ガーデニングでSDGs
ガーデニングを通じて私たちができるSDGs(持続可能な開発目標)は、植物が太陽エネルギー(光エネルギー)を使って有機物を生み出すといったエネルギーの循環を考えると、目標6「安全な水とトイレを世界中に」目標7「エネルギーをみんなに そしてクリーンに」目標14「海の豊かさを守ろう」などの多くのSDGsに関係があると言われています。
また、人に癒しを与えるガーデニングは、目標8「働きがいも経済生長も」にも繋がり、さらには目標11「住み続けられるまちづくりを」にも貢献していると考えることもできます。
そんな様々な良い効果をもたらすガーデニングですが、ここでは、目標15 「陸の豊かさも守ろう」の「生物多様性の損失を阻止する」にフォーカスをあてて、ポリネーター(花粉媒介者)を守るガーデニングについてお話をします。
ポリネーター(花粉媒介者)とは
ポリネーターとは、蜜蜂や蝶などの昆虫類や鳥など植物の花粉を媒介し受粉させる生き物のことで花粉媒介者や送粉者とも呼ばれています。
ポリネーター(花粉媒介者)は生態系の基盤となる多くの植物にとって必要不可欠な存在で、食料や健康を支える農業においてもなくてはならない生き物ですが、近年世界的にその数が激減し、減少し続けていることが問題になっています。
ポリネーター(花粉媒介者)を守るためにできること
ただ皆さんは、世界中で虫の個体数の急激な減少しているニュースを見て悲観的になることはありません。なぜなら、私たちガーデナーはこの問題解決に大いに貢献ができるのです。
解決策はとてもシンプル!
それは、密や花粉などが豊富な植物を育ててガーデニングを楽しむことです。植物や花は、虫を維持する上で重要な役割を果たしており、虫を食べる鳥や動物やその上位の食物連鎖全てに生命をつなげていきます。
植物を育てて、蜜蜂や蝶・鳥などのポリネーター(花粉媒介者)を庭やベランダに招きましょう!
ここからは、ポリネーター(花粉媒介者)を積極的に守るために私たちが工夫できるガーデニングのポイントをご紹介します。
日当たりよい場所で育てよう
蝶や蜂などのポリネーター(花粉媒介者)を効率的に守るためには、日なた(少なくとも6時間の日光があたる場所)で植物を育てるのがおすすめです。
日当たりの良い場所に植えた植物は、日陰でに植えた植物よりも多くの花が咲き、多くの蜜を生成し、多くのポリネーター(花粉媒介者)を招きます。また、昆虫は周囲の環境によって体温が左右されるため、涼しい日陰では動きが鈍くなり活性力が弱まわるのですが、日なたではとても活動的になります。
ポリネーター(花粉媒介者)にとっても有益な日陰で育つ植物はたくさんありますが、日当たりの良い場所で育てる植物は、より多くの利益をポリネーター(花粉媒介者)にもたらします。
たくさんの種類の植物を育てましょう
ポリネーター(花粉媒介者)を守るお庭を作るときは、 なるべく1つの植物に偏らないようにしましょう。複数の種類の植物を奇数植えるのがおすすめです。奇数にグループ化するのは、ガーデンデザインを考えての提案です。3、5、7…と奇数に分けて植えることにより、自然に近いナチュラルガーデンが完成します。
さらに、植物がたくさん茂った場所を作ると、よりポリネーター(花粉媒介者)の活動が活性化します。それは、クッキーが山盛りになっている皿と、クッキーが1つだけの皿を見たときの人間の反応にとてもよく似ているんですよ。
多少なら葉っぱが食べられても気にしない
多くの人は、植物の葉や花が虫にかじられているのを見ると悲しい気持ちになります。
しかしながら、昆虫が葉を食べているのは自然なことであり、世界中のポリネーター(花粉媒介者)の個体数を守っている証です。植物の葉に穴が開いているのを見つけたら、抹殺することばかり考えるのを一旦やめてみましょう。
