紅葉のように葉色が変わる木や、土壌酸度(土壌pH)によって花色が変わるアジサイなど、植物には季節の移ろいや栽培環境に応じて花色や葉色が変化していくものがあります。なぜ花色や葉色が変わるのかご存知ですか。その理由を知れば、表現したい花色にもっと近づけることもできるようになります。
ここでは、花色が変わるお花の魅力や花色が変わるおすすめのお花と一緒に、花色や花模様が変わる理由をご紹介します。
花色が変わるお花の魅力
一株でさまざまな表情を楽しめるのが、花色が変わるお花の最大の魅力ではないでしょうか。咲き始めから咲き終わるまで花色が徐々に変化していく姿を楽しめるものや、濃淡いろいろな花色が混ざりあう品種は一株で華やかな寄せ植えのような気分を味わえます。
また、春夏秋冬と様々な表情に変わることで、季節の移ろいを感じることができるのも魅力です。
花色が変わる理由
花色の変化にはさまざまな要因が複雑に絡み合っています。その多くには、花に含まれる紫色や青色の要素を発色するアントシアニンと黄色や赤色を発色するカロテノイドという色素の働きが関係しています。葉色が赤や黄色に変化する紅葉も、アントシアニンやカロテノイドなどの色素の働きによるものなんですよ。
土壌で花色が変わる
土壌pH(土壌酸度)によって赤であったり青であったり花色を変える花の代表が、アジサイです。日本でアジサイと言えば青い花を思い浮かべますが、実は、もともと生まれ持ったアジサイの花色はピンク色になります。花に含まれるアントシアニンという青系の植物色素と土壌中のアルミニウムの化学反応によって花の色が、ピンク色から青色に変わります。アルミニウムが溶けにくいアルカリ性の土壌では赤系の花色になりますが、日本のように雨が多い酸性の土壌ではアルミニウムが溶けだしやすく青色の花が咲くのです。
また、リン酸が多い土壌ではアルミニウムが溶けにくくなるため、青いアジサイの色がきれいに発色しないということがあります。その花本来の美しい花色を楽しむために、育てている品種の花色に合った土や肥料を使うのがおすすめです。
ただ、全てのアジサイが土壌によって花色が変化するわけではなく、白いアジサイや品種の特性として花色が決まっているアジサイ(例えばノリウツギやアナベル)やもともとアントシアニンを持たないアジサイは土壌によって花色が変化しないので知っておきましょう。
気温(温度)で花色が変わる
季節によって花色を変える花の多くは、気温(温度)に左右されて花色が変化します。
冬花壇の代表、パンジーやビオラは気温(温度)の影響を受けやすく、育てているうちに初めとは違う花色になることがあります。もともと花色の変化を楽しむ品種もありますが、一般的に、気温(温度)が低くなると赤系の色味が強くなるようです。
木々の紅葉も気温(温度)の影響を受けて葉色が変化します。気温が低くなると、春や夏にたくさん生み出した緑色素であるクロロフィル(葉緑素)が減少して、緑色の葉がどんどん褪せていきます。赤色に紅葉するものもあれば、イチョウのように黄色に変色するものもあるのは、アントシアニンが蓄積されているのかカロテノイドが蓄積されているのかの違いになります。
紫外線量で花色が変わる
日光の光量や、日が当たる時間の長さ、浴びる紫外線量によって花色が変わる植物が多くあります。
紫外線量で花色が変わる植物の場合、日陰や日なたに移動させたり紫外線の量を調整することで花色を変えることができるので、色々と試してみてくださいね。
肥料で花色や葉色が変わる
肥料をしっかりあげて、株全体に栄養を行き渡らせることによって、花色や葉色がしっかり出てくることもあります。「花色が薄いな」「葉色が黄色になってきたな」と感じたら、肥料不足かもしれません。
老化で花色が変わる
咲き進むにつれて花色が変化するバラの中には、花が開くにつれてアントシアニンが合成されて赤みが出るものもあります。これは老化や紫外線の影響だと言われています。逆に、ニオイバンマツリは咲いているうちにアントシアニンが分解されて花色が青色から白色へ変化します。
PWのマーガレットは花が咲き進むにしたがって花色が変化します。1株で幾重もの花色を楽しむことができます。
秋になるとアジサイの多くが秋色アジサイに変化するのも老化による色枷せが原因です。老化という表現があまりよくありませんね。様々な季節を重ねることで、重厚感ある趣ある花色を魅せてくれるようになります。
先祖返りで花色が変わる
