日本特有の気候であるジメジメした梅雨や長雨。長い間雨が続くと、花や植物たちもさまざまなトラブルが発生します。トラブルを最小限に抑えるには、雨のガーデニング対策が必要です。ここでは、梅雨や長雨の時期に起こりやすいガーデニングのトラブルとその対策をご紹介します。
ガーデニング初心者の方には、長雨にも強い植えっぱなしで大丈夫な花や植物を育てるのも対策の1つです。自分のライフスタイルやお庭に合った対策をとり、上手に梅雨越し・長雨越しをしましょう!
梅雨や長雨の時期のガーデニングトラブル
長い間雨が続く梅雨の時期には、高温多湿によりさまざまなガーデニングトラブルが発生しやすくなります。
梅雨時の高温多湿な環境下では、株が蒸れて傷みがちになります。特に枝葉が込み入った箇所では枯れあがる(生育不良の症状)こともあります。
地植えの場合は雑草にも注意が必要です。この時期は雑草の生長も著しいので、油断するとあっという間に雑草だらけになってしまいます。雑草に囲まれることで風通しが悪くなり、大切な植物が蒸れて枯れてしまうこともあるので気をつけましょう。
咲いている花が雨にあたるとどうしても花びらが傷んでしまいます。そのままにしておくと見た目が悪いだけでなく、傷んだ花びらが葉や蕾にこびりついてしまったり、病気の発生源になる可能性もあります。傷んだ花はすぐに取り除き、できれば雨にあたらない場所で楽しめるといいですね。
雨が続くと常に土が湿っている状態になってしまいます。地面に直接置いてある鉢植えは特に水はけが悪くなりがちになり、ひどい場合は根腐れして枯れてしまうこともあります。
高温多湿な環境が続くと、うどんこ病などの病気が発生しやすくなってしまいます。また、株元に落ちた枯葉や花がらをそのままにしているとカビが生えたり病気の発生源になったりすることも。気温が上がってくる梅雨時には、ナメクジなど害虫の活動も活発に。できるだけ初期のうちに対処しておきましょう。
雨のガーデニング対策
植物を雨から守ります
梅雨や長雨時のトラブルをできるだけ避けるには、鉢植えはできるだけ風通しがよく雨のあたらない場所に移動させるのが最善策です。 こちらは@type_saki_flower様のビニールで囲った雨対策です。壁面側はビニールを張らずに風通しをよく工夫されています。
花の中には雨に強い品種もありますが、できるだけ雨に当たらないようにしたほうがきれいな状態を長く保つことができます。できれば花が雨に当たらない場所に鉢を移動させましょう。屋根がある場所が限られているようであれば、過湿を苦手とする植物や花びらが薄い植物を優先的に移動させてください。
カンパニュラ(カンパニュラ メリーベル)、イソトマ(ローレンティア フィズアンドホップ)、バコパ(ステラ スノーストーム)、チョコレートコスモス(チョカモカ)など
雨に強いとされる草花でも、ゲリラ豪雨などで萎れてしまう場合があります。もし、植物が弱ってきたと感じたら、一時的に雨の当たらない場所に移動して様子をみてください。
風通しを良くします
鉢と鉢は、ぎゅうぎゅうに置かず間隔を開けて蒸れないように気をつけましょう。
また、風通しや水はけをよくするために、花台やスタンドなどを使って鉢が直接地面につかないようにするのも良い方法です。鉢皿を使っている場合は、取り除いてください。 レンガの上に乗せて景観が崩れてしまった場合は、グリ石などで目隠しするといいですよ。
茂りすぎた植物は、切り戻しや枝透かしを行ってすっきりさせることも大切です。枝や葉が込み入っていると感じたら、風通しが良くなるように切り戻しや枝の間引きをしましょう。
梅雨入り前のカリブラコアの切り戻し
6月8日 切り戻し前
梅雨入り前、育ちすぎて形が崩れてきたカリブラコア(スーパーベル)。株元が蒸れて枯葉も目立ってきました。蒸れを防ぐために切り戻りをします。
6月8日 切り戻し後
鉢に沿って切り戻しをします。ばっさり切り戻すときも、必ず元気な葉を多めに残すようにしましょう。
7月1日
梅雨が終わる頃にはきれいなドーム状になります!蒸れを防ぐだけではなくきれいな形に整えるのに、切り戻しはおすすめです。
花がら摘みや葉かきをします
病気や害虫を防ぐためにも花がらや株元に落ちた花びら、葉はできるだけ早く取り除きましょう。「花がら摘み」とは咲き終わった後の花を取り除くことで、「葉かき」とは古くなった葉を取り除くお手入れのことです。病気や害虫は広がる前に防ぐことが重要です。気付いたら、雨がやんでいる時を見計らって病気の葉や虫を取り除き、広がらないように殺虫剤や殺菌剤などで防除しましょう。
草丈が高くなる植物は支柱を立てます
地植えの植物の中でも草丈が高くなる植物は、梅雨入り前に支柱を立てて雨で茎が倒れないように対処しておきましょう。
