ラグランジアとは

側芽(枝につく芽)に花がつくラグランジアは、剪定位置を細かく気にしなくても、次の年にはたくさんの花芽をつけるアジサイです。
それどころか、剪定をしなくてもそのナチュラルな草姿を楽しむことができ、常識を覆す画期的なアジサイとして注目を集めています。ここではそんなラグランジアを上手に育てる育て方をご紹介します。
栽培カレンダー
購入初年度

※関東地方以西低地基準になります。地域やその年の気候、生育状態により、開花期やお手入れの適期などは変わります。栽培カレンダーは目安としてください。購入初年度は、温室で開花調整されていますので、購入するタイミングによって開花期は異なります。
購入2年目以降

※関東地方以西低地基準になります。地域やその年の気候、生育状態により、開花期やお手入れの適期などは変わります。栽培カレンダーは目安としてください。開花期は愛知県の露地環境を想定しています。北海道などの寒冷地の場合は開花期が1ヵ月程度遅くなります。
ベビー苗について

ラグランジアは、植えつけ初年度にじっくり育てて翌年以降に花を楽しむ「育つよろこび」を実感いただけるベビーサイズの苗木「ベビー苗」の販売もしています。
鉢でも庭植えでも、それぞれの環境に適応しながら育っていくので、体力をつけさせて冬越しをすることで、とても強い株に生育します。晩秋に休眠期に入った時に「花が咲かないまま枯れてしまったわ」と廃棄しないようにしてくださいね。
※落葉樹ですので秋冬出荷の場合は葉色が変わっている場合や、落葉し地上部は枝のみの場合がございますが、品質には問題ございません。

ラグランジアの育て方




ラグランジアの植えつけ
買ってきた苗はふた回りほど大きな鉢に植え替えて、鉢植えやハンギングでお楽しみください。購入2年目以降の冬越しして大きく生長した株は、10号鉢(直径30cm)以上の鉢に植え替えるか地植えをしてお楽しみください。
ラグランジア ブライダルシャワーとラグランジア シャンデリーニは、アジサイ用用土でも草花用用土でも白色の花が咲きます。咲き進むにつれて淡いピンク色に変化する姿を楽しむには、アジサイ用用土(青色)よりも草花用培養土をおすすめします。
一方、ラグランジア クリスタルヴェール2やラグランジア オーロランジュは、土壌のpHによって花色が変化します。店頭に並ぶまでは、青色に傾く土壌で栽培しているため、きれいな青色の花色を楽しむにはアジサイ用用土(青色)をおすすめします。草花用用土やアジサイ用用土(赤色)で育てると、翌年はピンク色に変化することがあります。是非土壌のpHによって花色変化をお楽しみください。
用土の種類 | pH |
---|---|
アジサイ用用土(青色) | 5.2~5.5 |
草花用用土 | 約5.8 |
アジサイ用用土(赤色) | 6.2~6.5 |
冬の休眠期を除いて、植え替えをする際には根を触らないようにして植え替えをしてください。
ラグランジアの日当たり・置き場所
1日中日光がよくあたる場所、もしくは午前中に日光がよくあたり午後は木陰のような日陰になる場所で育ててください。
ラグランジアは、一般的なアジサイよりも花弁が弱い傾向があります。急に強い直射日光に長時間あてると、環境変化に適応できず花が傷む場合があるので、徐々に慣れさせてから移動するようにしてください。曇りの日が何日も続いた後の快晴時にも注意してください。
ラグランジアは、一般的なアジサイよりも花弁が弱い傾向があります。基本的には日あたりが良い場所を好みますが、梅雨明け後の真夏の強い日差しや高温は苦手です。葉焼けや高温障害で新芽が縮れるなどの生理障害が発生することがあります。夏は、遮光ネットなどで強い日差しを避けることをおすすめします。
ラグランジアの水のあげ方
春~夏のラグランジアは、水切れしないように育ててください。
地植えの場合
根が張れば特に水をあげる必要はありませんが、春~夏は土が乾いているようであればたっぷりと水をあげてください。
鉢植えの場合
土の表面が乾いたら、たっぷり水をあげてください。目安として春、秋は1日1回。夏は水枯れしないように1日2回程度、最低でも1日1回はあげてください。真夏は特に水切れに注意します。水やりをする時は鉢の土の表面が乾いたら、鉢底から水が流れ出るまでたっぷりとあげてください。
ラグランジアの肥料のやり方
植えつけ時に元肥を十分に施した後、春の生育期から晩夏まで、緩効性の置き肥を1ヵ月に1回程度、液体肥料(500~1,000倍に希釈したもの)を1〜2週間に1~2回程度あげてください。草花用の緩効性肥料がおすすめです。
ラグランジアは、花が咲き終わるとすぐに来年の花芽を付け始める旧枝咲きのアジサイです。その花芽の形成に養分を必要とするので、花が咲き終わった後(7月~晩夏まで)は、肥料を忘れずにあげ続けるようにしてください。

