買ってきた苗を、去年植物を育てた土をそのまま使ってプランターや鉢に植えていませんか。なかなか植物が生長しないと感じている方の中には、古い土をそのまま使ってることが原因の方もみえるようです。
ガーデニングをする際の一番のおすすめは、新しい培養土を使って植物を育てることです(ガーデニング初心者ほど新しい培養土で育てることをおすすめします)。しかしながら、土は重く、買ってくるのも廃棄するのも大変なのが現状です。
ここでは、ガーデニング中級者の方に向け、古い土を再利用して使う土壌のリサイクル方法をご紹介します。
古い土がガーデニングに適さない理由
一度植物を育てた土は、ガーデニングに適していません。
植物は、根から土壌の栄養を吸収して生長しています。一度植物を育てた土は、植物が生長するのに必要な十分な栄養がなくなってしまっています。栄養がない古い土で育てると、植物の生長が乏しくなりすぐに枯れてしまったりします。
一度植物を育てた土の中には、植え替えをしたつもりでもたくさんの植物の根が混じっています。また、雑草の根やタネが残っていると、雑草も生えてきてしまいます。植物が生長するのに余分なゴミは取り除いてあげましょう。
ガーデニングをしていて一番の悩みは病害虫という方も多くいるのではないでしょうか。植物を育てた土は、目にみえずとも病気に感染していたり、害虫の卵が眠っていることもあります。病害虫を防ぐには、一度土を消毒する必要があります。
ペチュニアやカリブラコアなどのナス科の植物などは、同じ土で育てると連鎖障害が発生し、生長が悪くなります。
園芸店やホームセンターで売っている培養土の酸度は、植物が育てるのに最適な中性に調整されています。古い土の場合は、肥料や殺虫剤、土壌改良などによって酸性に傾いたり、アルカリ性に傾いたり、酸度バランスが崩れていることがあります。
古い土の廃棄方法
ガーデニングで使い終わった土やお庭で不要になった土は、お住まいに地域によって廃棄方法が違います。自治体によってルールが異なりますので、お住まいの地域の自治体に問い合わせてください。最近では、店頭で土回収BOXを設置しているホームセンターも増えてきました。お近くのホームセンターに問い合わせてみるのもいいかもしれません。
再生に向いている土
ガーデニングで使う土には、再生しやすいものと再生しにくいものがあります。土壌再生材(リサイクル材)は主に、腐葉土やバーク堆肥、牛糞堆肥、もみ殻くん炭などの有機物から作られており、これらが微生物の働きを活性化させ、根から出る老廃物を分解し、土壌を再生させます。
軽くて保水性が高いことで人気があるピートモスは、土のリサイクルという観点からすると、あまり向いていません。
ピートモスは、水苔などの植物が腐植(ふしょく)化して作られた土壌改良材です。水苔などの植物は、細胞が分解されるのが早く、微生物の働きが鈍ってしまいます。細胞自体が砕けてしまうと、どんなに土壌再生材(リサイクル材)を混ぜても微生物が活性化することなく、再生しづらい土になってしまうのです。
赤玉土や鉱物系が入っている土は、砕けて粒になったとしても土壌再生材(リサイクル材)はよくはたらき、再生に向いている土になります。
古い土の再利用方法
古い土の再利用所要時間
夏なら2~3日、春や秋であれば一週間程度です。
古い土の再利用に準備するもの
古い土のリサイクル材を準備しましょう。
ステンレス製でしっかりした作りのものが長く使えておすすめです。
元肥として、予め培養土に混ぜておきます。
殺虫剤を撒いておくと、害虫によるガーデニングトラブルを予防することができます。
たくさんの土を掘り起こすのにシャベルがあると便利です。
土と砂利や根やゴミを分けて取り除くための道具です。土の再生には欠かせません。
植え替えが終わったら、鉢底から水が流れ出るまでたっぷり水やりをします。
「ふっかふかによみがえる古い土のリサイクル材」は、株式会社花ごころ様の、「マグァンプK」は株式会社ハイポネックス様の、「オルトラン®DX」は住友化学園芸 株式会社様の商品です。
古い土の再利用方法
古い土壌の中には、植物が生長するのに不要となる前の植物の根やゴミがたくさん混ざっています。園芸用ふるいを使って、そういった不要物を取り除きましょう。土の量が多いと結構な重労働になります。
ふるいをかけたさらさらな土を遮光性の高い黒いビニール袋などに入れて密封をし、夏であれば2~3日、春や秋であれば 一週間程度日なたで放置します。殺菌消毒には、60℃以上の熱水に10分以上さらす熱消毒が有効ですが、それと同じ消毒効果を得ることができます。
※土は大変重いので、遮光性のある培養土の袋を再利用して使うのがおすすめです。
酸性土壌に傾いている場合は、有機石灰、苦土石灰、硝酸カルシウムなどで中和し、アルカリ性土壌に傾いている場合は、ピートモスや酸性肥料などで中和をしますが、ガーデニング中級者の方にお手軽でおすすめなのが、栄養分もバランス良く入った古い土のリサイクル材を使うことです。規定の割合を混ぜましょう。
ガーデニング用土として利用する前に、殺虫剤や元肥(予め土壌に入れておく肥料)も混ぜておきましょう。
全体的に均一に混ざったら完成です。花壇やプランター・鉢に土を戻したら、また植物を育てることができるようになります。
再利用した土で育てた花壇に、また翌春たくさんのお花が咲きました。
再利用した土で育てる植物選びのポイント
再利用した土でガーデニングをする場合は、前シーズンとは異なる「科」の植物を育てるようにしましょう。
例えば、カリブラコアなどのナス科の植物では、同じ土壌で何年も育てていると生育不良になる「連作障害」が発生します。違う「科」の植物を育てることで特定の微生物ばかりが増殖するのも防ぎ、「連鎖障害」を防ぐことができます。
病害虫に汚染された土の場合
感染力が高い病気や繁殖力の高い害虫に侵された土壌の場合は、その土を廃棄するのが一番の対策になります。
ガーデニングでよくある病害虫の場合は、プランターや鉢など限られた土で育てていれば、その土を消毒すれば大丈夫です。ですが、花壇や地植えで育てている場合は、どこまで土壌が汚染されているか心配なことがあります。その場合は、植物の回りの土(最低限でも地中で根が伸びた場所の土)は古い土の再利用方法を参考にして消毒しましょう。さらに、オスバンなどの逆性石けんを3,000倍に希釈した液を1ℓ土壌に混ぜて消毒すると安心です。
まとめ
土の再利用方法をマスターすれば、家庭から排出される廃棄物が随分と減るものです。重労働ではありますが、ダイエットや体力づくりだと思って、取り組まれているガーデナーさんがたくさんいるのではないかと思います。
先日のPWアンバサダーミーティングでも話題になりましたが、最近では「カルスNC-R」といった新しい土壌改良材も人気があるようです。是非参考にしてみてくださいね。
PWは植物を通じて、一人でも多くの皆さまに笑顔をお届けできるよう日々改良を続けています。届けたいのは育つよろこび…それが私たちPWの想いです。