鉢植えと地植えの選択は、買ってきた苗を植える時によく悩むことも多いのではないでしょうか。鉢植えにも地植えにもそれぞれメリットがあり、またデメリットもあります。鉢植えと地植え、それぞれのメリットとデメリットを考えた上で、どちらにするか決めましょう。また、ここでは近年注目されている半地植えという植え方についても解説します。
植え替えは、植物にとって大きなストレスになります。必要に迫られない限り、何度も植え替えするのは避けた方が賢明です。植えた後で「やっぱり鉢植えにすれば良かったぁ」など後悔しないように、どう使い分ければいいのか知っておきましょう。
鉢植えのメリット
どこでも楽しめます
土のない場所やベランダ、室内など、鉢植えであればどんな場所でも植物で彩ることができるのが最大のメリットです。鉢植えであれば、庭がなくても花いっぱいの空間にすることだって可能です。地面に置くだけでなく、花台に置いたりハンギングバスケットに仕立てたり。軽い鉢であればエントランスや窓際など好きな場所に置くことができます。
季節に応じて場所を変えれます
春・秋は日当たりの良い場所で育て、夏は木陰で育てたい!さらに冬には霜よけして冬越ししたい…。そんな時も鉢植えは育てる場所を変えることができるので大変便利です。鉢植えであれば、季節によって、その季節に応じた場所で育てることができます。
また、雨や風が強い日などは、屋内などに移動することもできるので安心です。長雨を嫌うカンパニュラなどは鉢植えにして、雨の時期には軒下や屋根のあるベランダなどに置き、夏は風通しの良い蒸れない半日陰で育てましょう。寒さに弱い多年草の場合、地植えだと一年草として育てるか秋に掘り上げることになりますが、鉢植えだったら室内に取り込むだけで冬越しも簡単です。
日当たりの良い場所と悪い場所で2つの鉢を交互に移動すれば、日当たりの悪い玄関前などでも常に満開の花を楽しめます。
生育環境を変えられます
植物の好む環境は、植物によってさまざまです。培養土の配合で水はけや有機物の量を調整したり、鉢の大きさを変えたり、植物の好む環境を作り出すことができるのも鉢植えのメリットです。
例えば、庭全体の水はけが悪いときは鉢で育ててみましょう。鉢植えだったら排水性の調整は簡単です。深さのある大きな鉢に小さな植物を植える場合は過湿になりやすいので鉢底石を多めに入れる、過湿を嫌う植物は素焼き鉢で育てるなど工夫してみてください。鉢の素材や大きさ、培養土などの調整で生育環境を変えられるのが鉢植えの魅力です。
鉢との組み合わせを楽しめます
鉢と植物をおしゃれにコーディネートするのも鉢植えならではの楽しみ方の一つです。鉢の色や形・素材にもこだわって選んでみましょう。
地植えのメリット
植物が大きく育ちます
土の量に制限がなく、根を広く深く張れるので、植物が大きく育ちます。
スーパーサルビアやヒューケラドルチェなどの宿根草は、冬越しするたびにひと回りずつ大きく育っていきます。鉢植えで育てると育つサイズにも制限が設けられるのですが、地植えであればのびのびと生長します。
ナチュラルに楽しめます
地植えにすると植物が自然に生育する姿を楽しめます。ナチュラルガーデンなどにおすすめです。宿根草は、冬の間地上部が枯れたりするのですが、その状態であっても地植えだったらあまり気にならないというメリットもあります。
雑草が生えるのを防ぎます
地植えをする植物によりますが、とても生育旺盛なスーパートレニア カタリーナなどを地植えにすると、雑草が生えてくる余地も残さないぐらい花が生い茂ってくれます。
水やりが楽です
植え替えてしばらくの間は水やりが必要ですが、地植えの植物は、根づいてからはよほど乾燥しなければ水やりをしなくても大丈夫です。また、地面に水が染み込んでいくので過湿になりにくいという特徴もあり、お手入れがとっても楽です。
植える場所の水はけが悪い場合は、レンガを積んで少し高めの花壇にするなど、水はけを良くする工夫をしてください。
地植えの植物が水やり不要な理由
地植えの植物は、制限のない量の土から水分を吸収することが可能です。降雨によって土に吸収された水分で十分に賄えるというのが、地植えの植物が水やりが不要な理由になります。ただし、夏の日照りが続いた時など土が乾燥しきってしまった場合などは、水やりをすることをおすすめします。
鉢植えのデメリット
