何年もかけて大きく生長するのが魅力のペレニアル(宿根草・多年草)。ただ、冷涼な気候を好むペレニアル(宿根草・多年草)にとって、日本の高温多湿の夏を越すのは大変です。そこで、上手に夏を乗り越えるためにやっておきたいのが夏越し対策です。しっかり対策をして、猛暑を乗り切りましょう!
ペレニアル(宿根草・多年草)の夏越し準備
ポイント①根の状態を確認しよう
暑さが本格的になる前に、夏に水切れして枯れないためにも、根の状態を確認しましょう。
以下のようなサインがあったら根詰まりをしている可能性があります。こうした根詰まりをしている状態の場合は、夏本番になる前にひと回り大きな鉢に植え替えをしてあげましょう。根詰まりをしている場合は、多少根をほぐして植え替えをしましょう。
鉢底穴から根が出ていたら、鉢の中で根が回ってギュウギュウになってこれ以上伸びることができない根詰まりをしている状態になっています。
水をあげてから水切れを起こすまでの間隔が短くなっていると、根詰まりを起こしている可能性があります。水切れとは、植物の水分が不足して萎れてしまうことです。以前より早く植物が萎えているように感じたら根詰まりをしているかもしれません。
ポイント②蒸れを防ごう
植物は蒸れを嫌います。できれば梅雨入り前に枯れた葉を取り除き、切り戻しや枝透かしをして蒸れないような対策をしておきましょう。周りの雑草も抜いて風通し良くしておくといいですね。
生育旺盛なペレニアル(宿根草・多年草)は、暑くなる前に草丈を抑えるために1/2程の高さで切り戻しをすると株姿が整い、ほどよい高さで秋の花を楽しむことができます。草丈を抑えることで夏越しもしやすくなります。いずれも、切り戻しは元気な葉をたくさん残して行ってください。
鉢植えの対策
雨が続くと土が乾きにくくなり根腐れして枯れてしまう植物も出てきます。鉢植えは雨の当たらない場所に避難させたり、スタンドに乗せてできるだけ水はけをよくしたり、工夫してみてください。
鉢はある程度の隙間を開け、高さを変えるなどの工夫をして風の通り道を作っておきます。
地植えの対策
庭に植えこんである植物は、枝が混んでいる箇所を間引いたり地面に近い部分の古い葉を落として風が通るようにしたり、こまめに雑草を抜いて蒸れないようにしておきましょう。
ペレニアル(宿根草・多年草)の夏越し対策
梅雨が明けると強烈な暑さがやってきます。特に、高温多湿の日本の夏は、涼しい地域原産のペレニアル(宿根草・多年草)にとっては厳しい環境になります。さらに、都市部にはゲリラ豪雨や高い夜温、エアコンの室外機など、植物が苦手とする問題もたくさんあります。
翌年もたくさんの花を楽しめるように、夏越しのポイントを押さえておきましょう。
ポイント①照り返しを防ごう
植物にとっては木漏れ日が差すような場所が理想ですが、なかなかそうもいきません。特に、アスファルトやタイル張りのテラス、ベランダなどでは日光の照り返しで床がかなり高温になります。そのような場所に直接鉢を置くと植物がダメージを受けてしまいます。
鉢植えの対策
鉢植えの場合は、スタンドで高さを出したり、ベランダであれば人工芝を敷くと、床や地面からの放射熱が直接鉢に伝わることを防げます。
地植えの対策
地植えの場合は、株元をバークチップなどのマルチング材で覆って土の表面温度が上がらないようにしましょう。
ポイント②直射日光を防ごう
夏越しで特に気をつけたいのが、照り付ける真昼の直射日光と強い西日です。
鉢植えの対策
全てのペレニアル(宿根草・多年草)が夏の日差しに弱いわけではありませんが、強い直射日光がを苦手とする植物は、早めに半日陰になる場所に移動させましょう。
また、暑さだけでなく湿気が苦手なペレニアル(宿根草・多年草)は長雨で弱ってしまうと夏越しが厳しくなるので、梅雨前に雨の当たらない場所に移動させておきます。簡単に日陰を作るには、真昼の太陽光を遮る遮光ネットや、西日を遮るトレリス、すだれなどを設置するのがおすすめです。
地植えの対策
地植えの場合は移動させることができないため、遮光ネットやトレリス、よしずなどで直射日光を遮りましょう。
ポイント③室外機の熱風対策をしよう
