庭づくりをする上で是非検討したいものの1つがレイズドベッドです。レイズドベッドの魅力は、平坦な庭が立体的なおしゃれな庭に変身するだけじゃないんです。 今回はレイズドベッドのメリットやDIYでの作り方、レイズドベッドに植えたい花をご紹介します。
レイズドベッドとは
レイズドベッド(英語でraised bed)とは、直訳すると「上げられた花壇」という意味です。周りの地面よりも高くなっている、上げ床の花壇のことです。
レンガやブロック、石を積んだり板で囲ったりして周囲よりも高くした中に土を入れ、植物を植えたスペースをレイズドベッドと呼んでいます。
レイズドベッドはこんな方におすすめ
- 水やりを少しでも楽にしたい!
- ガーデニング作業は腰に負担がかかってしまう…。
- 花壇を作りたいけれど庭の土質があまり良くない…。
- 鉢を並べただけでなんだか庭にストーリー性がない…。
- 花壇を作ったけれど庭が平坦にみえてメリハリがない…。
レイズドベッドはそんな方におすすめです!
レイズドベッドと花壇の違い
花壇(英語でflower bed)は、地面と同じ高さに植物を植えます。歩く場所と植物を植える場所を区切るために作られるのが一般的です。
レイズドベッドは、地面より高い位置に植物を植えます。種類によっては車いすなどに座ったまま、あるいは立って作業ができるものもあります。
レイズドベッドとプランターの違い
レイズドベッドは、地面の土に接しているため、植えてある植物は地植えとして扱うことができます。プランターよりも面積が広く土の量も多いため、さまざまな植物や木を同じ場所に植えることが可能です。
プランターは、地面より高い位置に植物を植えますが、地植えではなく鉢植えになります。土の量も限られており、肥料や水やりなどのお手入れをする必要があります。ただ、移動できるというメリットもあります。
レイズドベッドのメリット
レイズドベッドの最大の特徴が水はけの良さにあります。花壇の高さを上げることにより根腐れしにくくなり、過湿が苦手な植物におすすめです。
花壇自体に高さがあるため風通しが良くなり、蒸れによる病害虫の発生も予防できます。
レイズドベッドは高さがあるので庭に立体感が生まれます。また、植物の位置が高くなるので見映えがよく、フォーカルポイントとしてもおすすめです。植える植物や資材にもこだわって、素敵な空間を作りましょう!
庭の土が粘土質や硬い土など植物を育てるのに向いていない場合、レイズドベッドに質の良い培養土を入れることで理想的な土質にでき、多くの植物を育てられる環境に変えられます。
また、レイズドベッドがあれば、過湿が苦手な植物をレイズドベッドに植えて、乾燥が苦手な植物を一般的な花壇に植えるなど、異なる環境を好む植物を同じ庭で育てることも可能です。
さらに、花壇の高さを上げることにより、日陰の庭での日当たりを確保することもできます。
高めに作ったレイズドベッドは、あまりかがまなくてもお手入れが楽にできるメリットがあります。
普通の花壇だと、あっという間に雑草だらけ!なんてこともありますが、新しく土を入れて作るレイズドベッドは雑草が生えにくくなります。土の下に防草シートを敷いておけばもともとあった雑草も防げます。
レイズドベッドの高さによってはバリアフリー(ユニバーサルデザイン)の花壇を作ることも可能で、車いすを利用している方や足の不自由な方でも植物に触れて花の香りを感じることができ、ガーデニングの楽しみが広がります。
高さのある花壇に植えることで庭に立体感が生まれ、寄せ鉢とは違った景色を楽しめます。なんとなくプランターに植えて育てている植物や家庭菜園も、レイズドベッドを作って植えると庭を素敵に演出する花壇に変身します。
レイズドベッドのデメリット
レイズドベッドを作るには、最初にレンガ、枕木、ブロックなどの資材や、レイズドベッドの中に入れる培養土などを準備しなければなりません。
高さによっては、レンガなどが崩れないようにモルタルで固定する必要もあります。そのため、本格的なレイズドベッドを作るにはかなりの手間と費用がかかります。
