鉢の植え替えをしている時に、カブトムシの幼虫に似た虫を見たことがありませんか。「どうやって育てようかしら?」なんて悩んでいる場合ではありません。それは多くの場合が、植物の根を根こそぎ食べ尽くすコガネムシの幼虫です。実はこのコガネムシの幼虫は、放っておくと、花苗や小さい樹木はもちろん大きな樹木ですら枯死させる怖い害虫なんです。
コガネムシの幼虫とは
コガネムシの幼虫は有機質の多い土壌に発生しやすく、植物の根を食害します。植物は、根を食べられると栄養分の吸収が出来なくなり生育が悪化し、しだいに枯れてしまいます。
コガネムシの幼虫は普段は土の中にいて、人の目に触れることがありません。それが故に、知らぬ間にコガネムシの幼虫の被害に合い、気付いた時には致命的な状況になっていることがある怖い害虫になります。
もしかしてコガネムシの幼虫の仕業かも!
こんな症状があったら、コガネムシの幼虫の仕業かもしれません。
土がふかふかになる
土の表面が一部分でも変にふかふかになってきたら、コガネムシの幼虫が根を食べているかもしれません。
株を揺らすとぐらつく
コガネムシの幼虫に根を食べられると、根がしっかりと張れた状態ではなくなってしまっています。株の根元を持って植物を揺らした時に、土が動いたり植物がぐらついた場合は、根がやられている可能性があります。
葉が変色し枯れる
コガネムシの幼虫に根を食べられた植物は、葉が黄色や茶色に変色し、枯れて落ちたりするようになります。肥料をあげても植物の生長に改善がみられない場合は、根に異常が発生しているのではと考えるようにしましょう。
ガーデニングの経験のある方は「病気かな?」「害虫が葉を食べていないかな?」「水のあげ過ぎで根腐れさせてしまったかな?」と憶測する症状ではありますが、植物の生長が何かおかしいと感じた時に「コガネムシの幼虫に根を食べられていないかな?」という選択肢も1つとして考えるようにしてみてください。
コガネムシの幼虫の対処法
コガネムシの幼虫の被害に気付いた時点で、ダメージを受けた根を切り新しい土に植え替えるのが鉄則です。真夏などどうしても植え替えが難しい場合は、一時的に殺虫剤を活用して被害を最小限に抑えることもできますが、なるべく早く植え替えをしましょう。
コガネムシは初夏に産卵し、その後、幼虫がふ化して根を食害しながら生長しますが、大きくなるにしたがって殺虫剤が効きにくくなります。殺虫剤で防除する場合は幼虫がふ化したての初夏~秋が適期で、土に混ぜ込むタイプの「オルトラン」「ダイアジノン」などが有効です。
「オルトランDX」は効果が出るのに時間がかかるので、既にコガネムシが大量発生している場合は退治できないことがあります。
「ダイアジノン」は土の上に撒くのではなく、植物周辺の土に混ぜることで効果を発揮するので使い方に気をつけてください。
「オルトラン®DX」ならびに「ダイアジノン®」は住友化学園芸 株式会社様の商品です。
それでは、ここからは「コガネムシの幼虫にやられた!どうやって植え替えをしたらいいの?」というご質問にお答えするために、コガネムシの幼虫にやられた時の植物の植え替え方をご説明します。
コガネムシの幼虫にやられた時の植え替え方
植え替え所要時間
植え替え所要時間は30分程度です。直径30cm以上の大鉢の場合は、その分もう少し時間がかかることがあります。
植え替えに準備するもの
鉢植えの植物を植え替える前に、以下の道具を準備しておきましょう。そうすることで、植え替え作業を効率的に進めることができます。
培養土
栄養たっぷりの新しい培養土を準備しましょう。病気や害虫を避けるため、新しい培養土のご使用をおすすめします。
移植ごて
ステンレス製でしっかりした作りのものが長く使えておすすめです。土入れは隙間に土を入れる際に役立ちます。
肥料
