぽくなっていたら水をあげましょう。

土の表面が湿っている状態で水やりをすると、根腐れの原因になります。根が窒息する状態を防ぐために、土の表面が乾くまで水やりはしないようにしましょう。

ピートモス主体の土など、土の種類によっては乾いているのかどうか、見ただけではわかりにくいものもあります。このようなときに水やりが必要かどうか確かめるには、土を触ってみるのがおすすめです。土がさらっとしていれば乾いているサインです。水をたっぷりあげましょう。

乾いている土は白っぽく見えます 。

水を含んだ土は黒っぽく見えます。

難しいのは、土の表面が乾いていても鉢の中が湿っているという状態です。大きな鉢に小さな苗を植えて育てている場合や、根がしっかり張っていない場合などによく見られます。思い当たる時は、土を触って中の土が乾燥していないか確かめてみてから水やりをするといいですね。

一見乾いているように見えますが…

触わると中の土は湿っています。

水やりをする時はたっぷりと

次に大切なのが、水をあげるときは鉢底から水が流れ出るくらいたっぷりとあげること。根は鉢の中で鉢の側面や底に向かって伸びていきます。あげる水の量が少ないと、土の中に十分水が染み込まず、肝心の根全体まで水が届きません。また、たっぷり水をあげることで土の中の水分や空気(酸素)が新鮮なものに入れ替わり、栄養分の吸収も良くなります。

たっぷりと水をあげて土の中の空気(酸素)を入れ替えないと、根に新鮮な空気(酸素)が行き届かず光合成ができなくなります。

鉢植えの場合は、鉢の底から水が流れ出るまで水やりをしましょう。また、受け皿にたまった水はすぐに捨てて清潔な状態を保つようにしてください。

水やりは根元に

ガーデニング花の水やり

ジョウロやホースの先のノズルをシャワーにしている場合は注意が必要です。水をたっぷりあげているつもりでも、こんもりと茂るような植物は葉に遮られ株元に水が届いていないことがあります。花に水がかかると萎れてしまったり、葉に水がかかるとダメージを与えてしまう植物もあります。

水をあげる時は植物の上からではなく、花や枝を抑えて根元の土にたっぷりと水をあげるようにしましょう。

水は、根から吸収します。葉や花だけに水がかかって根に行き届かないこともあるので、根元に水やりをするようにこころがけましょう。

水やりのコツ

水やりの三つの基本を踏まえた上で、水やりのその他のコツについてお話します。

水やりの時間帯

水やりは朝のうちにしましょう

「水やりは朝と夕方どちらがよいでしょうか。」とよく質問がありますが、水をあげるのに最適なタイミングは朝です。なぜなら植物は太陽の光を浴びて光合成を行っていますが、光合成には水が不可欠です。植物は葉から水分を蒸散させ、根から水を吸い上げます。そのため、植物が水を必要とする時間帯、つまり朝のうちに水をあげ、夜には土が乾いた状態になるのがベストなのです。

ただ、どうしても朝に時間が取れない場合は、夕方に水やりをしても問題はありません。また、夜に水やりをすることはおすすめしません。夜に水やりをすると、葉は一晩中濡れたままになる可能性があり、病害虫が繁殖しやすくなるからです。

夏はお昼に水やりしないでください

朝の時間帯に水をあげ忘れると、お昼に花が萎れてくることがあります。「今すぐ水やりしなきゃ」と思いがちですが、夏場は、涼しい夕方になるまで水やりを我慢してください。夏の暑い時間帯に水をあげると、すぐに熱湯に変わり逆に植物に大きなダメージを与えてしまいます。

季節ごとの水やりのコツ

季節や天気によって水やりの頻度を調整しましょう

季節に関わらず毎朝なんとなく植物に水をあげていませんか。
植物を植えた土の乾き具合は、植物がぐんぐん生長する時期と休眠している時期では異なります。例えば、新芽が伸びてくる生長期はたくさんの水を必要とします。季節によっても水やり頻度は変わります。植物の生長や気候に合わせて水やりの頻度を調整してください。

鉢植えの場合

春の水やり頻度

春は、植物が新芽を伸ばす生長期です。温かくなるにつれて水やり頻度を増やしていきましょう。3月~4月は土が乾いていなければ水やりの必要はなく、目安として2日に1回程度です。5月頃からは土が乾いていたら毎日水やりをするようにしてください。

水やり頻度
3月~4月2日に1回
5月毎日

梅雨の水やり頻度

高温多湿の日本で気をつけたいのは、湿度が高く土が乾きにくい梅雨時の管理です。過湿が苦手な植物はダメージを受けやすいので、置き場所を工夫し、土の状態をよく確認してから水やりをする必要があります。天気によりますが、土が乾いていたら水やりするようにします。