肥料をあげると、葉の色が濃くなり、花が大きくなります。
また、枝が太くなり栄養が充実し、結果翌年たくさん花を咲かせることになります。
ラグランジアの病害虫の予防と対策
害虫
植えつけ時に害虫防除のために殺虫剤を撒き、害虫の発生状況により市販のスプレータイプの殺虫剤または粒剤を使用してください。
梅雨明け頃から夏場にかけて、雨の当たらないベランダなど高温で乾燥している場所でハダニが出やすくなります。

葉に写真のような斑点(まだら模様)が見えたら葉の裏を確認しましょう。

葉の裏に無数の白い点やかすり状の斑点が現れたらハダニが発生している可能性が考えられます。
放っておくと葉の全体に症状が拡がり、枯れてしまいます。ハダニがたくさんついてしまった部分は切り落とし、ハダニに効く薬剤を散布しましょう。
病気

葉に灰色から褐色の斑点が出てきたら、病気の可能性があります。感染した部位を取り除いて対処ください。
ラグランジアの夏越し
ラグランジアは基本的には日当たりを好みますが、梅雨明け後の真夏の強い日差しや高温は苦手です。関東以西の暖地では梅雨明け後の7~8月の日差しや暑さが非常に厳しく、葉が茶色や白く抜けたようになる葉焼けや、高温障害で新芽が縮れるなどの生理障害が発生することがあります。
ラグランジアの耐暑性レベルは★★★★☆です。暑さには十分強いのですが、きれいに夏越しするには夏は直射日光や西日を避けるのが効果的です。
鉢植えの場合
夏は、強い直射日光のあたらない涼しい半日陰または日陰に移動させて、強い日差しを避けることをおすすめします。9月以降になったら、日によく当てて株を充実させてあげてください。
地植えの場合
夏は、必要に応じて遮光ネットなどで強い日差しを避けることをおすすめします。 また、ラグランジアはお水が大好きです。梅雨明け後一気に暑くなってくると、水が乾きやすくなるので、水を切らさないように土の表面が乾いたらたっぷりと水をあげてください。

真夏暑い日が続くと、新芽がゆがんでくることがあります。
これは高温障害による生理的な現象ですので、切り戻さないでそのまま様子をみてください。秋になり涼しくなってくると徐々に回復していきます。育てる場所さえ気をつければ、夏もきれいな状態で迎えることができます。
ラグランジアの花がら摘み

花が終わったら、花茎すぐ下の脇芽のある葉の上で切ってください。
栄養状態の良い株は、すぐ下から次の花が咲くことがあります。ただし、2回目の花は1回目の花よりも小さい花が咲きます。

秋にまだ2番花が咲いている場合には、こんなに美しい秋色を魅せてくれる場合もあります。
ラグランジアの剪定
形を整えたい場合の剪定
自然な樹形もお楽しみいただけるラグランジアですが、丸く整えたい場合は剪定が必要です。剪定をする場合は、晩夏までに行ってください。

丸く整えたい場合は、晩夏までに仕立てたい形に枝を切ります。

自然な樹形を楽しみたい場合は、剪定しなくても、そのままの自然な樹形をお楽しみいただけます。
上に伸びた枝の剪定
すべての側芽(枝につく芽)に花がつくラグランジアですが、上向きの枝は先端だけに花が付きやすい傾向があります。そのまま放置すると少し不格好になってしまうので、綺麗に咲かせるためには以下のどちらかの対応をしてください。
対応方法1