元肥として、予め培養土に混ぜておきます。
殺虫剤
害虫防除のために殺虫剤を植え替え時に撒いておくと、害虫によるガーデニングトラブルを予防することができます。
土入れ
土を入れる際に使う道具です。大小セットになっている場合が多く鉢に植え替えをする際の必需品です。100円均一でも購入できます。
棒
根鉢まわりに土を均一に行き渡らせるために使用します。鉢底まで届くぐらいの長さがあると作業がしやすく、支柱などが大活躍します。
剪定はさみ
枝や根の剪定をするのに使います。切り口から細菌が入ることのないように、予め塩素系漂白剤100倍液などで消毒します。 はさみの消毒方法はこちら
根かき熊手
根かき熊手があると、根の処理がとても効率的にできます。
植物を抜いて根の処理をします
植物の根元をしっかりもって植物を抜きます。コガネムシの幼虫に根がやられている場合は、比較的簡単に植物を抜くことができます。
もし根が白く丈夫な状態であれば、植え替えは必要ありません。鉢の土をかき分けコガネムシの幼虫がいないか確認したら、そのまま鉢に戻して大丈夫です。根鉢が崩れ、根が細くなっていたり変色していたらそのまま植え替えをしましょう。
鉢に残った土をかき分けると、コガネムシの幼虫がいました。
根鉢を触ると、すぐに崩れてしまう土があります。そういった土は既にコガネムシの幼虫の被害にあった根の周辺にあたります。柔らかい土を根鉢から全て落とします。
続いて、根かき熊手で根鉢の肩を落としてください。コガネムシの幼虫の被害にあった植物は、優しくていねいに作業をするようにしましょう。
剪定ハサミを使って、根を切り整えていきます。
随分とコンパクトになりましたが、根の処理が完成しました。
新しい鉢を準備します
鉢の鉢底穴の上に鉢底網を置き、その上に鉢底石を入れます。鉢底石は、鉢の底が見えなくなるくらいの量を入れてください。
植え替えには、握るとしっかり後がつく程度の湿り気がある土が向いています。すぐに形が崩れるサラサラした乾燥した培養土の場合は、水を混ぜて湿らせましょう。湿り気がある土を使うことで、鉢がぐらつくことなく固定しやすくなります。
まずは、培養土を鉢の半分の高さ程度まで入れましょう。気持ち中心部を山にすると、植物の向きを調整しやすくなります。
マグアンプKの中粒(効き目1年)か大粒(効き目2年)を5gほど元肥としてふりかけます。ちょうど根先にあたるその高さに元肥を施すことで、根の生長を効果的に促すことができます。
植物を植え替えます
根の処理が完成した植物を、予め元肥まで準備した鉢の中に置き、角度や向きを定めます。2~3cmのウォータースペースを確保できるように高さを調節し、位置が決定したら上から根鉢部分をぐっと押さえます。その後、土入れ道具を使って全体にまんべんなく培養土を入れてください。
長い棒で鉢底までつつきながら、お鍋の内側に残ったシチューをこそぎ取るような手さばきで根鉢周りの隙間を埋めるように一周し、培養土を入れます。つついて隙間がができたら、また培養土を足してください。そうすることで、底まで隙間なく培養土を行き渡らせることができます。
プラスチックの鉢であれば、木槌やゴムハンマーで鉢の外側全体を軽く叩きましょう。陶器などの割れやすい鉢の場合は、手のひらで叩きましょう。叩いて土が隙間に沈んだら、その分だけ培養土を補充します。
最後に、育てる場所に移動してから、鉢の底から水が流れ出るまでたっぷり水やりをしましょう。
水やりをして土が減ったら、その分だけ土を足してさらに水やりをして馴染むようにしましょう。水を含んだ鉢を移動するはとても大変です。必ず水やり前に移動を終えておきましょう。
