日当たりが悪いからとガーデニングを諦めていませんか。実は日陰や半日陰でも、耐陰性のある植物を選べば、おしゃれな庭を楽しめるんです!
ここでは、ローメンテナンスで何年も楽しめる日陰で育てやすいおすすめの宿根草と、育て方のポイントをご紹介します。
日陰の庭の魅力
日陰の庭=「暗くて植物が育たない」というイメージを持たれがちですが、実は日なたの庭とは違うとても魅力的な空間です。光が控えめな環境だからこそ生まれる、静かで落ち着いた雰囲気を楽しめます。
穏やかで心地よい空間を作れます
夏の直射日光を防ぐことができるため、夏でも比較的涼しく、過ごしやすいリラックス空間になります。特に木陰のある庭は、暑い日でも快適に過ごせるのが魅力です。
洗練された美しさを楽しめます
日陰では、シダ類やカラーリーフの深い緑やシルバー、紫がかった葉色が映えます。派手な花が少ない分、落ち着いた雰囲気になり、大人っぽくシックなガーデンデザインを楽しめます。
手間いらずな庭を実現できます
日陰向けの植物は、成長がゆっくりで、乾燥しにくいため、水やりや手入れの手間が少なくて済みます。たとえば、アジュガ、クリスマスローズ、フロックスなどの宿根草は一度植えれば毎年楽しめるため、ローメンテナンスな庭づくりが可能です。
四季折々の表情を魅せます
日陰の庭では、常緑のシェードプランツや、春に咲くクリスマスローズ、秋に色づくギボウシの葉など、一年を通して異なる表情を楽しめるのも魅力です。
日陰の種類
一言で日陰と言ってもさまざまな場所があります。おしゃれな日陰の庭づくりは、自分の家にどのような日陰があるのか理解することから始めましょう。
半日陰とは
半日陰とは、1日の日照時間が2~3時間程度の場所のことです。木漏れ日の当たる場所や、午前中あるいは午後になると日が当たる場所などがあります。
季節により半日陰になる場所は変わります。家の向きや、周囲の建物・塀の高さなどによって、思わぬ場所に意外と日が当たっていることもあるので、一度家の周囲の日当たりを観察してみるのがおすすめです。
日陰とは
日陰とは、1日中ほとんど日が当たらない場所のことです。
このうち、宿根草などの植物がよく育つのは、直射日光は当たらずとも壁で反射した間接光などが当たる明るい日陰になります。ある程度風通しが良い場所であれば、耐陰性の強い植物を地植えにして花を楽しむことも可能です。
一方、じめじめした暗い日陰の場合は、茶庭の露地に植えるようなコケやシダ類、ツワブキ、アマドコロなどの植物が向いています。砂利を敷いたり飛び石を置いたりして、じめじめした印象をしっとりとした雰囲気に変えてイメージアップしてみましょう。
日陰におすすめの植物
耐陰性の高い植物を選びましょう
日陰でも育つ植物選びでもっとも重要なのが、耐陰性です。耐陰性の高い植物を選べば、日陰でも花を楽しむこともできます。
手間のかからない植物を選びましょう
その次に大切なのが、ローメンテナンスな植物を選ぶことです。いつも目やお手入れが行き届くような日陰の庭であれば、耐陰性さえあれば大丈夫なのですが、現実的には、そう頻繁にお手入れができない場所が多いものです。
そんな時に強い味方になるのが、地植えであれば、ほったらかしでも毎年花が咲いてガーデニングを楽しめる宿根草です。半日陰になるような場所は、真夏の直射日光を防ぐため植物によってはかえって好ましい環境ということもあります。耐陰性や耐寒性に優れた宿根草が多くあるので、そういった植物の中からお気に入りを選ぶのがおすすめです。
日陰で宿根草を育てるポイント
日陰の水やり
日陰に植えた宿根草は、水のやりすぎに注意しましょう。半日陰や日陰は日当たりの良い場所に比べて土が乾きにくくなります。そのため、日当たりの良い場所に置いた鉢と同じように水やりをしていると、最悪の場合は根腐れしてしまうこともあるからです。

