近年、日本のお庭やベランダでも育てやすいコンパクト品種が普及し始め、注目を集めている紫陽花(アジサイ)が、ノリウツギです。尖がり帽子を被ったような花房の形の紫陽花(アジサイ)で、ピラミッドアジサイの名前でも親しまれています。

ここでは、そんなノリウツギを語るに外せない魅力の1つ、夏から秋にかけて赤く染まっていく花色変化のメカニズムについてお話をします。

ノリウツギとは

ノリウツギ(学名:Hydrangea paniculata)は日本全体に広く分布する落葉シュラブ(低木)で紫陽花(アジサイ)の一種になります。円錐状の花房の形が特徴的で、別名ピラミッドアジサイとも呼ばれています。

ノリウツギの花のように見える部分は、実は萼片(がくへん)で、自然に散ることがありません。

ノリウツギの花色が変わる理由

その花房の特性上、一般的な紫陽花(アジサイ)よりもゆっくり咲き始め、花が少ない夏に満開の姿を楽しむことができるのも人気の理由の1つです。

また、剪定が難しいと言われる紫陽花(アジサイ)ですが、ノリウツギは春に伸びた枝に花芽をつけるので、剪定も2月頃までに行えばよく(一般的な紫陽花(アジサイ)は7月下旬までに剪定をしないと翌年花をつけません)剪定が簡単な紫陽花(アジサイ)なんです。

根づけば植えっぱなしでも毎年花を楽しむことができ、大変育てやすい手間いらずなシュラブ(低木)として、とてもおすすめです。

ノリウツギの花色が変わる理由

一般定な紫陽花(アジサイ)の花色の変化は、土壌のpHによって花色が青色に傾いたり赤色に傾いたりすることで知られています。花に含まれるアントシアニンと土壌に含まれるアルミニウムの化学反応によって、花色が変化します。詳しくは、以下を参考にしてください。

しかし、ノリウツギは紫陽花(アジサイ)でありながら、品種の特性上、土壌のpHに左右されて花色が変わるわけではありません

ノリウツギの花色が変わる理由

品種にもよりますが、近年は赤色に変化しやすいノリウツギが多く販売されています。夏の咲き始めはホワイトを、そして秋になるにつれて恋をしているような赤色に変化するノリウツギに、きっと誰もが夢中になるのではないでしょうか。

その花色変化は、紅葉のメカニズムにとても良く似ており、紫外線夜温に大きく影響されます。

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紫外線が影響します

ノリウツギの花色は、紫外線を多く受けるほどアントシアニンが合成されて赤みが増していきます。それが理由で、日陰で育てたノリウツギは、日当たりが良い場所で育てたノリウツギと比較して、紫外線の量が不足し赤色への変化が少なくなります。

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夜温に影響します

また、ノリウツギのがく片の中のアントシアニンは、夜温15℃程度で最も赤みが増すようです。夜温5℃程度では、がく片の老化が抑制されアントシアンの生成が進まず、逆に気温30℃以上ではアントシアニンは生成されにくくなると言われています。
そのため、暑い夏が終わり夜温が落ち着いた季節にになると、赤色に変化するのを楽しむことができるのです。

キレイに花色変化を楽しむ方法

品種にもよりますがノリウツギは、紫外線が良く当たる日当たりの良い場所で育てれば、夜温が15℃に近づくにつれて、美しい赤色に変化していきます。

ノリウツギの花色が変わる理由

逆に紫外線の量が少ないと、アントシアニンの生成が鈍くなり、早くから褐色の秋色あじさい(ヴィンテージカラー)に変化していきます。

キレイな赤色変化を楽しむには、日当たりの良い場所で育てるようにしてみてください。同じ株の中でも紫外線を浴びている場所とそうでない場所では花色が違って見えるので、気になる場合は、花を間引いて全体に紫外線が行き届くようにしたり鉢を回転させて全体に紫外線が均等に届くようにするとよいです。

地域によるノリウツギの花色変化の違い

ノリウツギの花色変化は、夜温に影響するため、暖かい地域や寒い地域によって花色変化のスピードが異なります。

冬越しガーデニング春の準備

アメリカで販売されたノリウツギ リトルクイックファイヤーは、アメリカでは他のノリウツギよりも早く赤色に変化する性質があることからその名前が付けられました。しかし、近年の日本においては夏の夜温がなかなか下がらず、秋になる頃にようやく赤色に変化します。

ノリウツギを長く楽しもう

ノリウツギの花色が変わる理由

秋に赤色に染まったノリウツギは、さらにはビンテージカラーになって霜が降りる頃まで楽しむことができます。夏から晩秋まで長く楽しめるだけでなく、季節の移り変わりを感じることができるのも、ノリウツギの魅力です。

おすすめのノリウツギ

ノリウツギ ライムライト

分類:アジサイ科アジサイ属 学名:Hydrangea paniculata

ノリウツギの花色が変わる理由

ノリウツギの代名詞とも言える世界に大きな影響を及ぼしたノリウツギが、ノリウツギ ライムライトです。上品な青緑色の花穂がみずみずしく、霜が降りる頃まで花色変化を楽しめます。一般的なノリウツギのサイズで、樹幅、樹高ともに180~240cmと大きく生長します。

ノリウツギ グランデライムチーク

分類:アジサイ科アジサイ属 学名:Hydrangea paniculata

ノリウツギリトルライム

ノリウツギ グランデライムチーク(旧:ノリウツギ リトルライム)は、淡いライムグリーンの花房が優雅なノリウツギ ライムライトのコンパクト品種です。花の色味はライムライトと同じですが、樹高はたった約3分の1というサイズになります。夏に咲く花はどんな植物にもよく合う優しいライムグリーン。秋になるとピンクを帯びたアンティークカラーへと変わり、長く庭を彩ってくれます。

ノリウツギ ミニホイップ

分類:アジサイ科アジサイ属 学名:Hydrangea paniculata

ノリウツギリトルクイックファイヤー

ノリウツギ ミニホイップは、コンパクトな株を覆いつくすように大きな円錐状の花穂をつける姿が圧巻なノリウツギです!夏に咲く白い花は、秋になると徐々に淡いピンク色を帯び、ロマンティックな雰囲気を醸し出します。

ノリウツギ グランデクイックファイヤー

分類:アジサイ科アジサイ属 学名:Hydrangea paniculata

ノリウツギリトルクイックファイヤー

ノリウツギ グランデクイックファイヤーは、ノリウツギ クイックファイアーのコンパクト品種で、サイズはその約3分の1程度になります。花の色が白からピンク、やがて濃い赤紫色へと変化し、晩秋まで楽しめます。

ノリウツギ マキシファイヤーライト

分類:アジサイ科アジサイ属 学名:Hydrangea paniculata

ノリウツギファイヤーライト

ノリウツギ マキシファイヤーライトは、大きな円錐形の花序が株いっぱいにつく、存在感抜群のノリウツギです。花色が乳白色から晩夏には鮮やかなピンク色へ、さらに秋にはザクロのような深みのある鮮やかな赤色に変化し、長い間庭を美しく彩ります。

まとめ

育てやすいだけでなく、夏と秋とその表情を豊かに変え、季節の移り変わりを感じられるノリウツギを育ててみませんか。花色変化のメカニズムを知って、是非秋のノリウツギを堪能してみてください。ピンクに近い赤色やグラデーションカラーを楽しむバイカラーに変化するものもあるので、お好きなノリウツギを選んで育ててみてください。