泥はねを防ぎます
強い雨に打たれると、泥がはねて花や葉っぱが汚れてしまいます。花や葉っぱについた泥は病害虫の原因になります。花壇などはマルチング材を敷いて、泥はねを事前に防いでください。
水溜まりを防ぎます
普段は水はけがよい花壇でも、勢いがあるゲリラ豪雨によって、葉から落ちた雨水で水溜まりができてしまうことがあります。梅雨が長引きそうな時は、雨水が抜ける筋道を作って、水溜まりができないように時々みてあげてください。
雑草を抜きます
雑草が生えていると、その分風通しが悪くなり植物が蒸れてしまいます。また黄色に変色した枯れた下葉をそのままにしておくと病気が発生しやすくなります。雨がやんでいる時に雑草抜きと下葉の処理をして風通しをよくしてください。また、鉢植えと同様に開花期が長いお花は切り戻しもして蒸れを防いでください。
雨降りの後は泥を流します
雨が降った後は、花や葉っぱについた泥を洗い流す程度の優しい水やりをしましょう。そうすることで、植物の回復も早まります。
雨に強い花・植物
雨に強い花や植物をご紹介します。梅雨時期にも耐えられる雨に強いお花や植物を上手に取り入れて、ジメジメした梅雨の時期もガーデニングを楽しんでください。
スーパーチュニア ビスタ
スーパーチュニア ビスタは、雨に弱かったペチュニアの弱点を克服しています。たとえ長雨で花が傷んだとしても強健で生育が早いため、すぐに回復します。また暑さや蒸れにも強いため真夏の直射日光の下でもすくすくと育ち、早春から晩秋まで長く咲き続けます。
スーパーゼラニウム チャンピオン
過湿が苦手だったゼラニウムの弱点を克服し、日本の気候に適するように改良されたのが、品種交配によって生まれたハイブリッドゼラニウムのスーパーゼラニウム チャンピオンです。真夏でも生育しながら花を咲かせます。
ベゴニア ダブレット
ベゴニア ダブレットはバラのような八重の花でつやのある銅葉と花色のコントラストが美しいベゴニア・センパフローレンスです。夏の暑さはもちろん、雨や病気にも強く、春から晩秋まで長く花が咲き、ガーデニング初心者にとっても大変育てやすいお花です。
雨のガーデニングの楽しみ方
さて、お庭に出て作業ができない梅雨や長雨の季節。皆さんどうやってガーデニングを楽しんでいますか。ガーデニング以外のことをして楽しむ方もいるかと思いますが、「園芸雑誌を読む」「SNSで素敵なお庭を探す」「ガーデニングショップ巡りをする」と晴れていると忙しくて中々できないことを、雨のこの時間を使ってじっくりとガーデニングの研究をしている方が多いようです。雨ならではのガーデニングの楽しみ方を是非皆さんも見つけてみてください。
また、梅雨の時期のガーデニングと言えば、アジサイ抜きには語れません。雨が多いこの時期、お気にいりのアジサイを見つけて梅雨のガーデニングを楽しんでみませんか。
ヤマアジサイ
ヤマアジサイは、ガクアジサイと同じく花の咲き方は「ガク咲き」で、優しい印象のアジサイす。ヤマアジサイはガクアジサイよりも小ぶりなために、コガクアジサイと呼ばれることもあります。
ラグランジア
アジサイの常識を覆した全ての側芽に花をつけるラグランジアブライダルシャワーもPWを代表するアジサイの1つです。純白の花びらが株全体を覆うようにハラハラと舞い澄んだ雰囲気のアジサイです。
雨のガーデニングよくあるご質問
- 雨が降った日は水やりをしなくていいですか。
花や植物の水やりは「土が乾いたら」あげるのが原則です。土が乾くまで水やりはしないで大丈夫です。ただ、雨で花や葉っぱに泥がついた場合は、軽く洗い流して、病害虫の発生を防ぐようにしてください。
- 雨が長く続く時期の肥料のやり方で注意すべきことはありますか。
生育期の花や植物であれば、梅雨入り前と変わらない一定量の肥料をあげ続けてください。雨で肥料が流れてしまう分たっぷりめにあげるといいです(濃い肥料をあげるのではなく、既定の濃度の肥料を多めにあげるようにしてください。)。
ただ、梅雨の時期は気温も高まってくるので、置き肥タイプの固形肥料よりも液体肥料を使うのがおすすめです。固形肥料は、水と温度に反応して溶けます。暑い日には早く溶けてしまうので、固形肥料をあげる場合はいつもより少なめの量を少しずつあげる工夫が必要になります。
まとめ
梅雨や長雨の季節のガーデニングトラブルを防ぐポイントは、風通しや水はけをよくすることです。多湿に弱い植物は、鉢植えにして屋根のある場所に移動しましょう。地植えの場合は、雨に強い品種を選んで育てるのも梅雨のガーデニング対策の一つです。ジメジメした梅雨ですが、適切に対策して上手に梅雨越ししましょう。他にもガーデニングに困ったことがあったら、ガーデニング入門を参考にしてみてください。