エアコンの室外機から吹き出す熱風にも注意が必要です。室外機のすぐ前には植物を置かず、地植えの場合は乾燥や暑さに強い植物を選びます。室外機の目隠しを兼ねて室外機カバーを使う場合は、室外機の性能を落とさないように注意しましょう。トレリスなどでも代用できます。
どうしても室外機を避けられないベランダでは、植物の位置や高さを工夫して、できるだけ熱風があたらないようにしましょう。
ペレニアル(宿根草・多年草)の夏の肥料やり
夏が開花期にあたらないペレニアル(宿根草・多年草)は、暑い日が続く夏の間は肥料を与える必要はありません。
ただし、夏に開花全盛期を迎えるペレニアル(宿根草・多年草)は、しっかりと液体肥料をあげ続けましょう。緩効性化成肥料などの置き肥は温度が高くなると溶けやすくなるため、あげるとしても量はごくごく少なめにしましょう。
暑さで株が弱っているような状態のペレニアル(宿根草・多年草)には肥料は与えず、風通しの良い日陰で株を休ませ、活力剤などを利用しましょう。
ペレニアル(宿根草・多年草)の夏の水やり
晴れた日が続く夏は、強い日差しで土が乾きやすくなっています。鉢植えのペレニアル(宿根草・多年草)には朝・夕の2回、鉢底から水が流れ出るくらいたっぷりと水を与えましょう。昼間の時間帯に水やりをしてしまうと、鉢の中の温度が上がり、植物の根が傷んでしまうので気をつけます。朝、水やりを忘れてしおれてしまった場合は、日陰に移動させてからたっぷりと水を与えます。朝夕の水やりが大変、という場合は、自動灌水機などの利用も考えて早めに準備しておきましょう。
普段は水やりをしなくてもよい地植えのペレニアル(宿根草・多年草)も、晴れた日が続いて地面が乾燥しているようだったら朝早くか夕方に水やりをします。夕方の水やりや葉水、テラスなどへの打ち水は、水が蒸発する際に植物周辺の気温も下がって熱帯夜でも夏越しやすくなるのでおすすめです。
ペレニアル(宿根草・多年草)のその他の夏の注意ポイント!
近年増えてきたゲリラ豪雨。突然の突風や大雨、ひょうなどの被害が各地で見られます。台風対策と同様に、鉢植えを室内に取り込んだり、雨の当たらない場所に避難させたりするしかありません。あらかじめ、庭の中で風があたりにくい場所や雨の当たりにくい場所などを調べておくといいですね。
日ごろから天気予報をチェックして、危なそうな場合は早めに鉢植えを避難させておきましょう。
地植えの場合は、夏前の切り戻しで草丈を低く抑えておくのも被害を最小限にするひとつの方法です。
夏越ししたペレニアル(宿根草・多年草)
上手に夏越ししたペレニアルは、翌年さらに株が充実してたくさんの花を咲かせてくれます。そして、その後も何年にもわたり私たちを楽しませてくれるでしょう。
おすすめのペレニアル(宿根草・多年草)8選
植物の国際ブランド「PW」には、日本の夏にも耐えられるよう改良されたペレニアル(宿根草・多年草)がたくさんそろっています。
「夏越しが心配…でも植えっぱなしで毎年花を楽しめる植物がないかしら?」と思われている方は是非!ローメンテナンスで花を楽しむおしゃれなペレニアルガーデン作りに、PWのペレニアル(宿根草・多年草)を取り入れてみてくださいね。
フロックス オープニングアクト
分類:ハナシノブ科クサキョウチクトウ属(フロックス属)
フロックス オープニングアクトは、暑さにも寒さにも強い非常に強健な性質のハイブリッド宿根フロックスです。梅雨明け後や花後に切り戻せば、5月頃~11月頃まで株一面に甘い蜜の香りがするたくさんの小花をつける姿を楽しめるペレニアル(宿根草・多年草)なので年々株が充実して大きな株に生長していきます。草丈は50~70cmほど。株のまとまりがよく育てやすいのも魅力です。
フロックス オープニングアクトは、長雨の多湿に注意して風通しの良い場所で育ててください。耐暑性に優れているので、真夏の直射日光下でも夏越しができます。
ネペタ キャッツパジャマ
分類:シソ科イヌハッカ属