突然変異によって生まれた枝変わり品種などで、先祖返りという現象が起こることもあります。この場合は、本来の品種の色が出るのが特徴です。
枝変わり品種とは
突然変異により本来とは異なる花色や葉などが生まれ、それが固定した特徴となった品種のことを枝変わり品種と呼びます。
花の模様が変わる理由
園芸品種の花の模様には、覆輪や星咲き、絞り模様、扇状模様などさまざまなものがあります。
スーパーチュニアのラヴィドゥヴィやスーパーチュニアビスタミニブルースターのような星咲きの模様は、品種改良によりアントシアニン色素の合成が阻害された部分が白色になり、美しい模様の花が作り出されます。
ただ、この模様は安定しにくい性質があるため、栽培しているうちに白い模様の部分にアントシアニン色素が入り込み、最初の花の模様と異なってくることがあります。そのため、育てているうちに「なんだか花の模様が変わった?」ということも出てくるのです。病気ではないので心配しなくても大丈夫です。是非花の模様の変化も楽しんでください。
花の模様が変わる原理は、基本は花色が変わる原理と同じです。気温(温度)や紫外線量などの外的要因によって変わることがあるので、置き場所や肥料を変えるなどいろいろ試してみてください。
よくあるご質問
- 1つの花が白くなったり、花が部分的に白くなりました。病気でしょうか。
本来斑入りではない品種のチューリップが斑入りの花になるのはウイルスの影響ですが、珍しい品種として珍重された時代もあります。
現在の花の模様の変化は多くの場合、品種改良や自然要因によるもので病気ではありません。
時々、花びらがところどころ白くなってしまうことがありますが、これは殺虫剤など薬品の影響による場合が多いようです。また、長雨にさらされているうちに花の一部の色が変わることもあります。これらは、殺虫剤が花にかからないようにしたり、鉢を雨に当たらない場所に移動させたりして予防できます。
花色変化を楽しむおすすめ植物
花色変化を楽しむ花苗
育てているうちに花色が変化するお花はお得感いっぱい!いろいろな表情を楽しんでください。
マーガレット
分類:キク科アルギランセマム属
PWのマーガレットは分枝性がよく花がたくさん咲く品種。中でも、花色の変化を楽しめる品種は1株で寄せ植えやブーケのような華やかさと愛らしさを味わえます。紫外線の量と温度で花色が変わります。
ルドベキア アーバンサファリ
分類:キク科ルドベキア属
ルドベキア アーバンサファリ フォレストグリーンは洗練されたアースカラーと造形美が印象的で、たくさんの枝から連続開花するルドベキアです。耐暑性に優れているだけでなく、最低温度はー15℃と耐寒性もある多年草で、冬越しをするとさらに大きな株に生長します。花が咲き進むにつれて様々なカラーに変化します。
秋になり涼しくなると、ぐっと印象的なグリーンカラーを魅せてくれます。
花色変化を楽しむシュラブ(低木)
咲き進むにつれて花色が変化するシュラブ(低木)は、長い期間さまざまな表情で庭を彩ってくれる優れものです。
ノリウツギ
分類:アジサイ科アジサイ属
コンパクトなサイズから迫力満点のサイズまで、さまざまな品種がそろうノリウツギ。剪定の時期を選ばず土壌PHに花色が左右されません。咲き始めは白色やライムで、咲き進むにつれてピンクや濃い赤紫色へ…品種によってさまざまに移り変わる花色を楽しむことができます。
花色が変わることで四季の移ろいを感じることができます。
こちらの記事も是非参考にしてみてくださいね。
アジサイ レッツダンス
分類:アジサイ科アジサイ属
アジサイ レッツダンス ビッグイージーの目を引く大きな花は、緑かかったピンク色から鮮やかなピンク色に変化しその後再び緑色になります。pH(土壌酸度)によりピンクからラベンダーブルーの色を楽しめます。ビッグイージーの名の通り、枯れた葉を取り除く程度で剪定は不要!ガーデニング初心者におすすめの手間いらずなアジサイです。ビンテージカラーになるまでそのまま花色変化をお楽しみください。
まとめ
PW(ピーダブリュー)には花色の変化を楽しめる品種がたくさんそろっています。品種によって花の色を調整できるものもあるので、興味のある方はぜひいろいろ工夫してみてください。ただ、園芸品種も本来は自然のもの。品種によってはさまざまな要因によって育てているうちに花色が変わってくる場合もありますが、それも自然の一部として楽しみましょう。
PWは植物を通じて、一人でも多くの皆さまに笑顔をお届けできるよう日々改良を続けています。届けたいのは育つよろこび…それが私たちPWの想いです。