水やり前に、土が乾いているか目で見て、手で土に触れて、確認してから水やりをする習慣をつけるとよいでしょう。
地植えにした宿根草は、根付くまでは水切れに注意し、その後根付いてしまえば水やりしなくても大丈夫です。ただ、真夏に長く雨が降らない場合などは、植物の状態を見てたっぷりと水をあげてください。
日陰の肥料やり
宿根草は肥料控えめでもよく育ちます。地植えの場合、肥料はほとんど必要ありません。
鉢植えの場合は、春と秋に緩効性の置き肥をあげるようにしましょう。開花期の長い植物には、様子を見て薄めに希釈した液体肥料もあげるようにしましょう。
日陰の梅雨越し対策
花の咲く植物の多くは、梅雨時の長雨が苦手です。湿度が高くじめじめした気候で常に鉢の中や土が湿った状態だと、根腐れしたり病害虫が発生しやすくなったりしてしまいます。

地植えの場合は、梅雨入り前に枯れた葉を取り除いて軽く切り戻し、まわりの雑草を抜いておくと風通しも良くなり梅雨越ししやすくなります。
移動できる鉢植えは、花台やフラワースタンドを使って風通しを確保しましょう。多湿が苦手な植物の場合は、軒下などに移しできるだけ長雨が当たらない場所で育てましょう。
日陰の夏越し対策
植物の多くは、暑い時期は風通しが良く涼しい場所を好みます。半日陰を好む鉢植えの植物は、朝のうちだけ日の当たる場所などに置いて様子をみましょう。

真夏の強い西日が当たる場所は、植物にとって過酷な環境なので、移動できるものはできるだけ西日を避けられる場所に置きましょう。よしずなどで日差しを遮るのも効果的です。
日陰の冬越し対策
宿根草は冬になると地上部が枯れてしまいますが、地中の根は生きています。地植えであれば、ほったらかしでも大丈夫ですが、鉢植えの場合は土が乾いたら水をあげるようにしましょう。
耐寒性の弱い植物は室内や軒下に取り込んだり、鉢を二重にするなどの冬越し対策が必要になります。
花が咲かなかった時の対処法
宿根草を育てる上で、よく聞くのが「花が咲かない」という相談です。花が咲かない原因はいくつか考えられます。
植え替えや株分け直後

