「花が咲くのをずっと楽しみしていたのに、虫に食われて花が咲かない」「いつの間にか葉っぱが虫食いだらけになっている」そんな経験はありませんか。ガーデニングをしていると出くわすのが、やっかいな害虫です。ガーデニング初心者にとっては、最大の敵ではないでしょうか。ここでは、ガーデナーの悩みの種でもある困った害虫の被害とその予防や対策・駆除方法をご紹介します。


害虫の種類によって対処方法はさまざまです。代表的な害虫の見つけ方や駆除方法を知って、早めに対策できるようにしておきましょう。

アオムシ・イモムシ・毛虫類

ガーデニング 害虫

葉っぱが食われていたり、黒や緑色の粒状の糞が落ちていたら、そのあたりにアオムシやイモムシ・毛虫がいる可能性があります。アオムシやイモムシ・毛虫類は卵・幼虫・蛹・成虫の完全変態で、春から秋にかけて数回発生します。

害虫毛虫
アオムシ・イモムシ・毛虫類の予防方法

葉裏や枝をよく観察して卵のうちに発見して取り除きましょう。薬剤で積極的に防除する場合はオルトランなど、効果が持続するタイプの殺虫剤をあらかじめまいておくと効果的です。

アオムシ・イモムシ・毛虫類の駆除方法

見つけたらすぐに捕殺するのが一番の対策です。小さな幼虫が残っている可能性もあるので、植物に園芸用殺虫剤をかけておきましょう。 チャドクガ・イラガなどは、一カ所に集まっている孵化直後に、葉ごと切り落として処分します。

アブラムシ

ガーデニング 害虫

アブラムシの繁殖期は、4~6月と9~10月です。雌だけで増えることができる(単為生殖)ので繁殖力が旺盛です。アブラムシは、植物の栄養分を吸い取ってしまうので早めに駆除したい害虫です。アリが植物を上り下りしているとアブラムシがいる可能性があります。発生初期で対処すると、被害の拡大を食い止めることができます。注意して葉を観察してみてください。

アブラムシは病気(ウイルス病)を運んだり、排泄物にカビが生えて葉が黒いすすに覆われたようになる「すす病」を誘発することもあります。 アブラムシの成虫の大きさは、1~4㎜程度になります。

アブラムシの予防方法

鉢は、風通しの良い場所に置きましょう。アブラムシは黄色い色に誘引される性質があるので、黄色の粘着テープを吊るしておくと発生予防に役立ちます。積極的に防除する場合はオルトランなどの浸透移行性で効果が持続するタイプの殺虫剤をあらかじめまいておきましょう。

アブラムシの駆除方法

アブラムシがたくさんついてしまった部分は切り落とし、アブラムシに効く薬剤を散布しましょう。

カイガラムシ

カイガラムシ

カイガラムシは5~7月に発生することが多いです。植物から栄養を横取りして、弱らせてしまいます。葉の表面がテカテカしていたり、ベトベトしていたらカイガラムシが発生している可能性が考えられます。注意して葉を観察してみてください。

カイガラムシ
カイガラムシの予防方法

鉢は、風通しの良い場所に置きましょう。

カイガラムシの駆除方法

植物の茎に小さな球状のものや白く平べったいものがついていたら、歯ブラシやへらなどでこそぎ落としましょう。成虫は足が退化しているため、植物からはがすことで駆除できます。但し成虫は薬剤が効きにくくなるので、幼虫のうちに駆除しておくことをおすすめします。 カイガラムシに効く薬剤を散布しましょう。

ハダニ

ハダニは梅雨明け頃から夏場にかけて、高温で乾燥している場所に出やすく、雨の当たらないベランダなどでよく見られます。

初めは葉の裏にほこりがついているように見え、次第に葉の表が白い点に覆われていきます。植物の葉に無数の白い点やかすり状の斑点が現れたらハダニが発生している可能性が考えられます。放っておくと葉の全体に症状が拡がり、枯れてしまいます。

葉ダニ

ハダニは、0.3~0.5㎜くらいの小さい虫で、特に葉裏をよく観察すると肉眼では赤や黒の点のように見えます。ハダニは葉裏に寄生して、植物から栄養分を吸いとっていきます。