ラベンダーのような花姿を楽しめるネペタ キャッツパジャマ。ふんわりコンパクトな株一面に爽やかなブルーの小花が咲き、ミントのような柔らかな香りを放ちます。優しい色合いはローズガーデンにもぴったりで、シルバーリーフと相性抜群です。ネペタ キャッツパジャマは乾燥にも強く耐暑性にも優れた性質で、地植えであれば植えっぱなしで大丈夫。春~晩秋まで、庭を爽やかに彩ってくれます。
真夏は、お花が休むことがあります。なるべく涼しい場所で夏越しをすると、株のダメージが少なくすみます。
ベロニカ ウィザーディング
分類:オオバコ科ベロニカ属
連続開花性、耐病性に優れたハイブリッドベロニカのベロニカ ウィザーディング。分枝性がよく初夏~夏にかけてたくさんの花がつき、連続して開花しながら花穂が長く咲き伸びるのが特徴です。花色は、紫色の花が咲くブルーキャンドル、ピンク色のピンクポーション、白色のホワイトワンズの3種類。花色によって性質も異なり、ホワイトワンズは初夏から霜が降りる頃まで咲き続けます。自然な花姿はナチュラルガーデンにぴったり。ぜひ取り入れてみてください。
鉢植えで育てている場合は、真夏は風通しのよい半日陰で育てると、株のダメージが少なくすみます。
レーマニア
分類:ハマウツボ科レーマニア属
豪華な雰囲気の花&草姿が魅力のレーマニア。ジギタリスに似た花姿ですが、中国原産のチャイニーズフォックスグローブとも呼ばれる珍しい園芸品種です。白い花が美しいレーマニア クラウチングタイガーとやさしいピンク色のレーマニア ヒドゥンドラゴンの2品種は、耐暑性に優れ、たくさんの花を咲かせます。光沢のある濃い緑色の葉や絶妙なグラデーションが美しい花の色も魅力です。草丈は35cmほど。鉢植えや花壇でゴージャスな雰囲気を楽しみましょう。
レウカンセマム ミルキーウェイ
分類:キク科レウカンセマム属
超多花性で株一面に白いマーガレットのような花を咲かせるレウカンセマム ミルキーウェイは、シャスターデイジーとも呼ばれているペレニアル(宿根草・多年草)で、直射日光下での夏越しも大丈夫!特に夏越し対策も不要です。
関東以西の暖地であれば常緑で冬越し可能で冬に寂しくなりがちなペレニアルガーデンを葉の緑色が彩ってくれます。レウカンセマム ミルキーウェイは花が大きく切り花としてもおすすめ。年々株が充実して大きくなり、花数も増えていきます。
ルドベキア アーバンサファリ
分類:キク科ルドベキア属
洗練されたアースカラーと造形美が印象的なルドベキア アーバンサファリは、日本の真夏の直射日光下でも花を楽しめるペレニアル(宿根草・多年草)です。特に夏越し対策も不要で、ローメンテナンスで育てられるため忙しいガーデナーの方にもおすすめです。草丈は40~50cmほどになり、アートのような姿は花壇のフォーカルポイントやエントランスの豪華な鉢植えにもぴったり。切り花やドライフラワーとしても楽しめます。
ヘリオプシス サマーパレット
分類:キク科ヘリオプシス属
6月頃~10月頃まで長期間花が咲き続けるヒメヒマワリ、ヘリオプシス サマーパレットは、夏を得意とするペレニアル(宿根草・多年草)です。特に夏越し対策も不要で、夏越し冬越しすると株がより充実し、毎年たくさんの花を咲かせてくれます。草丈は80~100cmほど。分枝性に優れた大株になるヒメヒマワリで、庭でも鉢植えでもナチュラルな姿で夏の庭を彩ってくれます。
ゲラニウム ブルームミー
分類:フウロソウ科 フウロソウ属
日本の高温多湿の夏を越すのが難しかったゲラニウムですが、その問題を克服し、夏の暑さに強く改良されたのがゲラニウム ブルームミー。晩春~晩秋にかけて、可憐な青い花を楽しむことができるハイブリッドゲラニウムです。分枝性に優れているので一般的なゲラニウムよりもたくさんの花を咲かせます。そのうえセルフクリーニングでお手入れ簡単!日なたでも半日陰でも花がつき、長期間花を楽しめるペレニアル(宿根草・多年草)としておすすめです。
※夏はできるだけ風通し良い場所で育ててください。暑さには強いのですが、蒸れに注意しましょう。
まとめ
夏越しが難しいと思われがちなペレニアル(宿根草・多年草)も、早めに夏越しの準備を始めれば上手に夏越しもできるはず!
PWのペレニアル(宿根草・多年草)は、品種ごとに育て方をご紹介しています。育てている方は、是非参考にしてみてください。