大事に育てた植物、冬に枯れておしまいではもったいないと思いませんか。ここでは、寒さに弱いために一般的に一年草とされている多年草植物を、上手に冬越しして翌年も楽しむための冬越しガーデニングのポイントをご紹介します。

冬前に植物の耐寒性を確認しよう

まず、育てている植物が寒さに強いのか、あるいは弱いのか確認しましょう。それによって冬越しの対応方法が異なります。植物のラベルに「最低温度〇℃」「非耐寒性」などと書いてあるので参考にしてください。耐寒性があるかないかの判断基準は、10℃になります。

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非耐寒性植物

最低温度が10℃以上必要な植物は、寒さを苦手とする非耐寒性植物と呼ばれます。

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半耐寒性植物

最低温度が0℃~10℃程度の植物は、寒さに応じて防寒対策を行うことが必要な半耐寒性植物です。

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耐寒性植物

耐寒温度が0℃かそれ以下の植物は、寒さに強い耐寒性植物になります。

宿根草や秋植えの一年草の多くは耐寒性が強いので、地植えでも冬を越せるものがたくさんあります。一方、春に植えて春~秋に楽しむ草花の多くは耐寒性があまり強くありません。そのため、冬越しさせるには対策が必要になります

お住まいの地域によっては、その植物が耐えることができる最低温度を下回る可能性があります。耐寒性が不明な場合は、耐寒性ゾーンマップを活用して、屋外で冬越し可能か屋内に入れるべきか確認してみてください。

冬の花で冬ガーデニングを楽しもう

寒い冬でも花が咲く耐寒性の強い花を選べば、冬もガーデニングを楽しむことができます。冬おすすめの花は以下を参考にしてみてください。

冬越し対策をする秋のガーデニング

秋になり少しずつ寒くなり始めたら、植物に耐寒性をつけるために冬支度の準備をしましょう。詳しくは以下を参考にしてください。

冬越し対策をする冬のガーデニング

冬越しガーデニング冬の庭仕事

冬になり気温が下がってきたら、しっかりと植物の防寒対策をしましょう。
葉の色が変わって傷んでくる、生長がストップするなどの変化があれば、早めに防寒対策が必要です。特に、寒波がやってくる時は注意してください。天気予報を観ながらあらかじめ寒さ対策ができるといいですね。では、具体的にどういった防寒対策が効果的かご紹介します。

非耐寒性植物の防寒対策

室内に取り込む

寒さに弱い非耐寒性多年草の場合は、どんなに対策をしても屋外のままでは寒さで耐えることができる最低温度を下回り、枯れてしまいます。地植えの多年草で耐寒性が弱い植物は切り戻しをして、鉢に上げて室内に取り込みましょう。

室内でも置き場所に注意!

室内でも玄関や廊下などは気温が低く、非耐寒性植物にとっては寒すぎて枯死してしまう可能性があります。特に寒さに弱い観葉植物などは、暖かい部屋で育てましょう。気をつけたいのは夜間の気温です。窓辺は夜になるとガラスから寒さが伝わって冷え込みます。昼間は日当たりの良い窓辺に置いてある植物も、夜は部屋の中央などに移動してあげると安心です。
また、エアコンの風が直接当たる場所も避けましょう。乾燥しすぎる場合は加湿器や霧吹きで湿度を調整します。

水栽培する

ユーフォルビアダイアモンドフロストの冬越し

@risa_room様は、2節程度にカットしたユーフォルビア ダイアモンドフロストとユーフォルビア ダイアモンドスノーを、水差しに入れてお部屋で冬越しチャレンジしてくださっています。

ユーフォルビアダイアモンドフロストの冬越し

窓辺の明るいところで保管したら、2週間ほどで根がこんなに出てきたそうですよ!春になってまた植えつけるのが楽しみですね。PW(ピーダブリュー)の花苗たちは生育旺盛なものがたくさんあります。水栽培で上手に冬越しできるものも多くあるので、是非皆さんも参考にしてみてください。

挿し木や挿し芽は自宅で楽しむだけにしてください

挿し木や挿し芽にして増やしたブランド苗を、無断で人に譲ったり売ったりすることは「種苗法」という法律で禁止されています。生産者や品種開発者を守るためにも、増やした苗は人に譲ったりせずに、自宅で楽しむだけにしてくださいね。

耐寒性植物の防寒対策(地植えの場合)

