買ってきた花のポット苗、そのままで育てていませんか。ポット苗を買ってきたら、花を長くたくさん楽しむために、まずやっておきたいことがあります。それがポット苗の植え替えです。植え替えによってその後の育ち方が大きく変わってくるので、是非上手に植え替えをする方法をマスターしてみてください。

植え替えが必要な理由

苗を買ってきたら、必ずやっておきたいこと、それは植え替えです。

鉢が小さくて土の量が少ないと植物はしっかりと根を張ることができず、どうしても地上部の育ちが悪くなってしまいます。また、鉢が小さいとすぐに根詰まりを起こし、水や養分も十分吸収できません。そのため、植物をもっと大きく育てたければ、ゆったりと根を張れるサイズの鉢や花壇に植え替えてあげることが必要なのです。

ビニールポットで売られている苗

店頭で売られている苗は、たいてい直径9cm(3号サイズ)ほどの白や黒のビニールポットに植えられています。小さいビニールポットは苗を育てやすく、軽くて輸送や持ち運びに大変便利なのですが、このまま大きく育てることは向いていません。ビニールポットは長く栽培するための鉢ではないため、必ず植え替えをしてあげましょう。そのままにしていると大きく育たず、すぐに枯れてしまうこともあります。

鉢植えで売られている苗

満開の状態で大きめの鉢植えに入って売られている苗は、基本的には花が終わるまでそのまま楽しむことができます。もちろん、根鉢を崩さずに花壇などに植えても大丈夫です。多年草の場合、花が終わったら一回り大きめの鉢に植え替えると翌年さらによく育ちます。


ただ、化粧鉢などの鉢植えに入っていても、水やりの際に他の鉢よりも鉢底から水がなかなか出てこない場合は、注意が必要です。化粧鉢の中で、実はビニールポットに植えられているという場合もあります。また、輸送の途中で水はけのための穴が化粧鉢の穴とずれてしまった可能性もあります。排水性が悪いと根腐れの原因にもなるので、そういった場合はちゃんとした鉢に植え替えてあげましょう。

植え替え時期

花苗は、その地域で植え替えをするのに最適な時期に販売されています。北海道と沖縄では、販売時期が大きく違うものです。

花によっては、これから花が咲く時期なのにもうお店で販売していないようなこともあります。植え替えに適する時期が、開花時期とは限らないことがその理由です。そのため、花苗であれば購入したらすぐに植え替えをしてください。購入時期がまさに植え替え時期に最適な時期になります。

ただし、もし真夏や真冬に購入した場合は、暑さや寒さが落ち着いてから植え替えをするようにしましょう。真夏や真冬は、植物にとっても過酷な季節で、植え替えによって受けたダメージで回復できない恐れがあります。

植え替えの時間帯

ガーデニングのセオリーからすると、植え替えに最適な時間帯はこれから日光が出てくる朝の時間帯になります。ただ、実際は苗を買ってきた後となると、朝に限定しなくても問題ありません。生産者のプロの方も朝だけ作業をするのではなく一日中植え替え作業をするものです。ただ、買ってきた苗の土が乾いているようなら、その日は水やりだけをして翌朝植え替えをするといいでしょう。

植え替えに便利な道具

鉢・プランター

ガーデニング入門 道具

鉢か横長のプランターにするかは、置く場所に合わせて決めれば大丈夫です。材質も様々なものがあり、最近はおしゃれなデザインのものが多く出ているので、置き場所に合わせて選んでみましょう。色や素材を揃えると統一感が生まれます。

鉢底網

ガーデニング入門 道具

底に丸い穴が開いているタイプの鉢を使う場合に必要なのが、鉢底網です。土の流出や害虫の侵入を防ぎます。
スリット入りの鉢やプランターを使う場合は、鉢底網を入れずに鉢底石を使えば大丈夫です。

草花用培養土

ガーデニング入門 道具

病気や害虫を避けるため、新しい土のご使用をおすすめします。水はけや通気性がよく水もちがよい土を選びましょう。

肥料

植え替え時に予め土に混ぜておく肥料を元肥(もとごえ)と言います。植物の初期生長を促すための肥料で、肥料効果が長く続く緩効性や遅効性の肥料がよいです。

移植ごて・スコップ

ガーデニング入門 道具

・移植ゴテ
鉢の植え替えには、草花を移植するのに特化したガーデニング用小型のスコップ、移植ゴテが便利です。

・ハンドスコップ

大きな鉢にたくさん培養土を入れる時は、小さな土入れやシャベルよりもハンドスコップが便利です。

水やり道具

ガーデニング入門 道具

水は4ℓで4kgになるので運べるサイズのものを選びましょう。運ぶ際も水やりの際も安定して使いやすいのは、持ち手が2カ所あるタイプです。手軽にガーデニングを始める場合はペットボトルでも代用可能です。