いったんレイズドベッドを作ると、撤去が大変なのが難点です。モルタルを使っていると解体するのは難しく、土の処理や資材の処分もしなければなりません。そのため、最初に位置や大きさ、高さなどをよく考慮してから作る必要があります。まずは高さの低い簡易的なレイズドベッドで試してみてもいいですね。
レイズドベッドがある場所や日当たり、植えてある植物によっても変わりますが、猛暑が続く夏や乾燥した時期には、土の状態によって水やりが必要です。
レイズドベッドに使う資材
レイズドベッドはホームセンターなどで手に入る材料でDIY可能です。レンガやブロック、波板などのほかレイズドベッド用のキットもあるので、目的と体力に合ったものを選びましょう。
レンガ
庭や植栽にもなじみやすく、たいていのホームセンターで手に入るのがレンガです。
レンガはさまざまな種類があり、イメージに合わせて好きな色や大きさを選ぶことができます。風格のあるアンティーク風レンガを使うと、簡単におしゃれな雰囲気の庭を作れます。レイズドベッドを作る際に通路もレンガで作ってコーディネートしてもいいですね。
レンガ1個はそんなに重くはありませんが、小さなレイズドベッドのつもりでもすぐに50個を超えます。かなりの重量になるので、ホームセンターなどで購入する際は気をつけてください。
石
レンガと同様に、ホームセンターで手に入りやすいのが石です。無造作な形を組み合わせて積み上げるだけでおしゃれなレイズドベッドができるのが魅力です。
コンクリートブロック
コンクリートブロックは、しっかりしていて耐久性がある分、重量もあります。グレーカラー以外に、木製風に型押しされたものや石を積み上げたように作られた色付きの花壇用ブロックなど、さまざまな種類のコンクリートブロックが販売されているので、庭の雰囲気に合わせて選びましょう。
あらかじめ花壇用に整形されているものは、組み合わせて置くだけで簡単にレイズドベッドが作れるためDIY初心者さんにもおすすめです。
木材(枕木や板など)
ナチュラルな雰囲気を作り出したい場合は、枕木(まくらぎ)や板などの木材を使ったレイズドベッドがおすすめです。自由に塗装もできてDIYにも向いています。ただ、木材は年数が経過すると腐るため、レンガなどに比べると耐久年数が短くなります。また、木造家屋の近くに設置した場合、白アリの被害にも注意が必要です。
レイズドベッドに木材を使う場合は、あらかじめ防腐処理されたものや、ウッドデッキに使用されるような耐水性・耐腐朽性(たいふきゅうせい)にすぐれた塗料を活用するとよいでしょう。
人工木材、擬木
天然木のように見える擬木(ぎぼく)や人工木材の花壇材は、公園などさまざまな場所で利用されています。
本物の木材と異なり、耐久性に優れているのがメリットです。合成木材やポリエチレン製など軽い材質でできたものは力のない方にも向いています。
レイズドベッド用キット
あらかじめ地面に差し込めるようになっているパーツや、組み立てるだけの花壇用キットなども販売されています。パーツの組み合わせ方で花壇の大きさも自由に変えられるものもあり、DIYは難しそう…という方や体力に自信がない方、時間がない方にもおすすめです。
レイズドベッドのデザイン
直線
レンガで作った長方形や正方形のレイズドベッドはイングリッシュガーデンなどによく使用されています。板で囲ったレイズドベッドは家庭菜園などにもぴったりです。
スチールやブロックなど使う資材によっては都会的でスタイリッシュな印象にもなります。
曲線
ゆるやかなカーブを描くレイズドベッドは、圧迫感がないので小さな庭にも向いています。芝生の縁取りや通路脇などに作れば庭が印象的になり、細長い空間では奥行きを出すことも可能です。ナチュラルな印象なので、使う資材も自然素材のものがおすすめです。
レイズドベッドの花の植え方
花の選び方
レイズドベッドは水はけがよいため、乾燥に強い植物や過湿が苦手な植物を育てるのに向いています。そのため、花壇だと梅雨時や夏の過湿で弱ってしまうラベンダーなど、乾燥を好む植物でもよく育ちます。
