植物とふれあい、育てることで心身の健康を整える「園芸療法」。高齢者施設や病院、リハビリセンターなどで取り入れられ、ストレスの緩和や認知機能の改善、社会性の回復などに役立つと注目を集めています。本記事では、「園芸療法とは何か?」という基礎から、その効果、取り入れ方、実際に使われている植物の紹介まで、わかりやすく解説します。ご家庭でも実践できる内容もご紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください。
園芸療法とは
園芸療法(Horticultural Therapy)は、植物の栽培やガーデニング活動を通して、身体的・精神的・社会的な健康の回復や向上を図る「補完的療法」のひとつです。アメリカやヨーロッパでは医療や福祉の現場で広く用いられており、日本でも高齢化の進展とともに関心が高まっています。
園芸療法の歴史
園芸療法のルーツは古代エジプトやギリシャ時代にまでさかのぼり、植物と触れ合うことが人々に癒しをもたらすと信じられていました。現代的な形では、アメリカの退役軍人病院が第二次世界大戦後にリハビリテーションの一環としてガーデニングを取り入れたのが始まりとされています。日本では1990年代から徐々に広まり、現在では専門の園芸療法士も活躍しています。
園芸療法の主な効果
精神的効果(癒し・ストレス緩和)
植物と触れ合うことにより、リラックス効果が得られることが研究でも示されています。植物を育てる行為には「マインドフルネス効果」もあり、不安やうつ状態の軽減に役立ちます。
身体的効果(リハビリ・運動機能の維持)
水やり、土を耕す、花がらを摘むといった園芸作業は、軽度の身体運動として機能します。リハビリや機能維持の目的で、特に高齢者やリハビリ中の患者に効果的です。
認知機能への影響(認知症予防)
植物の世話には段取りや計画性が求められるため、記憶力や判断力の刺激になります。認知症予防の観点からも有効とされ、多くの介護施設で取り入れられています。
社会的効果(コミュニケーション・自己肯定感)
植物を育てることで「役に立てた」という感覚が芽生え、自己肯定感の向上にもつながります。
植物を育てることは、未来の地球環境を豊かにする働きに貢献することもできます。植物や花は、地球の食物連鎖を支え、生態系を守る重要な役割を果たしています。自然を次世代へと引き継ぐためには、こうした命のつながりを大切にすることが欠かせません。
次の世代を見据えるシニア世代にとっても、このような取り組みに参加することは、意義のある課題解決のひとつになります。
園芸療法はどんな場所で活用されている?
園芸療法は、さまざまな施設や現場で活用されています。
生活の質(QOL)向上や認知症予防として
精神的安定と身体機能の回復を目指して
自立支援や作業療法の一環として
感覚統合や達成感を重視した活動に
家族と一緒に楽しめるケアとして
家庭でもできる園芸療法の実践方法
家庭でも簡単に取り入れられる園芸療法のポイントをご紹介します。
1つの鉢植えから始めましょう
まずはベランダや室内でできる「鉢植えガーデニング」から始めてみましょう。毎日の水やりや観察が日課となり、生活のリズムを整える助けになります。。
観察ノートをつけてみましょう
植物の成長や変化を記録することで、達成感や発見が得られます。簡単なメモや写真を添えるだけでもOKです。
丈夫な植物を選びましょう
せっかくガーデニングに挑戦したのに、失敗してもらうとなかなか続かないものです。初めは、ガーデニング初心者でも失敗しづらい強健な植物を育てることから始めましょう。自然とのつながりが生まれ、情緒が安定しやすくなります。
園芸療法の始め方
準備するもの

初めは、道具も必要最低限でOK!軍手、スコップ、ジョウロ、園芸用土とプランター…そして苗があれば始められます。まずは100均やホームセンターで安価(全部で2,000円程度)に揃えてみるのも、手軽でいいかもしれませんね。
植えつけ方
買ってきた苗は、まずひと回り大きな鉢に植え替えてガーデニングのスタートです!
「主な用途」から、鉢植え・プランターとなっている植物を選びましょう。
また「植えつけ」にあるサイズの鉢を準備します。
培養土には肥料と殺虫剤を混ぜておきましょう。
ポットを揉んで、根を触らないように苗を出しましょう。「ポット底穴から根が出てる」「水を吸収しないほど根が固まっている」場合のみ、根を軽くほぐしましょう。
鉢植えで育てる場合は、鉢の縁から2cm程度のウォータースペースを取れる高さにしましょう。
360度まんべんなく土を入れていきましょう。
鉢底から流れ出るまでたっぷりと水をあげて完了です。もし水やりをして土が下がった場合は、土を足してくださいね。
園芸療法におすすめの植物
園芸療法に使われる植物には、病害虫に強い育てやすく、視覚・触覚・嗅覚に働きかけるものが多く選ばれます。さらに、毎日のように目に見える生長が見える生育旺盛な植物を選ぶと、効果的です。

ネペタ キャッツパジャマ
コンパクトな株に、可憐な小花と柔らかな香り!心落ち着く柔らかな香りを楽しめるネペタ キャッツパジャマは、癒しの効果が期待できます。耐えることができる最低温度は、目安としてー35℃と耐寒性に優れており、四季を通じて毎年楽しめるのも魅力です。青色には、心を落ち着けたり安らぎを感じる効果があり、お花の色としても人気があります。

ヘリオトロープ ブライドブルー
夏に連続開花するヘリオトロープ 甘い香りをまとって!香水の原料にもなるやわらかなバニラの香りを持つヘリオトロープブライドブルー。分枝性が良くたくさんの花がつくため、近くを通るだけで甘い香りを感じることができ、ポプリやドライフラワーとしても楽しめます。紫色の花が長い間咲き続け、管理も簡単で園芸療法にもおすすめの育てやすい品種です。

ぐんぐん大きくなるカリブラコア
【PW×コメリ コラボ商品】目指せ1.5m!生育旺盛カリブラコア!春から秋まで長く咲く夏の定番のお花カリブラコア。その中でも、もっとも丈夫なカリブラコアの1つがコメリでしか買えないぐんぐん大きくなるカリブラコアです。驚く生育力で、日々の生長を実感できるのも園芸療法におすすめする理由になります。
専門家の支援と資格制度について
園芸療法は専門的な知識やプログラム設計が必要な場面もあります。日本には「園芸療法士」の資格制度があり、病院や福祉施設などで専門家として活動しています。主な団体としては、日本園芸療法学会や日本園芸福祉普及協会などがあります。
園芸療法士の育成や研究活動を行っており、講座や研修も開催されているので、是非参考にしてみてください。
まとめ
園芸療法は、自然と触れ合うことで心を落ち着かせ、体を動かし、他者とつながることができる「全人的な癒しのアプローチ」です。特別な設備がなくても、プランターや鉢植えから始められる手軽さも魅力です。
ストレス社会といわれる現代において、園芸療法は誰にとっても必要な「心のオアシス」になり得る存在です。自宅でも、施設でも、ぜひ一度その力を体感してみてください。
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