水やり頻度
6月毎日(雨の日はしない)

夏の水やり頻度

夏は最も水切れに注意が必要な季節です。夏は最低でも一日1回は水やりをしてください。朝夕2回の水やりが理想です。 水やりの際はホースにたまった水を捨て水温に注意してあげてください。

水やり頻度
7月~8月毎日(理想は朝夕2回)

地植えの既に根が張っている庭木や多年草でも、土が固くなるほど日照りが続いた場合は、水やりをするといいです。

秋の水やり頻度

秋は、植え替えたばかりの庭木や多年草にとって根の生長に適した季節です。開花期が長い一年草もまだ根が生長しています。寒くなるまでは、毎日水やりをしてください。寒さが厳しくなるにつれ水やり頻度を徐々に減らしていき、土が乾いていなければ水やりはしないでください。目安として、10月頃からは2日に1回程度です。

水やり頻度
9月毎日
10月~11月 2日に1回

地植えの既に根が張っている庭木や多年草でも、雨が降らない日が続いた場合は、月に2回程度の水やりをするといいです。

冬の水やり頻度

冬は、植えたばかりの多年草や多年草でも一般的に週に1~2回の頻度の水やりで十分です。週1~2回程度の頻度が冬にちょうど土が乾く目安になります。最低温度が氷点下になるような寒い日の水やりは午前中に終わらせるようにしましょう。日が暮れて氷点下になると、鉢の中の水が凍り根が傷んでしまいます。

水やり頻度
12月~2月週1~2回

地植えの既に根が張っている庭木や多年草でも、雨が降らない日が続いた場合は、月に2回程度の水やりをするといいです。2週間に1回程度、土が乾いていないか確認するようにしましょう。

地植えの場合

地植えの既に根が張っている庭木や多年草は、一般的には雨だけで十分で水やりをする必要ないとされていますが、雨が降らない日が続いた場合は、月に2回程度の水やりをするといいです。

また、乾燥気味に育てるとよい植物は、土が完全に乾いてから水をあげるようにしましょう。乾燥気味に育てるとよい植物は、忘れな草やカンパニュラ、千日紅やガザニアなどになります。乾燥を好む植物を花壇に地植えしている場合は、ほとんど水やりの必要はありません。

植え替え後の水やり

植え替え直後はたっぷり水やりをしましょう

植え替えた直後は、鉢底から水が流れ出るまでたっぷりと水をあげてください。

植え替え後しばらくは萎れないように注意しましょう

植え替えたばかりの苗は根がまだしっかりと張っていないため水切れに注意します。地植えにした場合も、完全に根づくまでは萎れないように水をあげましょう。
ただ、根は水を求めて伸びていくので、あまり過保護にしすぎるのも問題です。根づいたら植物の様子を見ながら水やり頻度を調整してください。

剪定や切り戻し後の水やり

剪定や切り戻し直後はたっぷり水やりをしましょう

剪定や切り戻しをした後も、土が乾いていたら鉢底から水が流れ出るまでたっぷりと水をあげてください。それにより回復する力が促進されます。また受け皿にたまった水はすぐに捨てて、清潔に保つようにしてください。

水やりを簡単にする工夫

1
水がすぐ乾く場合は、鉢サイズを検討しましょう

水やりをしてもすぐに土が乾いてしまうという場合は、植物に対して鉢が小さすぎたり、鉢の中で根がいっぱいになっている可能性もあります。大きめの鉢に植え替えて、育ててあげましょう。

2
効率的に水やりをするために、ウォータースペースを確保しましょう

プランターや鉢植えの場合は、縁から2~3cmの所まで土を入れるようにしてください。土面より上の部分をウォータースペースと呼び、一時的に水を溜めるスペースとして確保します。
水が土に浸透していくには十数秒かかるものです。1つの鉢のウォータースペースに水をいっぱい溜めたら、水が浸透するまでは別の鉢に水やりをします。水が浸透したら、再び水をウォータースペースに溜めます。それを鉢底から水が流れ出るまで繰り返すことで、水やりをする時間を随分と短縮することができます。

3
水やりサポート資材アクアセルなどの底面吸水を活用しましょう

アクアセルは一般的な底面吸水とは違い、植物が自ら必要とする水分量だけを土に吸い上げるため根腐れの心配もありません。水やり頻度も必要な水の量も半減すると言われています。

根腐れしてしまったら

土壌が湿っているのに植物が萎れてきたり葉が黄色に変色したりする場合は、根腐れを起こしている可能性があります。

根腐れをしている時に、元気がないからとたくさん水をあげてしまうと逆効果になります。根がどの程度傷んでいるかによるので植物が回復する保証はありませんが、積極的に根腐れした場合の対処方法をとってみてください。