植え替え前の確認ポイント

土の様子を確認しましょう

ホームセンターや園芸店で買ってきた苗の土が乾いていたら、まず水やりをしましょう。ポットの下から水が流れ出るまでたっぷりと水をあげましょう。土がカラカラに乾いている場合は水が染み込みにくくなっているので、鉢皿に水を入れ、ポットの底から水を吸わせるようにします。

水やりは前日までに済ませるのがおすすめです

水やり直後は植え替えの際に根鉢が崩れやすくなっています。前日までに水やりを済ませておくと作業しやすくなります。

苗の様子を確認しましょう

買ってきた苗の葉は元気ですか。もし萎れて元気がないようだったら、水をたっぷりあげた後、明るい日陰に置きしばらく様子を見ましょう。
小さなビニールポットに植えられた苗は気温の影響を受けやすいもの。直射日光の当たるベランダやコンクリートの上などに置きっぱなしにしていると根が傷んだり、水切れで萎れたりします。ウッドパネルや台の上にのせるなど、直接地面に置かないほうが安全です。

根の様子を確認しましょう

苗が植えられているポットの裏を観察しましょう。

鉢底穴から根が出ていませんか。もし、ポットを触った感じがカチカチに固ければ、ポットの中で根が回ってギュウギュウになっておりこれ以上伸びることができない状態になっています。こうした根詰まりをしている状態の場合は、すぐに植え替えをしてあげましょう。


反対に、ポットを持つと形が崩れてしまう苗は、まだ根がしっかり回っていない可能性があります。植え替えの際に根鉢が崩れてしまうと扱いにくいので、急いで植え替えをしなくても大丈夫です。

花の植え替え方

ここではポット苗から植木鉢への植え替えを例にして解説しますが、花壇やプランターに植え替えする場合も基本は同じです。

花壇に植えつける場合は、あらかじめ腐葉土や堆肥を土にすき込んで耕しておきましょう。部分的に植える場合は、植える場所を深さ30cmほど掘って、植木鉢のように土を草花用の培養土に入れ替えてから植える方法もあります。

1
鉢底網・鉢底石を入れます
花苗の植え方 苗の植え替え方

鉢底網を鉢の底に置き、その植えに鉢底石を入れます。鉢底石は、底が見えなくなるくらいの量を入れてください。大きくて深い鉢に小さな苗を植える場合は、鉢底石を多めにすると根腐れしにくくなります。
プランターの場合は、予め底面にネットがついているものもあります。その場合は、鉢底石のみ入れましょう。

2
鉢に培養土を入れます
花苗の植え方 苗の植え替え方

次に培養土を入れていきます。肥料が含まれた市販の草花用培養土の場合はそのまま使えますが、自分で土を配合する場合は、赤玉土と腐葉土を6:4程度の割合で混ぜて緩効性化成肥料を加えよく混ぜ合わせておきましょう。土の上に苗を乗せたときに、鉢の縁からウォータースペースとして2~3cm下がる高さになるように土の量を調整します。植える苗のバランスや配置もチェックしておきましょう。

3
ポット苗を置きさらに土を入れます
花苗の植え方 苗の植え替え方

培養土の上にポット苗を置いてみます。鉢の縁から2cm程度のウォータースペースを取れる高さになるようにしましょう。土が少ないようなら足し、多すぎれば減らして調整をしてください。

4
ポット苗から苗を抜きます
花苗の植え方 苗の植え替え方

ビニールポットに入っている苗の場合は、ポットを横に90度に傾け、ポットを何回か揉んで苗を出してください。90度以上傾けるとせっかくの苗が土で汚れてしまいますし、あまり傾けないとポットから出すのが大変なので90度がおすすめです。
ポットから苗を出す時には、根鉢(ポットから抜いた時に根が張っている土がかたまりになっている部分)を崩さないようにそっと抜きましょう。鉢に入っている苗の場合は、鉢のふちに移植ゴテを深く差し込みテコの原理を活用して根鉢ごと掘り上げてください。