晩夏までに上向きの枝を剪定します。そうすることで先端だけに花がつくことがなくなります。
対応方法2

上に伸びてくる枝を市販の洋ラン線などを使い横方向に誘引します。
横に誘引された枝は全ての芽から花が咲きやすくなり、翌年たくさんの花を咲かせます。
ラグランジアの冬越し
ラグランジアの冬越しは、一般的なアジサイとほぼ同じです。冬の間は、休眠期と呼ばれ、紅葉し落葉します。冬の間も、ラグランジアは来春を迎える準備をしています。春になったら、落葉した葉は取り除いてください。
もし、ラグランジアが生長して鉢が小さく感じるようであれば、春が訪れる前(休眠期)に大きな鉢への植え替えをおすすめします。
落葉する理由
冬に休眠し落葉するのは、株の体力を温存するためです。春に葉をつけ初夏に花を咲かせるには、たくさんのエネルギーを必要とします。翌年の花を咲かせるエネルギーを十分に蓄えるためにも、冬には5℃以下の寒さにしっかり当ててお休みさせてあげましょう。しっかり寒さに当てることで、花芽の成長、開花促進につながります。

ラグランジアは基本的に、冬の寒さに強いですが霜には注意が必要です。
霜で、花芽が傷み、来春、開花しなくなる可能性があります。霜が降りるような寒い日は、軒下で管理したり、カバーをかぶせたりして防寒対策をしてください。

冬に-5℃以下の低温に当たり続けると、翌年展開する葉がゆがみ、ねじれることがあります。
病気ではなく、生理的な現象ですので切り戻さずそのまま様子をみてください。
ラグランジアの植え替え
休眠期である12~2月にふた回りほど大きな鉢や地植えに植え替えるようにしてください。冬越しして大きく生長したら、30cm以上の鉢への植え替えがおすすめです。
購入3年目以降の方から「これ以上大きな鉢で育てることができないわ」「ベランダガーデニングなので地植えできないわ」という相談を受けるようになりました。その場合は、下記の方法で植え替えをして、来年も同じ鉢サイズでお楽しみください。
ラグランジアの一年
春にベビー苗を地植えした際の一年をご紹介します。