レイズドベッド全体を秋と春に植え替えるのは大変なので、ペレニアル(宿根草)やカラーリーフを選んで美しいローメンテナンスの花壇を作ってみましょう。一年草を植える場合は作業しやすい花壇手前に植えるのがおすすめです。花期の長い一年草を上手に取り入れると、一年中花があふれる花壇を楽しめます。
レイズドベッドをスタイリッシュな印象にしたい時は、マンガベなど個性的な植物を取り入れてみましょう。あえて全面に植物を植えこまず、土が見える場所は白い砂利などでカバーしドライガーデン風にするとおしゃれな雰囲気が増します。
レイアウト方法
レイズドベッドの後ろが壁になっている場合、後ろ側に背の高い植物や大きくなる宿根草、中間に少し立ち上がりこんもり茂る植物、手前や角には横に広がる植物や枝垂れる植物を植えるとレイズドベッドとも馴染んで美しく見えます。
庭の中央など四方から見える場所に作る場合は、どこから見ても美しく見えるように、中心に高い植物や樹木、周囲に高さを変えてこんもりと茂る植物、花壇の縁に背の低い植物を植えましょう。
簡単なレイズドベッドの作り方
最初に、レイズドベッドを作る場所を決めましょう。植える植物や日当たり、通行の邪魔にならないかなども考慮して慎重に検討します。場所が決まったら地面に花壇の形を描いておきましょう。
レンガやレイズドベッドキットなどを使って花壇の枠を作っていきます。
レイズドベッドの高さは30cm程度あると地面との差がはっきりとして、なおかつ排水性も良くなります。地面に水が染み込みにくい排水性の悪い場所に設置する場合は、一番下の段に水はけ用の隙間を設けておくと安心です。
レンガを積み重ねる場合、2~3段程度ならそのまま積んでも崩れませんが、それ以上の高さにする場合はモルタルを使ってレンガをしっかりと固定しましょう。
コンクリートブロックを使う場合もモルタルで接着すると安心です。
木材で作る場合は電動ドリルなどがあると作業が楽になります。
手軽にレイズドベッドを楽しみたい場合はキット利用がおすすめです。キットの説明書に沿って作業しましょう。
排水性をよくするために、花壇の底に軽石や砕石などを敷き詰めましょう。高さは5~10cm程度。粘土質や硬い土壌の場合は水はけが悪くなりやすいため、少し多めに入れてください。さらにレイズドベッド下部に排水用の隙間を設けておくと、より水はけが良くなります。
軽石を敷き詰めた上に培養土を入れていきます。市販の草花用培養土にはピートモスが多くブレンドされていることが多いので、赤玉土などを混ぜて使用するとよいでしょう。同時に元肥も混ぜておきましょう。
すぐに植物を植える場合は、ある程度土を入れたら苗をポットのまま配置して位置を決めていくといいですね。
植物の苗を植え付けて、隙間ができないように土を足し、たっぷりと水をあげて完了です。
苗がしっかりと根付くまでは、土が乾いたら水やりをしてください。
レイズドベッドにおすすめの花11選
レイズドベッドは一般的にどんな植物を育てても大丈夫ですが、特におすすめしたい植物は、水はけのよい場所で育ててほしい植物たちです。
背景におすすめ
センニチコウ(千日紅)
ゴンフレナ ラブラブラブ分類:ヒユ科ゴンフレナ属
学名:Gomphrena pulchella
春から晩秋まで咲き続けるゴンフレナ ラブラブラブ。分枝性が良く、ポンポンと咲くピンク色の花がとてもかわいらしいセンニチコウです。高性なのでフォーカルポイントや花壇の背景におすすめ。乾燥に強く水はけの良い土を好むのでレイズドベッドに向いています。
ルドベキア
ルドベキア アーバンサファリ分類:キク科ルドベキア属
学名:Rudbeckia hirta
大人っぽいアースカラーと造形美が魅力的なルドベキア アーバンサファリ。次々と花が咲き、一つの花の開花期間も長いので、夏の花壇のフォーカルポイントにおすすめです。草丈が高いので、花壇の後方に植えるとよいでしょう。
ジギタリス
ジギタリス ベリーカナリー分類:オオバコ科キツネノテブクロ属
学名:Digitalis hybrid