実際に、イモムシは、最初に数週間葉を食べない限り、蝶や蛾に変わることはありません。植物は、多少であれば虫に葉を食べられることの方が自然で、極端な食害を除いては枯れてしまうようなことはありません。
わずかに残った昆虫は鳥や他の虫の餌となり、食物連鎖のバランスを取りながら、結果害虫が大発生するような状況を回避することにもなります。
花苗とシュラブ(低木)とペレニアル(宿根草・多年草)を組み合わせて育てよう
園芸シーズンを通してあらゆる種類のポリネーター(花粉媒介者)を維持するには、春の早い時期から秋の最後の肌寒い時期までポリネーター(花粉媒介者)を引き付ける植物が必要です。
春はガーデニングの気持ちが高ぶるため、多くの方がこの時期に見栄えがよい花が咲く選ぶ傾向がありますが、夏以降にも花を咲かせる植物を育てれば、ポリネーター(花粉媒介者)にもあなたにもたくさんのメリットがあります。
アベリアなどの春の遅くから開花する植物は、ポリネーター(花粉媒介者)が最も栄養を必要とする時期(休眠、産卵、移動の前)に豊かな蜜源となるため、特に重要とされています。
これを達成する1つの方法は、花苗とシュラブ(低木) やペレニアル(宿根草・多年同)を組み合わせて育てることです。花苗は春から夏の間ずっと花を咲かせ、シュラブ(低木)やペレニアル(宿根草・多年草)のその開花時期を補うのに役立っています。
それでは、ここからはポリネーター(花粉媒介者)を守るために効果的なおすすめの花苗とシュラブ(低木)とペレニアル(宿根草・多年草)をご紹介します。ガーデニングでSDGsを始める植物選びの参考にしてみてくださいね。
ポリネーター(花粉媒介者)を守る花苗
ゴンフレナ ラブラブラブ
分類:ヒユ科ゴンフレナ属
一般的なゴンフレナ(千日紅)と比べて、分枝性が大幅に改良されており、連続開花性に優れ春から晩秋まで咲き続けます。高性で花壇や寄せ植えのフォーカルポイントとしてもお楽しみいただけます。
春から秋まで花が楽しめ、蜜蜂や蝶を惹きつけます。
スーパーランタナ ムーンホワイト
分類:クマツヅラ科ランタナ属
スーパーランタナ ムーンホワイトは日本フラワー・オブ・ザ・イヤー最優秀賞を受賞したお墨付きの品種です。「1株でこんもりと自然に丸くまとまる!花壇の群植では、高さもそろい株割れすることもなく地面をカバーするパフォーマンス!」と高い評価を頂きました。
春から晩秋まで花が楽しめ、ほんのり香る甘い香りに、鳥や蝶がやってきます。
スーパーアリッサム スノープリンセス
分類:アブラナ科ニワナズナ属
白い小花が一面に生い茂るスーパーアリッサム スノープリンセス。関東以西の暖かい場所では、真冬も満開が続きます。地植えにすると真っ白なカーペットで地面を覆いつくしてくれます。暑さにも強く開花期が長いので(真夏と真冬を除いてほぼ一年中開花期になります)、一度植えると長期間楽しめます。甘い香りに引き寄せられ、蜜蜂や蝶が集まります。
スーパーチュニア
分類:ナス科ペチュニア属
生育旺盛で強健なスーパーチュニア。摘心不要で、誰でもボリュームたっぷりに育てられます。写真にあるラヴィドゥヴィだけでなく、バイカラーだけでも5種類の模様や色を取り揃えています。春から晩秋まで花が楽しめ、蝶が蜜を吸いにやってきます。
スーパーサルビア ロックンロール
分類:シソ科サルビア属
スーパーサルビア ロックンロールは、大人っぽい紫色が落ち着いた雰囲気のサルビア。葉も美しく、花が咲くまではグリーンとしても活躍してくれます。春から霜が降りる初冬頃まで咲くので、一度植えると長い期間植え替えなしで楽しめるのも魅力です。真夏でも日当たりの良い場所で育てましょう。
蜜蜂や蝶が好むお花です。
バーベナ メテオールシャワー
分類:クマツヅラ科クマツヅラ属
草丈は50~70cmと高く、花茎の間にできる空間から風がそよそよと抜け、花壇での立体感のある植栽や高低差ある寄せ植えなどに大活躍します。花数、分枝ともに多く、淡いラベンダーブルーの花房が春から晩秋まで長く咲き続けます。蝶が集まってきます。