植え替えてすぐや株分け後の場合、1年目は花が咲かないこともあります。十分に根を張って葉を茂らせ花を咲かせる栄養分を蓄えられるように待ちましょう。しっかり育てば翌年以降、ちゃんと花を咲かせてくれるでしょう。
日照不足
半日程度日が当たると思っていても、よく観察してみると思ったほど日光が当たらなかったり、季節によっては完全に日陰になっていたりということもあります。鉢の置き場所や植えた場所の日当たりを今一度確かめて、もう少し日当たりの良い場所や間接光の当たる場所へ移動させましょう。鉢植えの場合は、花が咲くまで半日陰で育てた後、花が終わるまで日陰で楽しむのもおすすめです。
肥料成分の影響
良く育って元気はあるのに花芽がつかない…という場合は、花を咲かせるために必要な肥料が足りていないということも。
肥料にはN(窒素)、P(リン酸)、K(カリ)の三要素があります。このうち、花を咲かせるのに必要な栄養分はP(リン酸)です。P(リン酸)が足りていないと、葉や茎や根が立派に育っても花が咲かないことがあるので注意が必要です。肥料の袋に成分のバランスが書かれているので、リン酸を多く含む肥料を選んで与えましょう。
また、窒素分が多い肥料を与え過ぎて肥料過多になっていると葉ばかり大きく育って花が咲かなくなってしまいます。それまでの肥料をいったんやめてリン酸を多く含む液肥などを与え、花芽がつくのを待ちましょう。
病害虫
葉や茎は充実して花芽が出るのになかなか花が咲かない場合は、害虫が花だけを食べてしまっている可能性があります。花を食べるのはナメクジやコガネムシなど。花が咲きそうなのに花が見られないという場合は、虫がいないか一度チェックしましょう。
葉の元気がない時の対処法
肥料不足
葉の色が薄くなっているようだったら、それは肥料不足のサインかもしれません。あまり肥料を必要としない宿根草でも、何年も同じ鉢に植えっぱなしにしていると、培養土には肥料分が残っていないため勢いも悪くなります。季節によって対応は異なりますが、緩効性肥料のほかに液肥を与えて様子を見たり、新しい培養土に植え替えたりしてみましょう。
日照不足
葉の色が薄くなっているようだったら、それは肥料不足のサインかもしれません。あまり肥料を必要としない宿根草でも、何年も同じ鉢に植えっぱなしにしていると、培養土には肥料分が残っていないため勢いも悪くなります。季節によって対応は異なりますが、緩効性肥料のほかに液肥を与えて様子を見たり、新しい培養土に植え替えたりしてみましょう。
水のあげ過ぎ
葉に元気がなく水やりをしても回復しない場合は、水のやりすぎで根腐れしている場合もあります。肥料はあげずに、活力剤をあげて様子を見ましょう。
半日陰や日陰の場所は日なたほど土が乾かないので、水やりの頻度を鉢に応じて変えることが必要です。水やりをする際は、手で土を触ってみて、土が完全に乾いているかどうかチェックする癖をつけましょう。
病害虫
害虫や病気を見つけたら、それに対応した薬剤を散布しましょう。葉に食害の跡がなくても、根をコガネムシの幼虫が食べていることも。害虫や病気の発生を予防するために風通しをよくして、植え付けの際にオルトラン粒剤などをまいて予防しましょう。
根詰まり
何年も同じ鉢に植えたままだったり、成長の早い植物を小さめの鉢に植えていたりする場合、鉢の中で根詰まりをおこしていることもあります。根詰まりとは、鉢の中で根が過密状態になり、植物が必要な栄養や水分を吸収できなくなる現象。葉が黄色や茶色に変色し、肥料を与えても元気にならないのが特徴です。
水を与えてもすぐに鉢底から流れ出る、鉢の底から根が出ている、というのは根詰まりのサイン。
その場合は、1~2回り大きめの鉢に植え替えましょう。植え替え時期でない場合は根鉢を崩さずに大きめの鉢に植え替えて隙間に新しい培養土を入れておきます。春や秋の植え替えシーズンであれば、とぐろを巻いたような根を少し取り除いてほぐし、新しい培養土を入れた鉢に植え替えましょう。品種によっては植え替えを好まないものもあるので、その場合は根を触らずに2回りほど大きな鉢に植え替えます。
土の状態が悪い
何年も同じ鉢に植えっぱなし、粘土質の花壇に植えてしまったなどの場合は、土の団粒構造が崩れて根がよく育たなくなっていることも。土壌改良するか水はけのよい場所に植えなおしたり、鉢の土を取り替えたりなどの対応をしましょう。
日陰の庭におすすめの宿根草

アルンクス
アルンクス シャンテリーレース分類:バラ科ヤマブキショウマ属
アルンクス シャンテリーレースは、日本の高温多湿の環境に適応し、かつ耐陰性にも優れていて完全な日陰でも花を咲かせる優秀な宿根草です。しっかりと根付けば植えっぱなしでも良く育つローメンテナンスな植物です。日陰だから花は無理かも…とあきらめていた場所でも白いレースのような花を楽しめます。花の時期が終わっても、魅力的な美しいディテールの葉が庭を彩ってくれます。植え替えが難しい種なので、植える場所選びが心配な場合、まずは鉢植えで試してみましょう。
半日陰の庭におすすめの宿根草

フロックス
フロックス オープニングアクト分類:ハナシノブ科クサキョウチクトウ属(フロックス属)
フロックス オープニングアクトは強健で暑さ寒さに強く、株いっぱいに花咲く姿が圧巻のハイブリッド宿根フロックスです。咲き終わった花を切り取ると秋にも繰り返し花を咲かせてくれます。

ネペタ キャットミント
ネペタ キャッツパジャマ分類:シソ科イヌハッカ属
ネペタ キャッツパジャマは、耐暑性に優れ春の終わりから秋にかけてラベンダーのような雰囲気の花を咲かせます。乾燥にも強く、地植えであれば根が張れば植えっぱなしでも育つ大変お手入れが簡単な多年草で、半日陰でも育ち病害虫の心配もほとんどありません。一年目よりも冬越しをした二年目の方がたくさんの花を楽しめます。