春にベビー苗を鉢植えで育てた場合、秋にベビー苗を地植えや鉢植えで育てた場合の一年の様子は以下を参考にしてみてください。


開花期:晩春~夏

タイプ:落葉性

タイプ:旧枝咲き

剪定期:原則不要

置き場所:日なた、半日陰

★★★★☆

土壌:アジサイ用または草花用の培養土がおすすめです
※高温時は強い直射日光を避け、風通しのよい場所で管理してください。
ラグランジアのよくあるご質問
鉢サイズについて
- Q購入1年目は小さな鉢がおすすめとのことですが、どの程度の鉢サイズがよいですか。
- A
購入時1年目は、ふた回り大きな鉢に植え替えてください。購入時が10.5cmの鉢であればふた回り大きな18cm程度、15cmの鉢であればふた回り大きな21cm鉢が目安になります。ハンギングや小鉢で、お楽しみください。
- Q大きく育てたいので、購入1年目から大きな鉢(30cm)に植え替えてもよいですか。それとも小さい鉢で育てた方がよいですか。
- A
30cmの鉢は少し大きめではありますが、植え替えしても問題ありません。大きく育てるためには花が咲き終わった後~秋にかけて肥料を切らさないことが大切です。忘れずに肥料をあげて、大きく育つようにチャレンジしてみてださい。
- Q鉢サイズを変えずに、同じ鉢で植え替えるにはどうすればいいですか。
- A
お好みの大きさまで成長し、それ以上大きくしたくない場合、根鉢の側面、肩の部分(土の表面)と底の部分の根や土を崩していただき、
一回り小さいサイズにしてから、新しい土を足して同じサイズの鉢に植え替えてあげてください。詳しくは「同じサイズの鉢に鉢替えするやり方」を参照ください。
剪定について
- Qコンパクトに仕立てることは可能ですか?
- A
剪定をすることにより、ある程度コンパクトに仕立てることはできます。樹形を整えるように全体的にカットしていただき、細く込み合った枝を整理して、太くしっかりとした枝を残すようにしてください。
誘引について
- Q上に伸びた枝を誘引したいのですが、いつ頃が最適な時期でしょうか。
- A
枝が生長し硬くなると曲がりにくくなるので、枝が柔らかい内に行ってください。特に適期などはありませんので、勢いの良い枝が長く伸びてきたらその都度誘引していただければと思います。夏のお盆を過ぎて誘引する場合は、枝が折れるとその分だけ花数が減ってしまいますので、誘引する際には慎重に行ってくださいね。
症状について
- Q葉が小さいのが特徴とありますが、購入したラグランジアの葉はそこまで小さくありません。問題ないでしょうか。
- A
ラグランジアの葉の大きさはその生育ステージによって大きく異なります。株が勢いよく大きくなる栄養生長の段階ですと葉は大きくなる傾向があります。
弊社の花壇の株の葉のサイズを調査したところ、特に花芽のつかない勢いのある枝の葉が大きく、大きい葉で10㎝前後ありました。また、葉のサイズはその個々の葉によって大小幅があります。
- Q花色がブルーになってきました。病気でしょうか。
- A
咲き進むにつれて花色の変化をお楽しみいただけるラグランジア ブライダルシャワーですが、土壌のpHによっては花色がソフトブルーになる場合もあります。問題はありませんのでご安心ください。
- Q開花期ではないのに蕾が付きました。よく見ると蕾が有る枝と無い枝の葉の形が違うように見えるのですが、大丈夫でしょうか。
- A
蕾の有る枝と、蕾の無い枝の葉が違うように見えるのは、それぞれの枝の生育ステージが違うことによって、葉の大きさに差が出ているためかと思います。同じラグランジアですので、ご安心くださいね。
花色調整について
目的の色を発色させることは、プロの生産者さんもとても苦労されています。
以下、アジサイの花色を調整するコツをご紹介させていただきますので、環境や開花状況に合わせて栽培方法を工夫してみてください。
- Qピンク色にする方法はありますか。
- A
pH6.5前後のアルカリ性で、アルミニウムを含まない用土が良いと言われています。
赤色(ピンク色)用のアジサイ用土や肥料が市販されていますので、そちらを使用してもいいかもしれません。詳しくは「アジサイの花色の変え方」をご参照ください。
- Q青色にするにはどうすればよいですか。
- A
pH5.5前後の弱酸性で、肥料はリン酸分が控えめなものが良いとされています。
青色用のアジサイ用土や肥料が市販されていますので、そちらを使用してもいいかもしれません。開花時の施用方法は、生育期の前半は肥料を与えていただき、開花前の1か月ほどから肥料を控えましょう。
また、アルミニウム処理については、硫酸アルミニウムを10月と4月に施用します。
但し、硫酸アルミニウムを一般家庭で調達することは難しいため、焼ミョウバン(無水硫酸アルミニウムカリウム)を代用するとよいでしょう。
また、水やり時のpHは6以下が望ましいですが、一般家庭で調整することは難しいため、水道水よりも酸性寄りの雨水を溜めて、水やりに使用してもいいかもしれません。詳しくは「アジサイの花色の変え方」をご参照ください。
- Q虹色に仕立てる方法を教えてください。
- A
青からピンクにするよりも、ピンクから青に調整する方が比較的挑戦しやすいかと思います。
「アジサイの花色の変え方」をご参照いただきながら、青系の仕立て方よりも少し土のpHを高めにし、肥料を定期的にあげると、ピンク寄りの色になりやすいです。
その後、硫酸アルミニウム(焼ミョウバン)を水で薄めてあげるとブルーに変化しやすくなりますので、
花が咲き始める頃に、こういった調整を行うと、虹色に近付けることができるかもしれません。
なかなか目的の色をご自宅で再現するのは難しいですが、ぜひ色々試して楽しんでみてください。
冬の管理について
- Q寒くなっても落葉しません。葉を強制的に落とした方が良いでしょうか。
- A
無理に取ってしまうと脇芽などを傷つけてしまう可能性があるので、葉が自然に落ちるのをお待ちください。
- Q冬なのに新芽や蕾が出てきました。摘んだ方がいいですか。
- A
日によって暖かい日があったり、寒暖の差がある時期なので、芽や蕾が動き出すことがあります。
本来の開花期ではないので綺麗に保つのは難しいかもしれませんが、取っても取らなくても生育上大きな違いはありませんので、そのままかわいらしい姿をお楽しみいただいてもよろしいかもしれません。
今ある新芽や蕾を守りたい場合は、霜や寒風に当たると傷んでしまう可能性があるので、不織布を掛けるなどの防寒対策をしてあげてください。
ラグランジアのトリビアの答え

トリビアは、基本情報のページに掲載されています。