新ジャンルのアジサイ、ラグランジア ブライダルシャワーの販売開始から数年が経過し、大きく育ててくださっているお客様から「これ以上大きな鉢で育てられない」「ベランダガーデニングだから地植えできない」など、相談の声を聞くようになりました。
確かに、ラグランジアブライダルシャワーは冬越しするほど株が充実し、既に10号鉢以上(直径30cm以上)の鉢で育てているとなると、来年はもっと大きな鉢に植え替えが必要なのかと心配になりますよね。

ここでは、「これ以上大きな鉢にすると持ち上げられない」「もう大きな鉢を置くスペースがない」という皆さまのために、今と変わらない鉢サイズのまま来シーズンも鉢栽培を楽しむための植え替え方法をご紹介します。アジサイに限らず、様々な落葉性のシュラブ(低木)に使える植え替え方法なので、ぜひ参考にしてみてください。
花付きが悪くなったり、水はけが悪くなったり、根が鉢いっぱいに回っていない限りは、植え替えせずにそのままの鉢で来年も育てて大丈夫です。また、植え替えと同時に細くて混み合った枝、またバランス悪く徒長した枝を思い切って剪定して姿を整えましょう。
植え替え時期
アジサイなどの落葉樹の植え替えは、葉を落とした後の休眠期に行います。関東以西の暖地では、落葉して休眠期に入る11月下旬から翌年の3月頃までが植え替え時期です。寒冷地では、寒さで株が傷まないように、厳寒期を除いて11月頃か気温が上がる春先を待ってから植え替えをするといいでしょう。
鉢底穴から根が出てくるような根詰まりの心配があり落葉した休眠期まで待てない場合は、根を触らないようにして2回り大きなサイズの鉢に植え替えをしましょう。ただ真夏だけは植え替えを控え、秋になるまで待った方が安心です。
休眠期に植え替えをする理由

休眠期は、樹木の生長が止まっています。この時期であれば、根を切っても、樹木に与えるダメージを最小限に抑えることができます。根を切ってダメージを受けた根は、暖かくなり活動期が始まれば回復していきます。
植え替え理由
鉢植えで育てている樹木は、十分に大きくなって夏の時期に水切れが早くなったと感じたら2年に1度は根を切ってリフレッシュする植え替えをおすすめします。根を切って植え替えをする理由は大きく以下の3つで、鉢植えの樹木には必要不可欠なお手入れになります。
地上部の茎や枝を切り戻ししたり剪定をすると、新芽が出てくるのと同じように、根も適期に切ることで新しい根が出てくるため、株がリフレッシュされます。
鉢のように限られた土の量だけで育てていると、どんなに肥料をあげていても土は次第に劣化して、蓄えることができる栄養分は減っていきます。
根の生長と地上部の葉や茎の生長は比例をしています。「根詰まり」をしている株は、それ以上根を伸ばすスペースが確保できずに、やがて植物の元気はなくなっていきます。
植え替え方【鉢増しのやり方】
ここでは、同じサイズの鉢に植え替えする方法をご紹介しますが、鉢増しする植え替え方はこちらを参考にしてみてください。
植え替え方【同じサイズの鉢に鉢替えする方法】
植え替え所要時間
植え替え所要時間は30分程度です。 根がぎっしり回っていてなかなか抜けない場合は、その分時間がかかることもあります。また、直径30cm以上の大鉢の場合は、時間を多めにみておくといいです。
植え替えに準備するもの
鉢植えの植物を植え替える前に、以下の道具を準備しておきましょう。そうすることで、植え替え作業を効率的に進めることができます。

培養土
栄養たっぷりの新しい培養土を準備しましょう。病気や害虫を避けるため、新しい培養土のご使用をおすすめします。

移植ごて
ステンレス製でしっかりした作りのものが長く使えておすすめです。移植ごては、鉢から株を取り出すことにも利用できます。土入れは隙間に土を入れる際に役立ちます。

肥料
元肥として、予め培養土に混ぜておきます。

殺虫剤
害虫防除のために殺虫剤を植え替え時に撒いておくと、害虫によるガーデニングトラブルを予防することができます。

土入れ
土を入れる際に使う道具です。大小セットになっている場合が多く鉢に植え替えをする際の必需品です。100円均一でも購入できます。

棒
根鉢まわりに土を均一に行き渡らせるために使用します。鉢底まで届くぐらいの長さがあると作業がしやすく、支柱などが大活躍します。

水やり道具
植え替えが終わったら、鉢底から水が流れ出るまでたっぷり水やりをします。

木槌(ゴムハンマー)
植物と鉢の間に空気層を入れ、植物を抜く際に役立ちます。
ここからは、同じ鉢に植え替えをする方法を説明します。
同じサイズの鉢でも別の鉢に植え替えをする場合は、予め鉢底網や鉢底石を準備してから、下記手順に従って植え替えをしてください。そうすることで、根が土から露わになる時間を短縮することができ、植え替えによるストレスを軽減することができます。
植物を抜いて鉢の準備をします