マルチングをする

屋外で冬越しできる植物も、霜から根や新芽を守るためにマルチングをしておきます。マルチングとは、植えた植物の地上部を覆い根を寒さから守ることです。

冬越しガーデニングマルチング

マルチングに使うのは腐葉土や堆肥、バークチップなどがあります。腐葉土と堆肥は春になったらそのまま土にすき込んでしまいましょう。落ち葉がたくさん降り積もる庭では、落ち葉でのマルチングもおすすめです。

ビニール袋やプチプチシートで覆う

ビニール袋や包装用クッション材(プチプチシート)で植物全体を覆うのは、最も簡単な防寒対策です。背丈が高い植物の場合は、支柱を立ててその上から被せるのがおすすめです。温かい昼間は外して、湿気がこもるのを防いでください。

冬越しガーデニング対策

100円均一で買ったワイヤーバスケットにビニール袋をかけて、花苗だけの小さなビニールハウスを作ってみました。地植えの場合は、こういった防寒対策も有効です。

段ボール箱などで覆う

段ボール箱などで植物全体を覆い、昼間は外すのも、お手軽で効果的な寒さ対策です。

寒冷紗や不織布で覆う

移動できない鉢植えやシュラブなどの植物の寒さ対策には、寒冷紗や不織布(べたがけシート)を使いましょう。屋外で冬越しできる植物も、霜が降りそうなときは不織布で全体を覆ってしまうと葉が傷まず安心です。

耐寒性植物の防寒対策(鉢植えの場合)

日当たりのいい場所に置く

ペチュニア スーパーチュニアビスタの冬越し

冬の日陰は気温も上がらず寒いですよね。バケツにたまった水が1日中凍ったままということもあります。霜が降りにくい軒下やシュラブ(低木)の下でも、できるだけ日当たりの良い場所で冬越しさせてあげましょう。

二重鉢にする

二重鉢は夏の暑さ対策にも効果的な手段ですが、冬の寒さ対策でも活用できます。鉢植えの植物は、大きめの鉢に入れて二重鉢にすると根を寒さから守れます。

寒冷紗や不織布で覆う

ガーデニング冬越し不織布

不織布(べたがけシート)は、鉢植えの防寒対策としても大活躍します。

ガーデニング冬越し不織布

100円均一ショップの園芸コーナーでも販売しているので、冬の嵐が来る前に1つ準備しておくと安心です。

プチプチシートで覆う

プチプチシート防寒

冬の防寒グッズとして万能な包装用クッション材(プチプチシート)。プチプチ側を内側にして覆うと、暖かい空気層が内に閉じ込められます。昼間は空けて空気がこもらないようにしてくださいね。

霜の降りにくい軒下などに移動する

雨のガーデニング対策
@type_saki_flower様の投稿

ビニールで囲ったビニールハウスです。壁面側はビニールを張らずに風通しをよく工夫されています。軒下などの霜の降りにくい場所に移動するだけでも、冬の厳しい寒さから植物を守り、冬越ししやすくなります。

防寒具を利用する

防寒対策
@nahoko0930 様の投稿

コンパクトに切り戻してから、上からフラワースタンドを被せその上から園芸店などで購入できる帽子状の防寒具を被せて防寒対策をしています。強風で飛ばない様に備え付けの留め具でスタンドに固定しているとのことですよ。

防風対策も忘れずに

ベランダなどで育てている鉢植えは強い風にも注意が必要です。北風が強い地域も気をつけましょう。風の当たらない場所に移動できない場合は、不織布で覆ったり風よけになるものを置いたりして、風が直接植物に当たらないように工夫しましょう。

冬の水やり対策

冬は、水やりの頻度を下げましょう。土の表面が乾いていても、葉が萎れていなければもう1日待ってから水やりをするぐらいで大丈夫です。ただ、水やりをする際は鉢底から水が流れ出るまでたっぷりとあげることは忘れないようにしてください。

最低温度が氷点下になるような寒い日の水やりは午前中に終わらせます。夜間の気温が氷点下になると、鉢の中の水が凍り根が傷んでしまいます。鉢植えは特に寒さの影響をダイレクトに受けるので注意しましょう。