ハダニはクモの仲間で、数が増えると糸で葉がからまってきます。葉をこするように触ると、ざらざらした感触です。

ハダニの予防方法

ハダニは水に弱い性質があるので、葉っぱの表裏にしっかり水をかけると効果的です。お部屋の場合は霧吹きで水をかけるようにしてください。

ハダニの駆除方法

ハダニがたくさんついてしまった部分は切り落とし、ハダニに効く薬剤を散布しましょう。

アザミウマ(スリップス)

アザミウマ(スリップス)

アザミウマは、多くの花、野菜、果樹や雑草に寄生します。葉や花にかすれたような白色や褐色の斑点が現れたり、花色がかすれたりしたら、アザミウマ(スリップス)の食痕の可能性があります。どこにでもいる害虫ですが、近くに雑草が繁茂していたり、野菜畑、果樹園が近くにある場合には注意が必要です。

スリップスの被害

アザミウマには多くの種類があり、黒色のネギアザミウマやヒラズハナアザミウマと黄色のミカンキイロアザミウマやミナミキイロアザミウマが代表的です。 アザミウマは植物に傷を付けて吸汁するので、ミカンやブドウなどの果実では被害箇所がカサブタ状になる場合があります。アザミウマの成虫の大きさは、1~2㎜程度になります。

アザミウマ(スリップス)の予防方法

アザミウマは非常に多くの植物に寄生します。そのため、雑草など発生源となるものはできるだけ除去し、咲き終わった花などは摘むようにして発生源を作らせないように予防してください。鉢は、風通しの良い場所に置きましょう。アザミウマは青色に誘引される性質があるので、青色の粘着テープを吊るしておくと発生予防に役立ちます。
積極的に防除する場合はオルトランなどの浸透移行性で効果が持続するタイプの殺虫剤をあらかじめまいておきましょう。 アザミウマ(スリップス)は蕾に侵入して加害するので、殺虫剤で予防するタイミングは蕾の時期になります。

アザミウマ(スリップス)の駆除方法

気が付かないうちにアザミウマ(スリップス)が蕾に侵入している場合、開花して花弁が展開すると花弁の縁が茶色くなっていたり、花弁に筋状の傷が入っていたりします。そのような被害を受けた花は摘み取り、念の為、アザミウマ (スリップス) に効く薬剤を散布して被害の拡大を抑えましょう。

ナメクジ・カタツムリ

ガーデニング ナメクジ 害虫

もし、植木鉢の周りや葉の上などにテカテカと光るスジのようなものがあれば、それはナメクジが這った跡です。しっかり予防しないと、せっかくの新芽を食べられてしまい、株は大きく育っているのに全く花が咲かないということもあります。

ナメクジ
ナメクジ・カタツムリの予防方法

ナメクジ・カタツムリの隠れ家になるので鉢は地面に直接置かないように、枯葉は溜まらないように定期的に取り除くようにしましょう。また過湿にならないように過度な水やりは避けるなど、ナメクジ・カタツムリが住み着きにくい環境を整えましょう。

ナメクジ・カタツムリの駆除方法

ナメクジ・カタツムリは雨降りの時や夜の間に這い出てきますが、それ以外の時は鉢底や落ち葉の下などに隠れています。誘引殺虫タイプのナメクジ駆除剤をあらかじめまいておびき寄せて退治しましょう。同時にナメクジは鉢の裏やウッドチップの間などジメジメ湿った場所に隠れていますので見つけたら捕殺しましょう。

ヨトウムシ

ヨトウムシ

一夜にして葉が大量に食われたのに虫がいない!というような被害が出る場合は、ヨトウムシの仕業である可能性が高いです。ヨトウムシとはヨトウガの幼虫で、夜活動する大食漢のイモムシです。葉にかじられた跡のような穴が開いたり、葉が薄皮だけになって白っぽく変色したり、黒い粒のような糞が見られたら要注意です。

ヨトウムシ

昼間はたいてい葉裏や株元などで寝ているので姿が見えないのですが、少し探すと見つかります。大きくなると殺虫剤が効きにくくなるので、卵や幼虫の間に見つけたらすぐに捕殺しましょう。幼虫のサイズは2~3cm程度です。 4月~6月、9~11月に活動が活発になります。

ヨウトムシの予防方法

オルトランなどの浸透移行性の殺虫剤をあらかじめまいておきましょう。 ヨトウガ(ヨトウムシの成虫)が卵を産みつけるのは3~5月です。卵は乳白色で2×2cmぐらいの塊となっています。葉の裏などに卵を見つけたら、葉ごと取り除くようにしてください。