同じサイズの鉢への植え替えは、多少なりとも根を切ります。根を切る分だけ地上部も剪定し、根と地上部のバランスをとります。植え替え作業を効率的に進めるためにも、横に伸びた枝を剪定しましょう。太い枝には花芽があるので切るのは避けて、細い枝や混みあった枝などを整理しながら間引くように剪定します。株元に落ちている枯れ葉なども取り除きましょう。

移植ごてを使って、鉢の外周の土に隙間を作りましょう。枝が折れないように優しく中心部に向けて抑えながら、真上から垂直に移植ごてを刺して根を掘り切るようにして隙間を作ります。移植ごてを上下にざくざくと動かしながら、360度一周しましょう。

根がしっかり張っていて抜けない場合は、鉢を横に倒して木槌(ゴムハンマー)などで鉢の側面を叩いて鉢と土の間に空気層を作りましょう。鉢と土の間に隙間ができると、1人でも植物を抜くことができるようになります。鉢を割らないように注意して、植物を抜いてください。

植物を抜いた鉢を洗います。

水洗いした鉢の鉢底穴の上に鉢底網を置き、その上に鉢底石を入れます。鉢底石は、鉢の底が見えなくなるくらいの量を入れてください。

植え替えには、握るとしっかり後がつく程度の湿り気がある土が向いています。すぐに形が崩れるサラサラした乾燥した培養土の場合は、水を混ぜて湿らせましょう。湿り気がある土を使うことで、鉢がぐらつくことなく固定しやすくなります。まずは、培養土を3cmほどの深さまで入れましょう。気持ち中心部を山にすると、植物の向きを調整しやすくなります。

3cmほどの深さまで入れた培養土の上に、マグアンプKの中粒(効き目1年)か大粒(効き目2年)を5gほど元肥としてふりかけます。ちょうど根先にあたるその高さに元肥を施すことで、根の生長を効果的に促すことができます。
根の処理をします

抜いた植物の根鉢の肩から根鉢の側面、根鉢の底面の土を指2本分程度切り取ってください。
片手で枝を抑えながら、根鉢を切り取りましょう。ノコギリ刃の鎌を使用すると切り落とし作業が簡単にできますが、剪定はさみや根かき熊手で土ごと根を切り取ってもよいです。
植物を植えます
根をリフレッシュした紫陽花(アジサイ)を、予め元肥まで準備した鉢の中に置き、角度や向きを定めます。2~3cmのウォータースペースを確保できるように高さを調節し、位置が決定したら上からぐっと抑えます。
女性の手がすっぽりと入るぐらい、根鉢は小さくなっています。
外側に伸びている枝を片手で抑えながら、土入れ道具を使って全体にまんべんなく培養土を入れてください。
長い棒で鉢底までつつきながら、お鍋の内側に残ったシチューをこそぎ取るような手さばきで根鉢周りの隙間を埋めるように一周してください。つついて隙間ができたら、また培養土を足してください。そうすることで、底まで隙間なく培養土を行き渡らせることができます。

仕上げに、鉢の外側全面を360°回しながら手のひらで叩きましょう。叩いて土が隙間に沈んだ分だけ培養土を補充します。
最後に、育てる場所に移動してから、鉢の底から水が流れ出るまでたっぷり水やりをしましょう。水やりをして土が減ったら、その分だけ土を足してさらに水やりをして馴染むようにしましょう。水を含んだ鉢を移動するはとても大変です。水やり前に移動を終えておきましょう。
害虫によるガーデニングトラブルを予防するためにも、最後にオルトランなどの粒剤を撒きましょう。
植え替え後の注意
遅霜に気をつけましょう
植え替えが終わり、春が近づき暖かくなると芽は生長に向けて動き始めます。その時に霜にあたってしまうと、花芽が傷み、その年は花がつかない葉っぱだけの株になってしまうことがあります。

特に、早春の遅霜には注意が必要です。芽が動き始めてからは、万が一霜が発生しそうになったら、ビニールなどのカバーをかぶせて霜対策をすることが大切です。写真はアジサイ(紫陽花)の芽が待ち望んだ春の気候によって、動き始めた時です。
寒くなりすぎない場所に置きましょう
植え替え後は、屋外の寒くなりすぎない場所に置いて育ててください。また、あまりに暖かい場所だと早く花芽がつき遅霜のダメージを受ける可能性があるので、寒風が当たりにくい軒下などが最適です。
生育期になったら肥料をあげ始めましょう
目安として3月頃、芽が動き始めたら肥料やりを再開してください。鉢植えの培養土の量には限りがあるので、生育期(芽出しから葉の色が変わってくるまで)には肥料が切れないようにすることが大切です。3~4月の生育期はN(窒素)主体の肥料をあげて、葉や茎を育ててください。さらに開花期はP(リン酸)やK(カリ)を多く含んだ肥料をあげて、花をたくさん咲かせるように促進し根をしっかり育ててください。
まとめ
この植え替え方法で来年も鉢増しすることなく、同じサイズの鉢でキレイに育てることができます。アジサイに限らず、落葉性のシュラブ(低木)であれば様々な鉢に使える植え替え方法なので、ぜひ参考にしてみてください。
「届けたいのは育つよろこび」PWは植物を通じて、一人でも多くの皆さまに笑顔をお届けできるよう日々改良を続けています。