スーパーベナ
分類:クマツヅラ科クマツヅラ属
一般のバーベナは雨や暑さに弱いのですが、スーパーベナは梅雨や夏の暑さにも負けずに花を咲かせる品種です。ボリュームある花姿を楽しめ、春から晩秋まで花が楽しめます。蝶を引き寄せます。
ガザニア ビースト
分類:キク科ガザニア属
ガザニア ビーストは、分枝性がよくぎっしりした株で、春から秋まで長くハッピーカラーの花が弾けます。中心に黒い縁取りのような模様があるガザニアもありますが、ガザニア ビーストは黒い模様が入らないすっきりした花色です。たくさんの花におびき寄せられ、蝶がお散歩にやってきます。
ポリネーター(花粉媒介者)を守るシュラブ(低木)
アベリア ルビーアニバーサリー
分類:スイカズラ科アベリア属
アベリア ルビーアニバーサリーは、夏の終わりから秋の初めに、ジャスミンのようなフローラルの香りをもたらします。蝶が最も栄養を必要とする時期に豊かな蜜源となります。
光沢のある葉や赤い茎、次々と花が咲くローメンテナンスの花木です。
ブッドレア パグスター
分類:フジウツギ科フジウツギ属
ブッドレアは、初夏から霜が降りる頃まで長く花を楽しむことができる花木です。PWのブッドレアは、株姿はコンパクトですが花穂は大きめで、蜜蜂や蝶を惹きつける甘い香りが漂います。過湿は苦手とするので、水はけをよくするのが上手に育てるポイントです。
ディエルヴィア
分類:スイカズラ科アメリカタニウツギ属
ディエルヴィラ ぶんぶんツリーは、アメリカの蜜源植物で、春から夏にかけては葉がオレンジやバーガンディー色・濃い紫色と品種によって異なるカラーを楽しめます。初夏から秋にかけて黄色い小花が次々と咲き、秋には黄~赤色を帯びた紅葉をし、季節の移り変わりを演出してくれます。樹形はコンパクトにまとまり、日陰でも場所を選ばず育てられる優れもの。病害虫にも強く、非常に強健で手間がかからない植物です。蜜蜂、蝶に人気がある花木です。
セファランサス シュガーシャック
分類:アカネ科セファランサス属
セファランサス シュガーシャックは、従来の品種と比べると約半分の樹高に育つコンパクトなセファランサスで、小さなお庭にも取り入れやすくなりました。夏には香りの良い白いポンポンのような花を楽しめ、美しい蝶をおびき寄せます。
姫ライラック
分類:モクセイ科ハシドイ属
香水の原料にも使われる優雅な香りを持つライラックの花。心を落ち着けたり新陳代謝を高めたりする効能があると言われています。
落葉高木である通常のライラックは庭に植えると3mを超える大きさに生長しますが、PWの姫ライラックであればこんもりと横に広がるので小さな庭や鉢植えでも大丈夫。中でも、紫色の花が株全体を覆うように咲く姫ライラック ペンダは春と夏~秋の二季咲きで、長い間花の香りを楽しむことができます。蜜を愛する蝶もその香りに引き寄せられます。複数の種類のライラックを近くに植えた場合は、ポリネーター(花粉媒介者)のおかげで通常よりも開花期が長くなります。
ポリネーター(花粉媒介者)を守るペレニアル(宿根草・多年草)
フロックス オープニングアクト
分類:ハナシノブ科クサキョウチクトウ属(フロックス属)
フロックス オープニングアクトは、暑さにも寒さにも強い非常に強健な性質のハイブリッド宿根フロックスです。梅雨明け後や花後に切り戻せば、5月頃~11月頃まで株一面に甘い蜜の香りが漂い、たくさんの蜜蜂や蝶を惹きつけます。草丈は50~70cmほど。株のまとまりがよく育てやすいのも魅力です。
ネペタ キャッツパジャマ
分類:シソ科イヌハッカ属
ネペタ キャッツパジャマは、耐暑性に優れ春の終わりから秋にかけてラベンダーのような雰囲気の花を咲かせます。乾燥にも強く、地植えであれば根が張れば植えっぱなしでも育つ大変お手入れが簡単なお花で、病害虫の心配もほとんどありません。
