近年、手間いらずなナチュラルガーデンは、自然な美しさを楽しめる庭として人気を集めています。ここでは、ナチュラルガーデンにおすすめの植物選びのポイントや、おしゃれなナチュラルガーデンを作るコツをご紹介します。
ナチュラルガーデンとは
ナチュラルガーデンとは、庭のデザインの枠を超え、植物が本来持っ ている自然の力を活かした庭づくりのスタイルです。
整然とした植栽ではなく、植物をありのままの自然に近い風景に植えこむことで、心地よい空間を提供します。デザインにとらわれず、植物の生長を見守りながら、四季折々の変化を楽しむことができます。
ナチュラルガーデンに植えたい植物
ナチュラルガーデンは、植えっぱなしでもよく育つ植物を組み合わせることで、結果的にローメンテナンスでおしゃれな庭を維持できるのも魅力です。そんなナチュラルガーデンで活躍してくれるのが、何年も自然に育つペレニアル(宿根草)やシュラブ(低木)です。
ペレニアル(宿根草)やシュラブ(低木)と聞くと、大きなお庭でしか取り入れられないイメージがあるかもしれませんが、今はコンパクトな品種も多くあり、小さいお庭でも楽しめるようになりました。お手入れの手間があまりかからないペレニアル(宿根草)をメインにして、シュラブ(低木)や一年草を組み合わせれば、ガーデニングにあまり時間をかけられない方でも楽しめます。
日陰でも楽しむナチュラルガーデン
日陰にナチュラルガーデンを作る場合には、ホスタやヒューケラなど日陰でも元気に育つペレニアル(宿根草)を選びましょう。庭の日当たりに応じて植物を選定することで、美しい庭を無理なく保つことができるようになります。
おしゃれなナチュラルガーデンを作るポイント
お手入れしやすいデザインします
お庭のお手入れを少しでも簡単にするポイントは、歩く場所や足を踏み入れる場所を予め決めておくことです。レンガなど自然素材を使った小路や花壇を作って、曲線を意識しながら植栽部分とそうでない部分を分けると、随分とお手入れが楽なナチュラルガーデンになります。
通路からお手入れができない場所には、植栽の中に敷石を配置しお手入れ場所を確保しましょう。敷石は、お手入れの時には作業場所として活躍しますが、普段は鉢植え置き場としても活かせますよ。
ナチュラルな雑貨を取り入れましょう
ナチュラルガーデンには、ナチュラルな雑貨が調和します。アンティーク風のガーデングッズや木などの自然素材を活用すれば、さらにおしゃれな雰囲気を演出することができます。植物の地上部が淋しくなる冬には、特にかわいい雑貨に癒されます。
ガーデングッズの取り入れ方もポイントです。ウッド素材やブリキのジョウロ、テラコッタの鉢、ベンチなど、アンティークな雰囲気のあるガーデニンググッズを合わせてみましょう。目隠しにはウッドフェンスなどもおすすめです。
カラーリーフも活用しましょう
おしゃれでお手入れ簡単なナチュラルガーデンを作るには、花だけに注目せずカラーリーフを取り入れるのがおすすめです。高低差や葉の色合いの違いを意識して植物を組み合わせましょう。
四季折々のリーフカラーを楽しめるシュラブ(低木)もおすすめです。
ナチュラルガーデンのお手入れ
ナチュラルガーデンのお手入れは、比較的シンプルです。
水やり
地植えした植物は、根付くまでは様子を見て水やりが必要ですが、根付いた後は基本的に雨だけで水やり不要です。真夏の日照りが続くような時だけ様子をみて水やりをしましょう。
鉢植えにした植物は、真夏以外は土が乾いたら鉢底から水が流れ出るまでたっぷりと水やりをしましょう。湿度の高い時期は、過湿にならないように土の状態に注意します。真夏は朝夕の2回、たっぷりと水やりをしましょう。
肥料やり
地植えにする際は元肥を施してから植え付けましょう。ペレニアル(宿根草)やシュラブ(低木)には1~3月頃に春からの成長を促進するための肥料を施し、花後にお礼肥をあげましょう。
鉢植えで楽しむ植物には、葉が生い茂る生育期と花が咲く開花期には、液肥や追肥をあげるようにしましょう。
切り戻しや剪定などのお手入れ
自然な雰囲気が魅力のナチュラルガーデンも、花が終わったら花がらを切る、枯れた葉を取り除くなどのお手入れが肝心です。
あまりお手入れに時間がかけられない場合は、花がらが自然に落ちるセルフクリーニングの花を選んだり、カラーリーフを積極的に取り入れましょう。そうすることでお手入れはずっと楽になります。
花の咲く低木(シュラブ)は翌年のために花後の剪定作業を行います。花芽ができる時期によって剪定時期が異なるので、時期を逃さないように行いましょう。アジサイの中でも、アナベルやノリウツギはその年伸びた枝に花が咲く新枝咲きのシュラブ(低木)になるので、7月下旬までに慌てて剪定をする必要がないのでおすすめです。
ラベンダーなど蒸れが苦手な植物は、高温多湿の夏を上手く乗り切るために、梅雨前にさっぱりと切り戻して風通し良くしておきましょう。
秋のお手入れ
秋には、落ち葉を掃いたり、腐葉土やウッドチップなどで地表を覆って冬越しの準備をします。
宿根草の枯れた葉は、そのままにして新芽を保護しながら春を待つという方法もあります。
ナチュラルガーデンよくある質問
イングリッシュガーデンとの違いは何ですか?