旅行中の水やり対策

2~3日の旅行の水やり対策

2~3日程度の留守であれば、出発日の涼しい時間帯にたっぷりと水やりをしましょう。帰宅すると少し元気がなくなってしまっているかもしれませんが、また毎日たっぷりと水やりを続ければ復活します。

4日以上の旅行の水やり対策

4日以上の外出や旅行の場合は、何かしら対策をした方が安心です。一番お手頃な手法が100均一のお店に売っているペットボトル専用の水やり道具を使うことです。大きめのペットボトルを水やり道具に装着して土にさします。

底面吸水アクアセル

また、水やりサポート資材アクアセルなどの底面吸水を活用するのも効果的です。アクアセルは一般的な底面吸水とは違い、植物が自ら必要とする水分量だけを土に吸い上げるため根腐れの心配もありません。

もし、近所のお友達や親せきに水やりをお願いできるようであれば、頼むのもいいですね。その時は、お土産と一緒にお礼を忘れないようにしましょう。

長期的な水やり対策

そして、もっと長期的に家を留守にするような場合は、自動潅水(自動水やり)を検討してみてはいかがでしょうか。水やりタイマーや散水タイマーを購入し、ホースに穴を開けてDIYすればお手軽に自動水やり器を作成することもできます。自動潅水は、留守時だけに限らず、暑い夏場はもちろん普段から大活躍してくれること間違いありません。

水やりのよくある質問

Q
雨が降った日は、水やりをしなくていいですか。
A

鉢の中の土までしっかりと濡れる程度の雨が降ったら、水やりはしなくても大丈夫です。短い時間しか雨が降らない場合や、雨が降っても少しの雨しか降らなかった場合は、鉢の中の土を触って水やりが必要かどうか判断してください。土が乾いていたら水やりをしましょう。

Q
夏は昼間に水やりをしてはいけないとのことですが、どうしても水やりが必要な場合はどうしたらいいですか。
A

夏の昼間にどうしても水やりが必要な場合は、鉢ごと涼しい場所に移動させてから、バケツに氷水を張りその中に鉢ごと浸けるなどして水が熱湯に変わらないための対策をしてから行ってください。

Q
観葉植物の水やりで気をつけるべきことは何ですか。
A

以下に記述したので、参考にしてみてください。

お部屋で育てる植物の水やり

室内鉢植えの水やり

水やりの三つの基本は、外で育てる鉢植えもお部屋で育てる観葉植物も同じです。

ただ、お部屋で育てる鉢植えや観葉植物の場合、外で育てるよりも水の蒸発量は少なく土の乾燥もゆっくりになります。そのため夏でも毎日水やりをする必要はありません。土を触って乾いたタイミングで水やりをするようにしてください。土が乾くタイミングは、冷暖房器具や換気扇の使用に大きく左右されるので、一概には言えません。実際に土を触ってみて、何日ぐらいで土が乾くかを覚えていってください。

鉢皿に溜まった水は捨てよう

水をあげる時は鉢底から水が流れるまでたっぷりあげるのは、外で育てている場合も屋内で育てている場合も同じです。一度水やりをして受け皿に溜まった水は、捨てるようにしましょう。水やりをしてから一時間程は、受け皿に少しずつ水が溜まっていきます。それを長時間放置したままにしないようになるべく早く捨てて、根腐れを防ぎましょう。

葉水をしよう

冬の室内は、暖房器具で乾燥しがちになります。かと言って土はまだ湿っているなという時は、霧吹きで葉を濡らすのがいいです。霧吹きで葉を濡らすことを、葉水と呼びます。葉水は、水を苦手とする害虫ハダニの対策としても有効です。乾燥する冬だけに限らず、暑い夏で夏バテしがちな植物にも、室内で鉢植えを育てている場合は葉水をするようにしてください。

花瓶の水やり

花瓶に入れた切り花の水は、できたら毎日入れ替えるようにしましょう。花瓶の水は、時間が経つにつれて雑菌やバクテリアが繁殖しやすくなります。切り花をできるだけ長持ちさせるには、常に清潔な水で育てるためにも水をこまめに替えるようにしましょう。

まとめ

水やりの基本とコツは「1.土が乾いてから水やりをする」「2.水やりをする時はたっぷりと」「3.水やりは根元に」の3つです。

「お花が水を欲しがっている」とか「まだ水をあげなくても大丈夫」といった植物の様子が観察して分かるようになってくれば、もうベテランガーデナーの仲間入りです。水やりのコツを押さえて上手に植物を育ててくださいね。他にもガーデニングでお困りごとがあれば、ガーデニング入門を参考にしてみてくださいね。