5
苗を植え替えます
花苗の植え方 苗の植え替え方

根を崩すと植物にダメージを与えます。基本は根鉢を崩さずに、抜いた苗を抜いた苗をそのまま鉢の中央に苗を置いて位置と高さを確認します。
根が固まっていたら
時には根が回りすぎてカチカチになっている苗もあります。この場合は根詰まりを起こしているので、根鉢の下1cm程度を軽くほぐすかハサミで4カ所ほど切り込みを入れてから植えつけましょう。このひと手間で、根が下に伸びるのを助けることができます。

6
苗の回りに培養土を追加しましょう
花苗の植え方 苗の植え替え方

置いた苗の周りにそっと土を入れていきます。つい夢中になって片側ばかり土を入れていると、いつの間にか苗が端に寄ってしまうこともあります。鉢を回しながら少しずつ、360度まんべんなく土を入れていきましょう。鉢の側面と苗の間、苗と苗の隙間などは土が入りにくいので、割りばしなどで軽くつつきながら土を入れていきます。

7
水やりをします
花苗の植え方 苗の植え替え方

植え替えが終わったら、鉢底から流れ出るまでたっぷりと水をあげて完了です。苗に水をかけるのではなく、株元の土に水をあげるよう意識しましょう。ピートモスが多めに配合された軽くてフカフカの土は水がなかなか染み込まないことがあります。その場合は、何回かに分けて少しずつ水をあげ、鉢底から十分水が流れ出るのを確認するまで繰り返します。 水やりをして土が沈んだら、減った分だけ培養土を補充します。

植え替え後の水やりはたっぷりと

植え替え後の初めての水やりは、土に初めての水路を作る大切な工程になります。コーヒーをドリップするようなイメージで少量ずつゆっくり水やりをするようにすると、土の中で全体的に偏りない水路が完成します。

植え替え後は養生しましょう

植え替え直後の植物は、環境が大きく変化し少しストレスを受けた状態になっています。植え替え後の数日は少し萎れたように見えることもあります。鉢への植え替えであれば1週間ほど雨や直射日光が当たらない日陰か半日陰で様子を見ながら、徐々に太陽の光がたっぷり当たる場所に移動させてください。このように環境変化によるストレスを軽減して根がしっかり張るよう促進することを、養生すると言います。

根も傷んでいるので、液体肥料は1~2週間ほど経ってからあげるようにしましょう。ただし、緩効性化成肥料の場合は、植え替え直後でも土の上に置いてかまいません。

植え替えについてよくあるご質問

Q
基本は根鉢を崩さずそのまま植え替えるのが基本とのことですが、どの程度根がぎっしりと固まっている場合に、根の生育を促進するために根鉢をほぐすのでしょうか。
A

根鉢をほぐす目安は、「ポットの底の穴から根が出ている」「水を吸収しないほど固まっている」状態の時です。根元の下葉が黄色に変色していたら底の穴から根が出ていないか確認してみてください。

詳しくは、以下を参考にしてみてくださいね。

Q
夏に花苗を購入したのですが、すぐに植え替えていいですか。それとも涼しくなってから植え替えた方がいいですか。
A

真夏の植え替えは植物にダメージを与えます。ダメージの具合によっては、枯れてしまう可能性もあります。緊急性がないようであれば涼しくなるのを待ってから植え替えをしましょう。どうじても植え替えが必要な場合は、涼しい場所で植え替えて植え替え後も涼しい場所で育てるようにしてください。

Q
2月に花苗を購入したのですが、すぐに植え替えていいですか。それとも暖かくなってから植え替えた方がいいですか。
A

2月はまだまだ寒い日が続きます。厳寒期に植え替えをして根を痛めると、最悪の場合枯れてしまう可能性があります。根詰まりしていないようであれば、もう少し暖かくなってから植え替えをすることをおすすめします。

まとめ

もし、育てている途中で鉢が小さいと感じるようだったら、同じ要領で大きめの鉢に植え替えましょう。植え替えは多少植物にストレスを与えるので、植物が元気な状態の時に植え替えるようにしてください。PWの苗は生育が良いのでちょっと大きいかな…と感じるぐらいの鉢に植えても大丈夫。お気に入りの鉢に植え替えて楽しんでくださいね。

PWのお花は、手順どおりに植え替えれば、長く楽しめる育てやすいお花がたくさんあります。是非お花選びの参考にしてみてくださいね。

今どこのお店で花苗が購入できるか、調べたい時にはPW販売店検索を活用してみてください。お近くの園芸店やホームセンターで購入できる花苗を検索することができます。また、欲しい品種からお店を検索することもできますよ。