ナチュラルガーデンとイングリッシュガーデン、どちらもナチュラルなイメージがありますが、違うのは植物の選び方やレイアウトになります。
イングリッシュガーデンとは、ヨーロッパで主流だった整形式庭園とは異なり、自然の景色を取り入れた風景式庭園の流れを汲んだ庭園です。自然の景色を庭園に取り入れようという動きの中で生まれたものです。
イングリッシュガーデンと呼ばれる庭は、主にコテージガーデンという田舎風の庭をさしています。
コテージガーデンは自然な雰囲気を楽しめるように植栽された庭で、家の壁面につるバラやクレマチスを這わせたり、荷車の車輪などの農具をアクセントで飾ったりするナチュラルなスタイルが魅力です。ただ、自然に見せるといってもお手入れをしない庭ではなく、自然に見えるように綿密に計算されたうえで植栽されているのが特徴で、美しく保つお手入れも欠かせません。
もう一つイングリッシュガーデンではずせないのがバラとボーダーガーデンです。ボーダーガーデンとは背の高い植物を後ろに配置し植物の高低差を生かして作る花壇のことで、ジギタリスやラベンダーなどの宿根草をメインに、ある程度規則的に植えこんで作ります。
一方、ナチュラルガーデンでは特に決まった植え方はなく、庭の環境や広さなどに合わせた植物を取り入れ、季節を感じられる自然な雰囲気にするのが特徴です。
シンボルツリーを取り入れる、おしゃれなガーデングッズを使うなど、自由な発想でいろいろな工夫をしてナチュラルな雰囲気を醸し出すため、庭によってデザインや選ぶ植物はさまざまです。木漏れ日を楽しむ雑木林のような庭もナチュラルガーデンと呼ばれます。
ヒーリングガーデンとの違いは何ですか?
庭には花や植栽を眺めて楽しむ、ガーデニング作業自体を楽しむ、野菜などを栽培して収穫して楽しむなど、さまざまな楽しみ方があります。自然の一部である植物の生命力や美しさ、自然に触れることで感じる癒しの力など、五感に語りかけ、心を健やかにしてくれるのがヒーリングガーデンです。植物と触れ合ったり眺めたりすることで心身をリラックスさせ、人間本来の自然治癒力を回復させるための庭です。
ナチュラリスティックガーデンとの違いは何ですか?
ナチュラリスティックガーデンとは、自然をお手本にして宿根草を中心に植物の一生をそのまま取り入れた庭のこと。ナチュラルガーデンと異なり、春に芽吹き、花が咲き、やがて冬の訪れとともに枯れる、自然のうつろいを楽しむのが特徴です。咲き終わった花を切り戻すのではなく種になる姿まで庭の景色として取り入れます。ただ、ナチュラリスティックガーデンは野原や里山などをそのまま写し取った庭ではありません。花がなくても見ごたえのある造形美を実現するためにさまざまな宿根草やグラス類を組み合わせ、環境にも配慮して、自分の理想とする自然の庭を経年と共に楽しみます。
オーガニックガーデンとの違いは何ですか?