ミントのような柔らかな香りで、ミツバチ、蝶などのポリネーター(花粉媒介者)を引き付け、自然豊かなお庭を作ることができます。
ベロニカ ウィザーディング
分類:シソ科イヌハッカ属
ベロニカ ウィザーディングは、立ち性で穂状に尖った花を咲かせるベロニカです。蜜蜂や蝶を惹きつける甘い香りが漂います。濃い緑色の葉で、一般的なベロニカよりも耐病性に優れています。翌年の花を咲かせるために冬はしっかりと寒さにあてましょう。
ルドベキア アーバンサファリ
分類:キク科ルドベキア属
ルドベキア アーバンサファリは洗練されたアースカラーと造形美が印象的で、たくさんの枝から連続開花するルドベキアです。耐暑性に優れているだけでなく、最低温度はー15℃と耐寒性もある多年草で、冬越しをするとさらに大きな株に生長します。
レウカンセマム ミルキーウェイ
分類:キク科レウカンセマム属
レウカンセマムは、別名:シャスターデイジーとも呼ばれているコンパクトな株に大輪の花が咲く北アメリカ原産のキク科の多年草です。花はマーガレットに似ているのですが、マーガレットの開花が終わった頃に咲き始めます。耐寒性が非常に強く、常緑なので冬でもリーフも楽しむことができるありがたい多年草です。
モナルダ フォーグ
分類:シソ科モナルダ属
モナルダとは、北アメリカからメキシコ原産のシソ科モナルダ属の植物で、ベルガモットやビーバームなどの名前でも知られています。その華やかな花姿から、タイマツバナ(松明花)やヤグルマハッカ(矢車薄荷)とも呼ばれ親しまれています。日本でも昔から夏の花壇に人気があるお花で、爽やかなベルガモットの香りが楽しめます。
セダム モコランド
分類:ベンケイソウ科マンネングサ属
異次元の高密度咲きで、今までにないぎっしりとしたドーム状の草姿を魅せるセダム モコランドは、アフロヘアのようなモフモフのフォルムが特徴です。ドーム状にたくさんの小花をつけ、蜜蜂や蝶などのポリネーター(花粉媒介者)を招きます。
アルンクス シャンテリーレース
分類:バラ科ヤマブキショウマ属
晩春~初夏に咲くレース状に咲いたクリーム色の花は、まさに「シャンテリーレース」のよう。日光を浴びると、レースが輝いているように見えます。葉を覆うほどのたくさんの花を咲かせ、蜜蜂や蝶などのポリネーター(花粉媒介者)を招きます。
SDDs(持続可能な開発目標)とは
SDGs(持続可能な開発目標)とは,2001年に策定されたミレニアム開発目標(MDGs)の後継として,2015年9月の国連サミットで採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」にて記載された2016年から2030年までの国際目標です。17のゴール・169のターゲットから構成され、地球上の「誰一人取り残さない(leave no one behind)」ことを誓っています。SDGsは発展途上国のみならず、先進国自身が取り組むユニバーサル(普遍的)なものであり、日本としても積極的に取り組んでいます。
PWは持続可能な開発目標(SDGs)を支援しています。ガーデニングを通じて、少しでも多くの皆さんがSDGsに貢献できるよう、微力ながら努力を続けて参ります。
まとめ
蜜や花粉などが豊富な植物を育てることで、ポリネーターが生息しやすい環境作りができ、それは生態系の保持にもつながります。SDGs(持続可能な開発目標)にも掲げられている目標15 「陸の豊かさも守ろう」の「生物多様性の損失を阻止する」取組みは、ガーデニングという趣味を楽しみながら貢献することができます。
ポリネーター(花粉媒介者)を守るために、植物を育ててみませんか。皆さんもガーデニングを通じて、未来の地球のために持続可能な取組みを是非明日から始めてみましょう。
PWは植物を通じて、一人でも多くの皆さまに笑顔をお届けできるよう日々改良を続けています。届けたいのは育つよろこび…それが私たちPWの想いです。