毎日の水やりが大変です
鉢植えの場合は、雨の日や冬を除いてほぼ毎日水やりをする必要があります。夏場の水やりは特に大変です。
地植えのデメリット
土の改良が必要です
地植えのデメリットは、土をふかふかで栄養がある状態に改良しなくてはならないことです。もちろん花壇全体の土を培養土に入れ替えればその手間は省けるのですが、土の入れ替えや土の廃棄には大変な労力を費やすことになります。土は少しの量に見えてもかなりの重量があります。作業をする時間が取れ、体力に自信があれば良いのですが、腰を痛めている方などには難しい作業になります。
大きく生長します
土の量に制限がなく根を広く深く張れるので、植物が大きく育ちます…これはメリットでありますが、他の植物に悪影響を及ぼしたり庭の景観を損ねるようなデメリットにもなる場合があります。
病害虫の被害が拡大しやすいです
地植えのメリットは、ローメンテナンスで植えっぱなしでも大丈夫なことが多いのですが、逆に病害虫の被害にも気づきにくく、気付いた時には被害が広範囲に拡がってしまっているといったデメリットがあります。
肥料成分が流れやすいです
肥料をたくさん必要とする植物を地植えで育てると、花があまり咲かないという相談をよく受けます。そのたいていの要因が肥料不足になります。限られた土で育てる鉢植えは肥料成分がその場に留まりやすいのに比べて、地植えだと流れてしまいがちになります。
半地植えとは
あまり大きく育てたくないけど水やり管理を楽にしたい時には、半地植えいう選択もあります。
半地植えとは、鉢ごと土の上に置いて育て、鉢から出た根を地植え状態にして育てる方法です。
半地植えのメリット
大きくなり過ぎてしまう植物は、鉢の中で育てることで大きさをコントロールすることができます。
根づいた根から必要な水分を吸収するようになるので、鉢植えほど、水やりに神経質になる必要がなくなります。
限られた土の中で生長するので、肥料やりによる栄養が行き届きやすくなります。
夏は涼しい場所で育てて、冬は霜が当たらない軒下に移動したいなど必要に応じて育てる場所を変えたいことがあります。半地植えで育てていれば、地面に植えた植物を鉢あげをするよりも根へのダメージを抑えることができます。
半地植えのデメリット
地植えでは不要ですが、半地植えでは根が出やすいスリット入り鉢や不織布ポットなどの準備が必要です。
深く植えたい場合は、深い穴を掘る必要があり大変です。植え替えで鉢を壊してしまうリスクもあります。
また、後に半地植えをしようと準備した鉢を土の上に置いておくと、想像以上に早く外の土まで根が張り動かせなくなることがあります。春や夏などの生育期には、根づいても問題ない場所に置いておくようにしましょう。
半地植えをする方法
穴が小さい鉢の場合は、ドリルで穴を空けてください。スリット鉢は切り込みを入れてください。プラスチックの鉢だと切り込みを入れやすいです。排水性を高めるために、不織布ポットを活用して根域制限をするのもおすすめです。
水はけをよくしたり土が流れ出るのを防ぐために、普通の鉢植えは鉢底ネットや鉢底石を鉢底に入れて植えますが、それらは不要です。鉢底ネットや鉢底石がない方が根が出やすくなります。
鉢の中の培養土に、予め肥料や殺虫剤を混ぜ込みます。
苗を置いて、周囲にまんべんなく培養土をいれます。スリット鉢の場合、スリットから培養土がこぼれることがありますが根付くまでは気にしないようにしましょう。
鉢をそのまま土に埋めてしまう方法もあります。土の上に置いて育てる場合は、鉢を少し動かしてみて、抵抗を感じたら根づいた証拠です。
半地植えのよくあるご質問
- Q半地植えをした場合、年に一度の植え替えはどうしたらいいでしょうか。
- A
冬の休眠期に入ってから春の生育期に入る前に、鉢から出ている根を切り地面と切り離し、同じサイズの鉢に植え替えをしましょう。鉢の中の土をリフレッシュすることで、またのびのびと生長します。
まとめ
鉢植えも地植えもそれぞれのメリットがたくさんあります。移動させる必要があれば鉢植えで、ナチュラルガーデンを作りたければ地植えでなど、用途に合わせて選んでみてくださいね。地植えと鉢植えを上手に使い分けれるようになったら、上手に組み合わせてお庭をコーディネートすることにチャレンジしてみてください。地植えだけ、鉢植えだけのお庭よりもさらに楽しみが拡がりますよ。