殺虫剤や化学肥料などを使わず、主に無農薬(無化学農薬)で化成肥料を使わずに植物を育てて作る庭がオーガニックガーデンです。無農薬菜園のように、子どもや動物が直接植物に触れても安全で、ハーブや果樹、野菜なども安心して口にすることができ、虫や動物などの生き物を守ることにもつながります。ナチュラルガーデンは無農薬などにはこだわらず、自然な雰囲気を楽しむ庭という点でオーガニックガーデンとは異なります。
ナチュラルガーデンにおすすめの宿根草7選
株幅50cm以下のコンパクトな宿根草
ヒューケラ
ヒューケラ ドルチェ分類:ユキノシタ科ツボサンゴ属
草丈:20~40cm、株幅:20~40cm
置き場所:半日陰
種類が豊富でさまざまな葉色を楽しめるヒューケラドルチェ。花にも負けないカラーリーフとして庭を彩ってくれる欠かせない存在です。約-20℃まで耐えるので、全国のほとんどの地域で屋外での冬越しが可能。丈夫に育った株は夏越しもできるようになります。
ネペタ(キャットミント)
ネペタ キャッツパジャマ分類:シソ科イヌハッカ属
草丈:20~30cm、株幅:40~50cm
置き場所:日なた、半日陰
耐暑性に優れ春から秋にかけてラベンダーのような雰囲気の花を咲かせるネペタ キャッツパジャマ。乾燥にも強く、地植えにして根が張れば植えっぱなしでも育ちます。お手入れ簡単で病害虫の心配もほとんどないため。ローメンテナンスなナチュラルガーデンを作りたい方におすすめです。
ベロニカ
ベロニカ ウィザーディング分類:オオバコ科ベロニカ属
草丈:40~45cm、株幅:40~45cm
置き場所:日なた、半日陰
立ち性で穂状に尖った花を咲かせるベロニカ ウィザーディング。花壇の中で立ち上がるキャンドルのような花穂がナチュラルな雰囲気を醸し出します。花色は白やピンク、紫青色、水色の4種類。一般的なベロニカよりも耐病性、分枝性に優れていてたくさんの花を楽しめます。
株幅50cm以上の宿根草
ルドベキア
ルドベキア アーバンサファリ分類:キク科ルドベキア属
草丈:40~50cm、株幅:60~80cm
置き場所:日なた、半日陰
洗練されたアースカラーと造形美が印象的で、ナチュラルガーデンのフォーカルポイントにもなります。耐暑性に優れているだけでなく、最低温度はー15℃と耐寒性もある多年草です。
フロックス
フロックス オープニングアクト分類:ハナシノブ科クサキョウチクトウ属(フロックス属)
草丈:50~70cm、株幅:70~90cm
置き場所:日なた、半日陰
強健で暑さ寒さに強く、株いっぱいに花咲く姿が圧巻のハイブリッド宿根フロックス。一般的なフロックスよりも開花期が長く、草丈は50~70cmで小さな庭でも楽しめます。甘い蜜の香りが漂い、蝶やハチなどのポリネーター(花粉媒介者)を招きます。
アムソニア
アムソニア ストームクラウド分類:キョウチクトウ科アムソニア属
草丈:60~75cm、株幅:約100cm
置き場所:日なた、半日陰
アイスブルーの花とブラックステムの組み合わせがクールなアムソニア ストームクラウド。分枝性に優れて栽培も簡単で、株いっぱいに星形のアイスブルーの小さな花がたくさん咲きます。ブリキの雑貨やシルバーリーフなどと組み合わせて、おしゃれなナチュラルガーデン作りに取り入れてみてください。
ヤマブキショウマ(アルンクス)
アルンクス シャンテリーレース分類:バラ科ヤマブキショウマ属
草丈:60~90cm、株幅:100~120cm
置き場所:日なた、半日陰、日陰
耐陰性が高くシェードガーデンでも楽しめるアルンクス シャンテリーレース。クリーム色のレースのような花も素敵ですが、花のない時期の美しい葉も魅力です。ローメンテナンスで何年も楽しめ、自然な草姿がナチュラルな雰囲気を醸し出します。
参考にしたいナチュラルガーデン
明日にでも参考にしたくなるナチュラルガーデンのアイデア満載!歴代のPWアンバサダーさんのナチュラルガーデンも是非参考にしてみてくださいね。
まとめ
好きな植物を庭の環境に応じて少しずつ植えながら庭を作り上げるのは、ガーデニングの醍醐味です。一気に完成を目指すと大変ですが、少しずつ作っていくのも楽しいものです。季節の移ろいを感じられるナチュラルガーデンで、潤いある生活を楽しんでくださいね。
PWには日本の高温多湿にも耐えられる優れた品種がそろっています。ローメンテナンスで庭を楽しむには品種選びも大切です。ぜひお気に入りのペレニアル(宿根草)を見つけてナチュラルガーデンづくりに役立ててくださいね。