「いつも同じ場所で育てている植物が、最近元気がない」「去年はよく咲いたのに、今年はほとんど咲かない」…そんなお悩み、ありませんか。もしかしたら、それは連作障害が原因かもしれません。
連作障害とは、同じ場所に同じ種類の植物を繰り返し植えることで、土の状態が悪くなり植物の生育が悪くなる現象です。本記事では、連作障害の原因・症状・起こりやすい植物・具体的な対策まで、初心者の方にもわかりやすく解説します。
連作障害とは

連作障害(れんさくしょうがい)とは、同じ場所に同じ科の植物を何度も育てることで、植物が元気に育たなくなる現象です。特に家庭菜園や花壇でよく見られ、栄養の偏りや病害虫の発生、土壌バランスの乱れが原因となります。
ただ、すべての植物に起こるわけではなく、連作障害が起こりやすい植物と起こりにくい植物があります。
連作障害にみられる症状
以下のような症状が見られたら、連作障害の可能性が考えられます。
連作障害の主な原因やメカニズム
連作障害は、同じ植物を同じ土壌で育て続けることで、以下のような要因が複合的に発生し起こります。
同じ植物を育て続けることで、特定の栄養素だけが土から失われていきます。
微生物のバランスが偏り、根こぶ病などの病原菌やセンチュウなどの害虫が発生しやすくなります。
有益な微生物が減り、有害微生物が優勢になることで、土の健康が損なわれます。
酸性に傾くことで植物の養分吸収が妨げられます。

また、栄養素の偏りや土壌酸度の変化は植物の成長不良を引き起こします。植物の成長に必要な栄養素は、三大栄養素の窒素・リン酸・カリ以外にもたくさんあります。同じ科の植物は必要な栄養素が同じため、連作すると土壌の特定の養分がどんどん失われ、あまり使われない養分は反対に残ってしまいます。
その結果、土壌中にある栄養素やミネラルのバランスが悪くなり、生育不良が引き起こされてしまうのです。この状態になると、肥料を与えてもその養分を上手く吸収することができず、ますます調子が悪くなって病害虫にも弱くなり、最悪の場合は枯れてしまうこともあります。
連作障害が起きやすい植物・草花

トマトやナスなどのナス科、キュウリなどのウリ科、アブラナ科、マメ科、セリ科、バラ科などの植物が連作障害を起こしやすいとされています。同じ種類ではなく、同じ科という点に注意が必要です。主に家庭菜園で気をつけることが多い障害ですが、実は草花でも連作障害になりやすい種類があります。
野菜類
ナス科 | トマト、ナス、ピーマン |
ウリ科 | キュウリ、スイカ、メロン |
アブラナ科 | キャベツ、ブロッコリー、ダイコン |
マメ科 | インゲン、エダマメ |
草花類
ナス科 | ペチュニア(スーパーチュニア)、カリブラコア(スーパーベル)など |
キク科 | キク、ノースポール、ガザニア(ガザニア ビースト)、コスモス、キンセンカ、ルドベキア(ルドベキア アーバンサファリ)など |
マメ科 | スイートピーなど |
クマツヅラ科 | バーベナ(スーパーベナ・バーベナ メテオールシャワー)など |
シュウカイドウ科 | ベゴニア(ベゴニア ダブレット・ベゴニア サマーウィング)など |
その他 | ロベリア(ロベリア スカイフォール)、ナデシコ(ダイアンサス フルーリアムール)、クレオメ(クレオメ セニョリータ)、センニチコウ(ゴンフレナ ラブラブラブ)など |
比較的連作に強い植物
パンジー、ビオラ、ユリオプスデージー、マリーゴールドなどは、比較的連作に強い植物になります。
すぐできる!連作障害の対処法
「連作障害かも…」と感じたら、まず以下の対策を試してみましょう。

連作障害が疑われる時は、苗を新しい培養土に植え替えてみましょう。例えば、連作障害を起こしやすいとされるペチュニアを同じプランターや鉢で続けて育てたい場合、新しい培養土に入れ替えれば連作障害を防ぐことができ元気に育ちます。
花壇では、植える場所を変えることで連作障害は解決できます。ただ、家庭の花壇ではスペース的になかなか難しいということも。そんな場合は、堆肥や土の再生材を使って、微生物のえさとなる土の中の有機物を増やしてあげましょう。微生物のバランスを良くすることで連作障害を防ぐことができます。冬の間に堆肥を入れて土壌改良をするのもおすすめです。
連作障害の予防法
同じ科の植物を毎年同じ場所に植えないようにし、同じ場所に再び植えるために必要な期間(休作期間)は、植物によりますが1~3年空けるのが理想です。
土壌を良い状態に保つことも連作障害の予防になります。堆肥などの有機物を混ぜ込んで土壌中の微生物を増やし、土を良い状態に保ちましょう。
連作障害により土に病害虫が出てしまった場合は、土を入れ替えたり、夏の高温時に土の表面にポリマルチを張って土の温度を上昇させ土壌消毒をしましょう。
花壇では、30cmほどの深さまでの土の上下を入れ替え、十分に堆肥を施しておきましょう。冬に行うと効果的です。
品種改良によって連作障害や耐病性に強い苗を選ぶのもおすすめです。トマトなどの野菜は接ぎ木苗を選ぶとよいでしょう。
さまざまな科の植物を一緒に植えることで、土壌の成分バランスが保たれ連作障害を防ぐこともできます。野菜を栽培する際は一緒に植えることで生育が良くなるコンパニオンプランツを利用するとよいでしょう。
まとめ
植物の元気がなくなったとき、「連作障害かも?」と気づくことが大切です。同じ鉢や場所に同じ植物を繰り返し植えているなら、思い切って土を変える、場所をずらす、有機物を入れるなどの対策をしてみましょう。ほんの少しの工夫で、植物がまた元気を取り戻し、ガーデニングがもっと楽しくなりますよ!