害虫によるガーデニングトラブルを予防するためにも、最後にオルトランなどの粒剤を撒きましょう。 根を食害するコガネムシの幼虫だけでなく、新芽につくアブラムシや葉を食害するヨトウムシなどをあらかじめ防除するには、殺虫成分が根や葉に浸透して植物全体を害虫から防除する「浸透移行性」の殺虫剤「オルトラン」の粒タイプや、害虫防除と病気の予防が同時にできる「ベニカXガード粒剤」を土に混ぜ込んでおくと安心です。
コガネムシの幼虫の予防法
植え替えたばかりの鉢植えには、二度とコガネムシの幼虫の被害に合わせたくないですよね。コガネムシの幼虫の被害に合わないためにも予防法をご紹介しますので、参考にしてみてくださいね。
成虫を駆除しましょう
コガネムシの幼虫を予防するには、コガネムシが鉢に卵を産まないように見つけたら成虫を駆除することが大切です。
コガネムシはコガネムシ科の甲虫類です。コガネムシの成虫は、落葉樹の葉が葉脈を残してボロボロになるまで食害します。コガネムシの成虫は、捕まえて駆除します。
殺虫剤を活用しましょう
コガネムシの産卵時期(初夏~秋)に苗を植え付ける際にはコガネムシ幼虫が根を食害するのを防止するのに「オルトランDX粒剤」が効果的です。「オルトランDX粒剤」は「浸透移行性」なので土壌中のコガネムシ幼虫だけでなく、地上部(葉)を加害する害虫にも有効です。
「オルトラン®DX」は住友化学園芸 株式会社様の商品です。
なるべく新しい培養土を使いましょう
植え替えの際には、新しい培養土を利用すると安心です。もし、鉢の土を再利用する場合は、土壌中のコガネムシ幼虫やヨトウムシの蛹を取り除くためにも、ふるいにかけるようにしてください。
マルチングしましょう
バークチップやベラボンで鉢の土の表面をマルチングした程度では、効果がないと言われています。
マルチングで防ぐには、やしの繊維円盤マットなどを使うとコガネムシが土に入らないようになります。一番お手軽でお手頃な対策方法は、植物の根元に切り込みを入れた防草シートで覆うことです。
防草シートの上からバークチップを被せれば、見た目も気になりません。
コガネムシのよくあるご質問
- コガネムシとカナブンの違いは何でしょうか。
コガネムシとなかなか見分けがつかないのが、同じ甲虫類のカナブンです。カナブンは葉を食べ尽くすような害虫でなく、樹液を好みます。カブトムシやクワガタムシに交じって食事をしているのがカナブンです。見比べると、羽の付け根が逆三角形になっているのが分かります。
- コガネムシの幼虫とカナブンの幼虫の違いは何でしょうか。
見た目はよく似ていますが、地面に置いたとき、コガネムシの幼虫は腹ばいに脚をつかって歩きますが、カナブンの幼虫は背中を地面につけて全身を使って動きます。また食性としてカナブンの幼虫は腐葉土のみを餌としますが、コガネムシの幼虫は腐葉土の他に植物の根も食害するため農業害虫として扱われます。カナブンの幼虫は山間部に生息することから、お庭やベランダで見られるものの多くはコガネムシになります。
- コガネムシの幼虫とネキリムシの違いは何でしょうか。
コガネムシの幼虫は根を食害するのに対して、ネキリムシは苗の地際部の茎を食害します。またコガネムシは甲虫類の一種ですが、ネキリムシはチョウ目害虫の一種で、タマヤナガやカブラヤガなど「ヤガ類」の総称です。ネキリムシはコガネムシと同様に夜行性で、普段は土の中で生息しているため、見つけるのが難しい害虫のひとつです。
まとめ
コガネムシの幼虫にやられたからといって、すぐに諦めることはありません。根のダメージが大きくても紫陽花(アジサイ)のような低木であれば、全ての根がやられる前に植え替えをすれば、また復活をしてくれます。春と秋には植物がぐらつかないか確認して、コガネムシの幼虫被害の早期発見をするようにしてください。
PW(ピーダブリュー)は皆さまに育つよろこびを届けます。何年も育てる低木だから、選び抜かれた良い品種を是非実感ください。