春の準備をする冬のガーデニング

剪定と寒肥

冬のガーデニング仕事

シュラブ(低木)の剪定

落葉樹は冬の間に枝ぶりを見ながら剪定をしましょう。既に翌年の花芽がついている旧枝咲きのシュラブ(低木)の場合は、花芽を切り取らないように樹形を整えましょう。

ガーデニングで人気の アナベル(アメリカあじさい) やノリウツギの剪定も春が来る前に行いましょう。アナベル(アメリカあじさい)やノリウツギは、一般的なアジサイとは異なり春から伸びる新枝に花芽がつく剪定が簡単なアジサイです。「7月に剪定しなきゃ!」と焦る必要はなく、花が咲き終わってから早春までの好きな時期に剪定をすればよく(剪定可能時期が長く)ガーデニング初心者の方にも剪定で失敗すことが少ないアジサイです。

アナベル強剪定

あまり樹高を高くしたくない場合は、地際2~3節の芽の上で剪定しても大丈夫です。

シュラブ(低木)の寒肥

また、休眠期には寒肥(かんごえ)を施します。

バラの剪定

12月、1月はバラの剪定時期です。病気予防のためにも葉を全部落とし、細くて弱い枝や枯れた枝、込み入っている部分は根元から剪定し、それ以外の枝は育てる場所に合わせて高さを決めて剪定します。つるバラは同時に誘引も行いましょう。

ガーデニング計画立案

冬の間に、春からのガーデニング計画を立てましょう。

春のガーデニング計画

この時期に考えておきたいのが庭のデザインです。特に、一度植えたら長く育てたいシュラブ(低木)の配置はよく考えておきたいものですね。花が咲く季節などを考えながら、どのような庭にしたいのか、どの植物を育てようかと選ぶのはとても楽しい作業です。

PWアンバサダー

春に備えてイメージを膨らませながら、カタログやインターネットで情報を集めておくのがおすすめです。PWのinstagramGreenSnapをフォローしておくと、カタログプレゼントのお知らせも受け取ることができますよ!

春になると新品種も多く発売されます。ネットで購入する場合は早めに予約販売が始まるものもあるので、春に入る前にチェックしておくのがおすすめです。

冬のガーデニングよくあるご質問

Q
花がよじれて咲き始めました。どうしたらいいでしょうか。
A

寒い季節は、写真のように花がよじれて咲くことがあります。
冬のガーデニング
暖かくなったら、たくさんの花を咲かせるための開花を自制する生理現象になります。病気や害虫などによる障害ではありませんのでご安心ください。

Q
花が枯れてしまいました。復活するのでしょうか。
A

まずは、その植物が寒い冬に地上部が枯れる宿根草でないか調べてみましょう。
ヘリオプシスサマーパレット
宿根草の場合、地上部は枯れますが根はいきています。枯れ枝を切り取る程度に留めてそのまま冬越ししてみてください。きっと春には満開の姿をみせてくれます。

Q
春に咲くはずの花が咲き始めました。どうしたらいいでしょうか。
A

本来春に咲くはずの花が、写真のように冬越し中に咲くことはよくあります。切り取ってしまうと、お花によっては春に咲かなくなってしまいます。
冬のガーデニング
寒さで花が傷まないように、軒下などで育てたり、夜はビニールで覆うなどの防寒対策をしてあげるといいですね。

Q
春に咲く花を冬にお迎えしました。春の満開に向けて摘心(ピンチ)してもいいですか。
A

冬にお迎えした春のお花、大きく育てたいので摘心(ピンチ)をしたい所ですが、寒い時期に摘心(ピンチ)をすると枯れてしまうことがあります。 春になって暖かくなってから摘心(ピンチ)をしましょう。
マーガレットの摘心ピンチ
※マーガレットは、春になって咲いている花を切り落としてしまうと、春は花が咲かなくなってしまいます。花が咲き終わってから、次のシーズンに向けて形を整える切り戻しをしましょう。

Q
寒さで冬に咲く花が傷んでしまいました。切り戻しをしてもいいですか。
A

強い霜にあたると、株が傷むことがあります。寒い冬に切り戻しをすると枯れてしまうことがあるので、気になるようであれば、痛みが強い場所だけ切り取るようにしてください。春になって暖かくなったら、形を整える切り戻しをしましょう。
スーパーアリッサム冬越し

まとめ

冬を無事越した株は、春にはすでにしっかりと根を張っているので、春に新たに植えるよりも大きな株で楽しむことができます。素敵な春を迎えるためにも、是非冬越しにチャレンジしてみましょう!

また、屋外でのガーデニング作業がない冬にこそガーデニング計画を考えて、春のガーデニングシーズンに向けて、冬の間に植物選びやお手入れをして準備しておきましょうね!