ヨウトムシの駆除方法

見つけたら捕殺しましょう。オルトランなどの浸透移行性の殺虫剤をまいておきましょう。

ハマキムシ

ハマキムシ被害

葉がクルクルと丸まっているような場合は、ハマキムシ(葉巻き虫)の仕業である可能性が高いです。ハマキムシとはガの幼虫で、丸めた葉の中に隠れて、葉やつぼみを食べます。

ハマキムシ

数cmしかない小さい幼虫自体を見つけるよりも、幼虫が吐き出した糸で数枚の葉をくっつけていることがあり、その状態を見つける方が簡単です。

ハマキムシの予防方法

オルトランなどの浸透移行性の殺虫剤をあらかじめまいておきましょう。

ハマキムシの駆除方法

クルクルと丸まった葉ごと取り除いてください。

コガネムシ、ネキリムシ

コガネムシ、ネキリムシ

それまで元気に育っていた植物の生育が急に止まり、でも特に病気にやられているようには見えない時は、根が傷んでいる可能性があります。鉢植えであれば根の様子を見るためにも植え替えをしてみましょう。

コガネムシ、ネキリムシ

その際、鉢土の中から丸くなった乳白色の幼虫がゴロゴロ出てくる場合はコガネムシ幼虫による根の食害が原因と考えれらます。また害虫の姿が見えないのに定植直後の苗の地際の茎が噛み切られている場合はネキリムシによる被害が考えられます。ネキリムシは昼間は土の中に潜んでいて、夜の間に地上部に出てきて苗を食害します。

コガネムシ、ネキリムシの予防方法

毎年コガネムシの幼虫の被害が少しでもある場所であれば、植付け前にダイアジノンをあらかじめ土に混ぜ込んでおきましょう。鉢植えの場合は、年に一度は鉢の植え替えをして根の様子を確認するようにしてください。ネキリムシ対策にはネキリベイトなどの誘引殺虫剤を株元に散布することで被害を防げます。

コガネムシ、ネキリムシの駆除方法

周辺のできるだけ多くの土(鉢であれば鉢の中の全ての土)を耕してましょう。耕した際に出てきた幼虫は見つけ次第捕殺しましょう。

害虫がつきにくいお花

害虫対策以前に虫が苦手という方には、害虫がつきにくいお花を選んで育てることも効果的です。但し、ここにご紹介するお花は比較的害虫がつきにくくはありますが、害虫が全くつかないわけではありません。風通しをよくして株が蒸れないように清潔な状態を保つ、殺虫剤をあらかじめまいておくなどの害虫対策はしっかりするようにしてください。

タゲテス ゴールドメダル

分類:キク科タゲテス属 学名:Tagetes lemmonii

レモンマリーゴールドの名前で知られているタゲテスは、一般的に根から分泌されるαターチエニルという物質のおかげで土の中の害虫を寄せつけづらくしている言われています。強いシトラスミントの香りを楽しめるタゲテス ゴールドメダルは、そんなマリーゴールドの一種で、開花期が非常に長いお花です。

ローレンティア フィズアンドポップ

分類:キキョウ科イソトマ属 学名:Laurentia hybrid

ローレンティア(イソトマ)の花言葉はが「猛毒」といわれる通り、茎を折ったときに出てくる汁には触れないように注意してください。お手入れの際には手袋を使用するようにしてください。それを除けば病害虫に強く大変育てやすいお花です。

ポーチュラカ オスカーレッド

分類:スぺリヒユ科ポーチュラカ属 学名:Portulaca umbraticola

ベロアのように光沢感のある花色が特長のポーチュラカ オスカーレッド。真夏の太陽の光を浴びて、キラキラと光沢ある花びらを輝かせてくれます。ハート形の花弁も特徴的です。適度に立ち上がるので、一般的なポーチュラカが抱える「中央に花が咲かない」という心配もありません。

まとめ

害虫は見つけたらできるだけ早く対策しましょう。まめに植物の様子をチェックして、被害が小さいうちに駆除するようにしましょう。混みあった枝を整理して風通しを良くしたり、鉢を花台にのせたり、害虫が発生しにくい環境づくりも大切です。予防のために、植えつけの際、培養土に粒状殺虫剤を混ぜておくのもおすすめです。害虫の他にもガーデニングでお困りごとがあったら、ガーデニング入門を参考にしてみてくださいね。