ローズガーデンでもお馴染みのジギタリス。ジギタリス ベリーカナリーやイルミネーションフレイムなどの品種は、分枝力や耐暑性に優れ開花期が長いハイブリッドジギタリスです。草丈が高いのでレイズドベッドのフォーカルポイントやボーダーガーデンの後方にもぴったり。花壇を華やかに彩ります。
メインにおすすめ
カリロファス
カリロファス サニーチャープ分類:アカバナ科カリロファス属
学名:Calylophus hybrid
カリロファスは、アメリカのテキサス原産の植物で、厳しい暑さと乾燥の中で自生していました。それがいよいよ園芸品種として改良され、2024年日本初上陸!記録的な暑さが毎年更新されるようなこの日本で、今後夏の定番となりであろう注目の品種になります。耐暑性が極めて強く水はけの良い土を好むので、レイズドベッドで育てるのが最適です。
ネペタ キャットミント
ネペタ キャッツパジャマ分類:シソ科イヌハッカ属
学名:Nepeta hybrid
シルバーリーフに柔らかな香り、コンパクトな株姿で可憐なラベンダーカラーの小花を株一杯に咲かせるネペタ・キャッツパジャマ。耐暑性に優れ、春から晩秋まで花が咲き続けるペレニアル(宿根草)です。やや乾燥気味の場所を好むのでレイズドベッドにも向いています。
ユーフォルビア
ユーフォルビア ダイアモンドフロスト分類:トウダイグサ科ニシキソウ属 学名:Chamaesyce hybrid
さまざまな色の花を植えたい時のクッション変わりにもなってくれるのが白い花。カスミソウのようなふんわりとしたユーフォルビア ダイアモンドフロストは、寄せ植えにもグランドカバーにも役立つ安定品種。暑さや乾燥に強く、ナチュラルな雰囲気のレイズドベッドにしたいときに取り入れてみましょう。
ゼラニウム(ゼラニューム)
スーパーゼラニウム チャンピオン分類:フウロソウ科テンジクアオイ属
学名:Pelargonium hybrid
ゼラニウムはやや乾燥した環境を好むためレイズドベッドに向いています。スーパーゼラニウム チャンピオンは丈夫で病気に強いハイブリッドゼラニウム。耐暑性もあり、早春から晩秋まで華やかな花を長く花を楽しめます。レイズドベッドでは中間部分に植えて楽しみましょう。
タゲテス
タゲテス ゴールドメダル分類:キク科タゲテス属
学名:Tagetes lemmonii
ほぼ一年中花を楽しめる、爽やかなシトラスミントの香りが魅力のタゲテス ゴールドメダル。温かみのあるゴールドイエローの花が庭を鮮やかに彩ってくれます。乾燥に強く生育旺盛なのでレイズドベッドで活躍します。
縁取りにおすすめ
ゲラニウム ブルームミー
ゲラニウム ブルームミー分類:フウロソウ科 フウロソウ属
学名:Geranium hybrid
ゲラニウム ブルームミーは、一般的なゲラニウムよりも分枝性と連続開花性に優れた宿根草です。根づけば植えっぱなしで大丈夫ですが、過湿を苦手とするので、水はけのよいレイズドベッドで育てるのが最適です。
ポーチュラカ
ポーチュラカ オスカーレッド分類:スぺリヒユ科ポーチュラカ属
学名:Portulaca umbraticola
公園のレイズドベッドでよく見かけるポーチュラカ。ポーチュラカ オスカーレッドは、花の大きさは約5cmと大きめで、花弁の1枚1枚がハートの形をしています。乾燥に強く、レイズドベッドの縁取りで活躍します。
スイートアリッサム
スーパーアリッサム スノープリンセス分類:アブラナ科ニワナズナ属
学名:Lobularia hybrid
グランドカバーにもなる生育旺盛なスーパーアリッサム スノープリンセスとパープルプリンセスは、耐暑性があり真夏を除いてはほぼ一年中花を楽しめます。枝垂れるように大きく広がりレイズドベッドのエッジ部分を隠してくれるので、ナチュラルに仕上がります。
まとめ
庭をおしゃれにしてくれるレイズドベッド。いったん設置すると撤去するのは大変なので、まずは鉢植えを並べて花壇になった様子をイメージしたり、すぐに撤去できるレンガを置いて囲ってみたりして設置場所を考えましょう。簡単に作れるキットなども利用して、ぜひ素敵な空間を作ってくださいね。