ゲラニウム
ゲラニウム ブルームミー分類:フウロソウ科フウロソウ属
日本の高温多湿の夏を越すのが難しかった従来のゲラニウムと異なり、夏越しできるように改良され、晩春から秋まで花を楽しめるようになったのがゲラニウム ブルームミー。連続開花性に優れていて、霜が降りる頃まで爽やかな青色の花を咲かせ続け、半日陰のナチュラルガーデンを彩ってくれます。

アムソニア
アムソニア ストームクラウド分類:キョウチクトウ科アムソニア属
アムソニア ストームクラウドは、洗練されたクールな印象の宿根草。抜群の存在感あるブラックステム(黒い茎)に爽やかな水色の花というデザイン性の高い草姿は、おしゃれでスタイリッシュな庭にもぴったりです。さらにローメンテナンスでお手入れも簡単。ナチュラルなイメージの宿根草ガーデンに新しい息吹を与えてくれます。

カンパニュラ
カンパニュラ マジェスティックブルー分類:キキョウ科ホタルブクロ属
カンパニュラ マジェスティックブルーは生育旺盛なハイブリッドホタルブクロ。ベル形のホタルブクロではとても珍しい濃い青色の花が印象的で、地下茎が這いながら毎年大きく広がって育ちます。耐暑性にも優れていますが、真夏はできるだけ涼しい半日陰で育てましょう。

ベロニカ
ベロニカ ウィザーディング分類:オオバコ科ベロニカ属
ベロニカ ウィザーディングは連続開花性、耐病性に優れたハイブリッドベロニカ。分枝性がよく、初夏~夏にかけてたくさんの花がつき、連続して開花しながら花穂が長く咲き伸びます。きれいに夏越しするには、夏は直射日光を避け、翌年の花を咲かせるために冬はしっかりと寒さにあてましょう。

ルドベキア
ルドベキア アーバンサファリ分類:キク科ルドベキア属
ルドベキア アーバンサファリは洗練されたアースカラーと造形美が印象的で、たくさんの枝から連続開花するルドベキアです。耐暑性にも優れていますが、真夏の直射日光下でさらにきれいな状態で夏越しさせるために、梅雨入り前に切り戻しをしましょう。冬越しをするとさらに大きな株に生長します。

モナルダ
モナルダ フォーグ分類:シソ科モナルダ属
モナルダ フォーグは、その名の通り力強く花火が舞うような花形が印象的なハイブリッド モナルダです。コンパクトな草姿にたくさんの花を咲かせ、まとまりが良いため小さなお庭でも楽しめます。一般的なモナルダは夏に開花しますが、初夏に開花が始まり長く花を楽しめます。

ヒューケラ
ヒューケラ ドルチェ分類:ユキノシタ科ツボサンゴ属
日陰を好む植物は、例えば、ヒューケラ・ドルチェです。ヒューケラ・ドルチェは夏の直射日光の下でも良く育つように改良された品種ですが、もともとヒューケラは日陰でも良く育つ多年草。日当たりのあまり良くないシェードガーデンを華やかに演出したい時にもおすすめです。大人っぽいダークな銅葉や黒色、鮮やかな赤やオレンジ、爽やかなライムグリーンなど葉の色は実に多彩。ヒューケラだけでもおしゃれな花壇が完成します。

クリスマスローズ
分類:キンポウゲ科 クリスマスローズ属花が少なくなる2月頃~春にかけて、うつむくように咲く花をつけるクリスマスローズ。夏の直射日光が苦手で、冬に陽だまりになるような明るい半日陰で良く育ちます。クリスマスローズは、切れ込みのある常緑の葉のフォルムも魅力のひとつ。年々大きな株に育っていく多年草なので、広めのスペースを取って植えつけるとよいでしょう。
まとめ
日陰や半日陰で花を咲かせる植物は、家をちょっとおしゃれに見せたいときにも取り入れたいもの。花を諦めていた場所でも、選ぶ植物次第で素敵な空間に変わります。
日陰を彩る草花やシェードガーデンにおすすめの庭木(シュラブ)も参考にして、素敵なシェードガーデンを作ってみてくださいね。